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戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。  作者: 横蛍・戦国要塞、10巻まで発売中です!
天文17年(1548年)

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第二百三十五話・黒船ショック!

side:里見義堯さとみよしたか


「やはり……鬼の仕業か?」


 伊勢めと織田は浦賀水道に面した水軍の拠点を荒らしていきおった。ここまでは予想通りだが、驚いたのはその後であろう。


 まるで鬼の力で暴れたように湊は荒らされておる。建屋は人の手でやったとは思えぬほど打ち壊され、地に大きな穴が空き、何もかもボロボロになるまで破壊されておる。


「舟は全て持っていかれましたな」


 無論のこと付近の者は事前に城に避難させた。しかし、その者たちは鬼が雷を喚んだと言う者もおれば、怒り響くほどの奇声を叫んでおったと言う者もおって今も怯えておる。


 伊勢めは鬼と組んだのだと噂が広がっておる。わしもその話が嘘とは思えぬ。


「殿。音の正体は噂に聞く織田の金色砲かと思われまする。あれは雷を呼ぶと評判ですので……」


「そのような与太話を……」


 そういえば旅の者が話しておったと聞く。織田は金色に輝く武器で雷を呼び城を落としたと。夜空を明るく照らす花を咲かせたと。


 くだらん与太話で自家を大きく見せる者は少なくない。野盗がいつの間にか土地を占拠して、北条の名を騙るたわけ者すら関東にはおるのだ。


 できるはずがないと一笑に付したが、まさか事実であったのか? 織田は鬼を従え鬼の武器を使うのか?


「いかがされますか?」


 いかがすればよい? 今川や上杉に古河公方には引き分けたと使者を出したが、すぐの援軍は望めまい。


 足が遅い故に残しておった関船から漁師の舟まで持ち去られたうえに、湊にあった僅かな食い物も全て持っていかれた。


「殿。ここは和睦をされては?」


「確かに。伊勢の狙いは我らではない。上杉だ。その邪魔さえしなければ……」


 誰もが戦の前のような威勢はなく、和睦を口にする者すらおるとは。


「和睦はせぬ。今更、伊勢の輩になど頭を下げられるか!」


「しかし水軍が壊滅しては家中から離反者が出ますぞ」


「舟を急ぎ造るのだ!」


 だが伊勢との和睦だけはせぬ。里見の名に懸けても。攻めてくるならば安房に引き込み徹底抗戦してくれるわ。


 籠城からの反撃は伊勢の輩だけがする策ではないわ。わしは愚かな上杉や公方とは違うのだ。


「殿! 捕らわれた者たちはいかがするのですか!? この辺りの者は皆が家族の帰りを待っておるのですぞ!」


「たわけ者が! 伊勢の輩に捕まった者など死したも同然。そのような者など忘れて、すぐに水軍を再編いたせ!」


 たわけが! 伊勢めに頭を下げて捕らわれた者を返してもらうつもりか!? そのような恥を晒せるか!!


 許さぬ。許さぬぞ。必ず後悔させてやるわ!


「殿……」


 わしが弱気を見せれば里見は終わりだ。鬼だろうが次に会えばこの手で斬り捨ててくれるわ!


 今に見ておれ。伊勢の輩を滅ぼし織田も滅ぼしてくれるわ!!




side:北条氏康


「完勝じゃな。文句のつけようがない」


 織田を餌に里見の水軍を潰すという叔父上の策は上手くいった。いや、上手くいきすぎたというべきか?


 里見義堯は久遠殿の奥方を鬼と勘違いをして、命からがら逃げ出したというのだから大恥もいいところだ。


「ジュリア殿が前線に出たとは……」


「若様。あれはまさに九郎義経公のようでございました。舟から舟へと飛び移り、敵を討ち取る姿は某も感服致しました。いや、女の身ならば今巴御前とでも言いましょうか」


 聞けばその奥方は武芸が得意で尾張では男の兵に武芸を教えておったという。しょせんは女の身かと思っておったが、孫九郎が女武者なれど武士の中の武士だと絶賛しておるというのだから驚きだ。


 正直、孫九郎がおらねば織田に手柄を全て持っていかれるところだったというのだから、孫九郎を行かせて本当に良かった。


「南蛮船の力も想像以上でしたな」


「だがあれは銭が恐ろしく掛かるのではないか?」


「それはそうでしょうが、織田にも久遠にもその余裕があるということの証でもあります」


 それと力量が知れなかった南蛮船が、いかに恐ろしいかがよく分かった。


 鉄砲やら弓やらで南蛮船の上から大量に撃たれては取り付くのもできなかったという。いつの間にか包囲されて十隻の船で間断かんだんなく釣瓶つるべに撃たれては、我が北条の水軍衆とて同じ結末ではないのか?


 伊勢の海の水軍衆が大人しく従うはずだ。友誼を結ぶか、従順な態度を崩さねば気前がいいからな。行く先々で寄進しておるのであちこちから来てほしいとの声すらあるのだ。


「温泉に行きたいなどと物見遊山気分だと思えばこれだ。恐ろしい相手だ」


「しかし殿。この度の礼はいかがなされますか?」


「……そこが問題だな」


 奪った舟でも欲しければやるのだが、持ち帰るのも苦労するであろうな。金や銭を基本にしつつ商いの優遇をするか?


 織田の船からは税を取らねば向こうも得をするはず。


 いや、足りぬな。


「父上。そもそも織田は本当に格下なのでしょうか? 」


「西堂丸。何が言いたい」


「織田領には新しき物が溢れておりました。見たこともない甘い瓜など、商いで扱っておらぬ物もありました。それに三河から美濃の半ばまで領有しております。領地の実入みいりで二カ国。商いで一カ国の力があると考えれば同格ではないでしょうか」


「わしも若君の意見に賛成じゃな。それほど大きな力の差はないと見た。何より向こうは敵も少なく領内もあまり荒れておらん」


 悩んでおると西堂丸と叔父上が織田の扱いについて口を開いた。わしもあからさまな格下扱いはしておらぬが、西堂丸と叔父上はすでに織田の力は北条と並ぶと見ておるか。


 つまり礼を慎重に考えねば、こちらが見限られるということか。


 いっそ里見を降して安房の地の切り分けをやるか? 今は空手形になるが南部の湊に向く地でもやれば関東と奥州への足場ができて商いもやり易かろう。


 将来、我らの敵になれば恐ろしい気もするが、尾張から関東は離れておるのだ。領地を与えたとて当面の脅威にはなるまい。


「殿。ここはワシにお任せくださりませぬか? 一度、織田方の話を聞いてまいります」


「織田の意向を聞くか?」


「はっ。少なくとも欲する物が見えれば決断のお役に立てましょう」


 戦った里見の領地から分けるのが順当かと思ったが、叔父上から一案が出された。


 そうだな。織田の意向を聞かずに安易な判断はできぬ。安房の湊の一つくらいならばやってもよいが、それが織田の望みか分からぬのだからな。


「では駿河守に任せよう。それと戦勝の祝いをするのでそちらも任せる」


「ははっ!」


 敵は里見だけではない。上杉もおるのだ。いずれをいかに攻めるかは後で考えるとして、里見水軍が壊滅した影響は大きい。


 盛大に戦勝の宴を開かねばならぬな。



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書籍版戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。

第十巻まで発売中です。

― 新着の感想 ―
やっぱ彼はSAN値ゼロのようだ、いまだに戦えば勝てるって妄想が出来るんだから
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