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第161話 激突! 異世界の原型師 VS 異世界の原型師

第161話 激突! 異世界の原型師 VS 異世界の原型師


 バトルアリーナ。その外観。


 ドーム球場やコロシアムを思わせるメインコロシアムを中心に、ホテルやサブアリーナがひしめきその様相は、1つの小さな都市を思わせる。


 地震。


 メインコロシアムを中心に、揺れが始まる。


『バトルアリーナへお越しの皆様。これよりバトルアリーナは、非常モードに変形を開始します。非常線のお近くのお客様は外側へ。館内のお客様はどうかお近くの手すりにお掴まりになるか、その場で身を屈めてお待ちください』


 バトルアリーナの周囲から、土煙が上がる。


 1つの都市。


 その都市の周囲が楕円形に浮き上がろうとしていた。


 ずしん。


 北側に1つ、巨大な柱が持ち上がる。


 ずしん。


 続いて南側。


 ずしん。


 東。


 ずしん。


 西。


 柱と思われたそれには、建物よりも巨大な爪が生えていた。


 足だ。


 柱のような巨大な足だった。


 ずずうん。ずずうん。


 4つの巨大な足が、バトルアリーナ全体を支えるべくふんばる。


 続いて、後ろ足の間には巨大な尻尾が生え、前足の間からは同じく巨大な亀の頭がせりあがる。


 甲羅にバトルアリーナを乗せた陸亀。


 神獣型ゴウレム『バトルアリーナ大玄武』。


 バトルアリーナの真の姿であった。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆

 

 バトルアリーナの変形は魔導モニターによって、館内に中継されていた。


 すごいな。すごい。


「ジャッジ。それがお前のゴウレムか?」


『YES。見事なもんだろ? 俺の自慢さブラザー』


 続けて館内の、リングの変形が始まる。


 コロシアムリングを囲んでいた観客席が、切り離され、どんどん遠ざかってゆく。


 同時に、俺とムトーさんが立っているリングが、そのまませりあがりはじめた。


 リングの床が、観客席が遠ざかった分、その面積を拡大してゆく。


 屋根部分が完全に取り外され、空が見える。


 いいね。


 広々戦える。


 観客席とリングを完全に隔てるように、透明な壁がせり出してきた。


『そのリングと観客席は次元を切りはなしてある。存分に戦えブラザー』


「ありがとう、ジャッジ」


 さて。


 俺はムトーさんに向き直る。


「はじめますか、ムトーさん」


「ああ、カラスマくん。悪いけれど……僕は君を殺さなくてはならない。そういう命令なんだ。僕はそれをこなさなきゃならない。僕の願いをかなえるためにね……」


「……」


 ムトーさんの肩に乗っていたローブをかぶった小人。それが、ムトーさんの目の前に、すたん、と着地した。


「僕はねカラスマくん。もう一度。もう一度僕の望みをかなえるためだったら、どんなことでもする。どんなことだってやってやるんだ!」


「ムトーさん……」


「……」


「あなたの望みは叶いません」


「……なに?」


「あなたの望みはかなうのかも知れない。でも、それは多分、あなたが望んでいる形ではかなわない。シズルとマズルをあんな目にあわせる奴等ですよ? それをやったらあなたはそれを選んだ瞬間は幸せでも、あとで、あとできっと不幸せになる」


「知った風な口を利くな。お前に俺の何がわかる!」


「これ以上は、平行線ですね……」


 俺は疾風を乗せた右手を前に出した。 


「魔力経路エンゲージ、疾風、四式戦装甲リンクアップ!」


 疾風の体に魔力が、俺の思いのエネルギーが循環を始める。

 

「発動機点火! エンジン回し! 疾風、離陸!」


 俺の手のひらから勢いよく空中に飛び出した疾風が、目の前の敵、ムトーさんに突進する!


「ゴウレムバトル!」

 叫ぶ俺!


「ゴーファイト!」

 叫び返すムトーさん!


 ムトーさんの目の前に控えていたローブを被ったゴウレムが、疾風を迎え撃つべく飛び上がった!


 疾風と、ローブのゴウレムが、空中で激突した!

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