第150話 フェンリルアーマー、オルトロスアーマー
第150話 フェンリルアーマー、オルトロスアーマー
双子に覆いかぶさった二体の狼型ゴウレムが、それぞれ鎧へと姿を変えてゆく。
「フェンリルアーマー!」
とシズル。狼の頭の兜をつけた、銀色の鎧。
「オルトロスアーマー!」
とマズル。両肩に狼の頭を乗せた、黒い鎧。
「効かないねぇ!」
レイピアの刀身をつかみ、ガーネットの必殺の突きを受け止めるシズル。
「ちょっとびっくりしたけどさ!」
ルナリアが飛ばしたちぃネットを両手で受け止めるマズル。
「そんなッ…」
とルナリア。
もがくちぃネット。だが、ちぃネットはマズルの手にそのまま捕まっている。
「このままひねりつぶすよ!」
と、マズル。
「やらせません!」
マズルの手の中で激しく発光するちぃネット! そして、その発光が、太陽レンズみたいになって、
「ユグドラシルを照らす曙光!」
ちぃネットのレンズから赤いビームが飛び出す!
だが!
「こっちにも飛び道具はあるんだよ!」
マズルの両肩にあった狼の頭の意匠。それが、マズルの両腕をスライドしてすべり降りてゆき、マズルの両方の手を狼の頭が覆った。
狼の頭のパペットみたいだ……。
「ヘルブレイズッ!」
マズルの両手の狼の頭、その口が赤く発光し、ビームを出した!
ちぃネットと、狼の口がそれぞれビームを出し合い、打ち消しあう!
「くぅ!」
ビームを出し切ったちぃネットが飛び上がり、狼の口から逃れた!
「おろそかッ! ヘルブレイズ!」
マズルの両手の狼の口が、空中のルナリアに向けられた。その口から赤いビームがはなたれる!
赤いビームが、ルナリアに届く!
「カラスマくん!」
おまんじゅうのような粘土細工がルナリアの肩に飛び出す。
そのカラスマくんの表面に貼り付けられているのは……。
「カラスマくん! シズオカ製アフターモデリングパーツ、『力場発生フィールド展開装置』リンクアップ!」
緑色のバリアーが、カラスマくんを基点にピラミッド型に展開する!
だが!
マズルが放った赤いビームは、その緑色のピラミッドバリヤーを貫通してみせた!
「そんなッ!?」
慌てて、ちぃネットを呼び戻すルナリア。
ビームの射線がルナリアを捉える前に、ちぃネットがルナリアを掴んで射線からひきはなす!
ちぃネットに捕まえられて空を飛ぶルナリア。
「そいつは任せるよマズル!」
「わかったシズル!」
ガーネットの左腕、篭手から生えた赤いレイピアを両手でつかんではなさないシズル。
「はあああッ!」
ガーネットは右手に構えたレイピアで、シズルに斬りかかる。
だがそのレイピアをシズルは片手で受け止め……。
否!
受け止めずに拳を突き出した!
レイピアの刀身が、粉々に砕ける。
「そんな…」
シズルの拳が、ガーネットの顔面に迫る。
「ラムぺガスの盾!」
シズルの掴んでいた赤いレイピアが引っ込む。
と、同時に、ガーネットの左腕を覆っていた篭手が変形し、盾となった!
がつん!
シズルの正拳突きを盾で受け止めるガーネット。
だが、衝撃までは打ち消せずに、ガーネットのかかとが、地面に線を描きながら、大きく後退する。
「びっくり箱みたいだね、そのゴウレム」
不敵に笑うシズル。
「まだまだ驚いてもらうわよ! ラムペガスの剣!」
盾が再度変形をはじめ、今度はガーネットの手に赤い剣が現れた。
両刃の大振りな剣。
「うおおおお!」
赤い剣を振り下ろすガーネット!
両の拳を突き出し、それを受けるシズル!
がぎん!
金属同士がぶつかりあう高い音が響いた!




