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第107話 異世界名物ドラゴンステーキ!

第107話 異世界名物ドラゴンステーキ!


『イャン……、イャン、イャン……』


 (中略)先生はボロボロだったが、何とか飛べた。


 ボロボロの状態で、さらにぶら下げたドラゴンの肩付きの腕が重たい、疾風が下から押して補助する。


 飛行速度は出なかった。行きの倍の時間をかけて俺達は屋敷に戻った。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 ベルン男爵邸。


 ずん。


 腕を庭?というか屋敷の近くの丘に置いて、そのまま着陸する、


 ずしん。


 と、ほぼ墜落する(中略)先生。


 ショックでケツが痛い。


「……飛ばすのがやっとだったんだ、ごめんよ……」

 と、ムトーさん。


「……大丈夫っす。ありがとうございました……」

 と、俺。


 二人とも、怪我と疲労で(中略)先生の背から動けない。


「ごはん」

 と、ハウ。


 元気だねキミ。


 屋敷から何事かと、皆出てきた。


「どうしたのこれ!」

 と、ガーネット。ドラゴンの腕がドンと置かれてりゃそりゃ驚くか。


「カラスマ様!」

 と、ルナリア。


「これは!?」

 と、メイド長。


「ガーネット……」

 を、呼ぶ俺!


「カラスマ! 何あなた怪我してるじゃない! 大丈夫なの!?」


「駄目だ……医者呼んでくれ」

 と、そのまま倒れた。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 男爵邸。


 工房。


 に、シーツを敷いて臨時の救護所にする。


「人を薬箱か何かだと思ってませんか?」

 と、チャペル。


 神官の神聖魔法の回復魔法を当ててもらう。


 おお、すごいみるみる怪我がよくなっていく。


「ドラゴン退治とはタフガイ。勇者だなぁブラザー」

 と、チャペルを連れてきたジャッジ。


 俺とムトーさん、ハウは全快した。


「何でそんな危ないことしたのよ!」

 と、怒るガーネット。


 ものすごく怒っている。


「カラスマ様。危ないことはやめてください……」

 と、目を潤ませるルナリア。


「カラスマ様に、もし何かがあったら……、私……」


 ちょっと今回は考えなしすぎた。


 反省。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 ベルン男爵邸。


 スーパー銭湯スペース。


 一番でかいメインの湯船にざぶんと入る。


 どっぷりと湯船に肩まで浸かる。


 足を伸ばす。


 手を伸ばす。


 湯船の中で大の字になる。


 ふー。


 熱い。


 そして、気持ちがいい。


「やっぱり極楽だねー」

 と、ムトーさん。


 俺の隣で風呂に入り、同じく大の字になっている。


「フィール・ソー・good。アリーナの大浴場もいいが、ここのは風情があるな……」

 と、ジャッジ。


 同じく大の字になっている。


「俺はアリーナの風呂の方が好きだぞ」

 と、俺。


「お前が好きなのは別の風呂だろブラザー?」


「「HAHAHA!」」

 と、ジャッジと笑いあう俺。


「なんと破廉恥な」

 と、チャペル。


 風呂の中で体育座りすんなよ。もっと楽しめチャペル。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 ベルン男爵邸。


 食堂。


「本日のメインディッシュは、ドラゴンのステーキでございます」

 と、メイド長。


 全員の食卓の前に、分厚いステーキが並ぶ。


『いただきます』

 と、全員。


 俺とムトーさんは目の前のドラゴンステーキを見て顔を見合わせていた。


 あいつの肉かぁ……。


 というか人間の姿にもなってたんだけど……。これ、食べていいのかなぁ。


「ナイス。なんてデリシャスなんだ」

 と、ジャッジ。

 あ、フツーに食べるんだ?


「はぁ……主よ。感謝いたします」

 と、チャペル。

 聖職者でも食べるんだ?


「良くやったわカラスマ! こんな超高級食材、よく手に入れたわ」

 と、ガーネット。

 お前は躊躇無く食べると思った。


「美味しいですカラスマ様」

 と、ルナリア。

 やさしい子なんだけど、やっぱり食べるのか。


「ごはん、ごはん、ごはん!」

 問答無用。こいつはすごい食欲だな。


 この世界の人間はみんな抵抗無くフツーに食べるものなのか……。


「いただきますって言葉の語源は、食物への感謝を現しているというし……」

 (※諸説あります)

 と、ムトーさん。


「ここは感謝を込めていただくべきかな……」


「そうですね」

 と、俺。


 ナイフとフォークでちいさく切り、意を決して食べてみる。


 美味い。


 美味すぎて言葉が出ない。


 とろとろで肉汁ジュワー。


 一皿ぺろりといけてしまった……。


 ありがとう、ドラゴン!


「いや……これはすごいね」

 と、ムトーさん。


「おかわりは要りますか? カラスマ?」


 ハウに代わりの肉を配膳していたメイド長。


 そういえば、メイド長はジャッジにワインを注いだり忙しく働いていて、食事を取ってないな。


「ねえ、メイド長は食べないの?」


「結構です。私には職務があります。本日はお客様も見えられていますので、あとで頂きますから……」


「そう言わず皆で食べようよ」


 一応、主人にもお伺いを立てるか。


「なぁ、いいだろガーネット?」


「メイド長。当主として命令します。一緒に食べましょう」

 と、ガーネット。


「そ、そうですか……」

 と、メイド長。


 そういうことになった。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 食後の食堂。


 ジャッジとチャペルは帰った。


「皆電源は入れたかい?」

 と、ムトーさん。手には(中略)を持っている。


「はい」

 と、俺。手には(中略)を持っている。


「あ、絵が動きました!」

 と、ルナリア。手には(中略)を持っている。


「こんなモンスター。見たことないわ」

 と、ガーネット。手には(中略)を持っている。

 

 俺達は(中略)を4台接続し、協力プレイをして遊ぶことになった。


 遊ぶソフトはもちろん(中略)! プレイヤーがハンターとなってモンスターを狩る、アクションゲームの大名作だ。


「じゃあ、みんな酒場に集まってくれ、クエストを発注するから!」

 と、ムトーさん。


「はーい」

 と、ルナリア。


「あれ? あれ? これ同じところをぐるぐる回っちゃうんだけど、どうしたらいいの?」

 と、ガーネット。


 皆、楽しそうだな。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 1時間後。


「あっ、ごめん。またやられちゃった……」

 と、ガーネット。


「もういい、お前はキャンプから出てくるなよ! 一人で2没しやがって」

 と、俺。


「そんな……」


「お姉さまはもうこないで下さい。もう一回やられたらゲームオーバーしちゃうんです」


「ルナリア様。回復薬を渡しますから、使ってください」


「ありがとうございます! ムトー様」


 2時間後。

 

「緊急クエストクリアです! やりました!」

 と、ルナリア。


「お疲れ様」

 と、俺。


「わからん」

 と、ハウ。


「ハウさんも筋がいいよ」

 と、ムトーさん。


「楽しいですね、このゲーム」

 と、ルナリア。


「ああ、最高のゲームでしょ?」


「はい! すごく楽しいです」


「あぁ、僕もこんなに楽しかったのは久しぶりだよ。また家族で遊んでるみたいだった」


「ご家族で遊んでらっしゃるんですね」


「ああ。前はよくね」

 と、ムトーさん。


「……」


「? どうかなさったんですか? カラスマ様」


「……いや、なんでもない」


「私は楽しく無いんだけど……」

 と、ガーネット。


 わかったからすねるなよ。


 だいたいお前が手に持った(中略)を叩きつけるからいけないんだからな。


 その晩はみんなで遅くまで(中略)で遊び、メイド長に怒られた。


 すごく怒られた。

 拙作はいかがだったでしょうか?

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