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第123話 水晶プロジェクター

第123話 水晶プロジェクター


 俺の部屋に集まって、全員がタブレットを覗き込むのは大変見づらい。


 鑑賞会は食堂で行うことになった。


「これを使いましょう」

 と、メイド長が水晶玉を持ってくる。


「作戦会議などで、地図や見取り図などを壁に映し出す魔道具です」


 そんなもんよく持ってるなぁ。


 タブレットを机に置く。その上に水晶玉を置く。すると、水晶玉がちょっとだけ浮いてそこから光が投射される。


 タブレットの画面が食堂の壁に映し出された。


 拡大レンズと映写機をあわせたようなものか。プロジェクターとか、ホームシアターみたいだな。


 気分はちょっとした映画館。


 コーラとポップコーンが欲しいところだ。


「じゃあ、さっそく上映会をはじめようか」


 食堂には俺の他に、ガーネット、ルナリア、メイド長、ハウ。屋敷の全員がいる。


「アニメですよね? たのしみです」

 と、ルナリア。


 俺はタブレットのアイコンをタップする。


 壁に映写された画面が動き出す。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 うねうねうねうねうねうねうねうねうねうね!!


 もぞもぞもぞもぞもぞもぞもぞもぞもぞもぞ!!


 ずりずりずりずりずりずりずりずりずりずり!!


 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!


 地平線を埋め尽くすスライムの大群。


 分裂を繰り返すうごめく粘液。その群れが通り過ぎた跡は、雑草一つ残さない。


 まさしく、死の行軍!


 その群れが今まさに、一つの村を飲み込もうとしていた。


 ×  ×  ×


 巨乳エルフの村。


 巨乳ロリエルフの少女が井戸から水を汲み、額の汗をぬぐう。


 村はずれに迫った土煙。


「え、なに?」


 土煙はだんだんと、近づいてくる。


「えっつ、あれって……!!」


 うねうねうねうねうねうねうねうねうねうね!!


 もぞもぞもぞもぞもぞもぞもぞもぞもぞもぞ!!


 ずりずりずりずりずりずりずりずりずりずり!!


 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!


「きゃああああああああああああああああああ!!」


 絹を裂くような悲鳴。


 その土煙の正体に気づいた少女は驚きのあまり汲んだばかりの井戸水の入った桶を落としてしまう。


「なに! どうしたの!?」


「なにがあったの!」


 村に住む巨乳エルフ達がなにごとかと、少女の前に次々と姿を見せる。


「あ、あれ、あれ……! 」


 村に迫る土煙を指差す少女!


「あれは……あれは……(中略)ねぶりスライムよッ!」


 タイトルコール。


『転生したらハーレムでした! (中略)ねぶりスライムの大群がエルフの里に!? 堕ちる悪役令嬢「ミルクを下さい、ごしゅじんさまぁ♡」』


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 再生停止を押した俺。


「え? 何で消しちゃったのカラスマ?」

 と、ガーネット。


「あ。ああ、何でもない。再生する動画を間違えたんだ……」


 ギリギリセーフ。


 ……よかった。こいつらが日本語がわからなくてよかった。あと映像も実用的な箇所から始まるやつじゃなくてよかった。


「私続きが気になります! これからどうなっちゃうんですか?」

 と、ルナリア。


 なんでそんなこと言うの?


「いや、大したことない。何も起きないよ」


「何も起きないわけがないでしょ! スライムの群れが女の子の村に近づいてたじゃないの! 大変じゃない!」


「見たいですカラスマ様」


「見せなさい! カラスマ」


「もう消しちゃったから見れないんだよ」


「メイド長! カラスマを取り押さえて」


「はい」


 メイド長が一瞬で俺の背中に回り、俺を羽交い絞めにする。


 すごい力でふりほどけない。


 あ。


 なんか背中にやわらかいものが当たっている。


 はあ……これはこれで……。


 じゃなかった……!


「この板を押せばいいのよね」


 タブレットをいじりはじめるガーネット。


「おいバカ! やめろ! 勝手にさわるな!」


 まぁ、タスクキルしてあるから、さっきの動画の続きは見れないはずだが……いやまずい!


「こうかしら?」


 別の動画が再生されはじめる。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


『おーいえーおーいえーせしぼーーーーんせしぼーーーーん』


 (映像描写自粛)


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


「いやああああああああああああああああああああー、なによこれなによこれなによこれ!」


 口では叫び声を上げながら、赤面しつつ画面に釘付けになっているガーネット24歳。本当に食い入るように見ている24歳。


 なによこれって見たまんまだろうが、……じゃない!


「何でよりにもよってもっとやばいヤツを選んで再生するんだよ! 最初から実用性クライマックスのやつじゃな……ぐえええええ!」


「寝言はあの世で言いなさい、カラスマ」


 俺を取り押さえていたメイド長がヘッドロックを掛けてくる。


「え? 何ですか? 何が起きてるんですか?」 

 と、ルナリア。


「わからん」

 と、ルナリアの目を両手で隠しているハウ。


「この変態! 痴漢! 女の敵!」


「俺は一切悪くないだろ! 再生したのはお前……(ヘッドロックが)痛い痛い痛い痛い!」


「カラスマのばかーッ!」


 タブレットをひっつかんで俺に投げつけてくるガーネット。


「ぐわーッ!」


 俺の顔面を痛打するタブレット。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 10分後。


「えー。色々と事故がありました。今後このようなことが無い様に、御前様、お嬢様におかれましては、タブレットへのお触りは禁止といたします。いいですか? いいですね?」

 と、俺。


「……わかったわよ」


「わかりました」


「じゃあ、これから動画を再生しますので、見てください。今度こそ、TVアニメシリーズ、モノコックウェポンズ・フラウです」


 そういうことになった。

 拙作はいかがだったでしょうか?

 続きは頑張って書きたいのですが、書く力を得続けるには、ポイントの力が必要です!!!


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