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戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。  作者: 横蛍・戦国要塞、10巻まで発売中です!
天文17年(1548年)

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第二百二十三話・信長と氏康

side:織田信長


 集まった領民に遠巻きに囲われ、明らかに身分の高い者たちがおるな。


「西堂丸様。駿河守様。お帰りなさいませ」


「出迎えご苦労」


 やはり西堂丸たちの出迎えか。だが、それでも周りの様子が物々しい。


「三郎殿。こちらが我が殿の左京大夫様にございます。殿。こちらは織田弾正忠殿が嫡男、織田三郎殿でござる」


 只者ではないと思うてはおったが、まさか左京大夫本人がこの場に来ておったとはな。烏合の衆とはいえ十倍の敵に勝つには運だけでは無理であろう。


「よき船であるな」


「大きい物から四隻は久遠家の南蛮船、残りは佐治家にて久遠家の助力を得て造った船になりまする」


「城に来るがよい。歓迎しよう。関東に南蛮船が来たのは初めてだ」


「ありがとうございます」


 周りにおる領民の様子を見れば、左京大夫の力量や人望が分かる。領民が左京大夫をただ恐れておるわけではなく、その表情も悪くない。


「やはり中々の御仁のようですな」


「ああ」


 左京大夫は駿河守と西堂丸を連れて、先に城に戻った。爺も叔父上たちもその表情から、油断できぬ相手だと感じたらしいな。


 左京大夫本人がおったのならば、かずたちも先に降ろすべきだったかもしれん。


 オレは格上の者と会ったことがあまりない。特に一国の国主とは会ったことがないからな。


 とはいえそれは普通のことだとも言える。


 暗殺や毒殺の恐れがあるのに、他国にわざわざ行く理由が無いのだ。


 北条にしても西堂丸はまだ幼く、信頼できるかもしれんが、駿河守は腹芸のひとつやふたつしてもおかしくはないし、左京大夫に至ってはそれ以前の問題であろう。


「町が賑わっておりますな」


「北条には伊豆・相模・武蔵と今や三ヵ国の領地があるからな」


 かずを呼びに行かせて、しばらく考え込んでおったら、爺と叔父上たちが町を眺めて、賑わいについて話しておった。


 町の賑わいはそのまま北条の力を示しておると言えよう。特に爺は畿内に何度か行っておる。その爺が賑わいについて口にしたのは気になるな。


 『関東など所詮はひなの地だ』とよく言われるが、本当にそうなのか?


「へえ。なかなかの町ですね」


「やはりそう思うか?」


「町なんてのは治めてるお方で変わりますから。清洲や桑名がいい例でしょう」


 船から降りてきたかずは、町を見て笑みを浮かべた。この男はすぐに表情に表れるのが欠点だな。オレも気をつけねばならんな。


 しかし面白いことを言うたな。なるほど左京大夫のみではなく、小田原の町と北条全体で見るべきかもしれん。


「これは城も凄いな」


「そうですな。堀といい土塀、土塁といい、以前の清洲とは比べものになりませぬな」


 賑わう町を案内役に先導される形で城へと歩いていく。叔父上たちは尾張とは比較にならぬ堅固な城に驚いておる。爺は石山なる本願寺の本拠を知る故に落ち着いておるのだろう。


 親父はあまり城にこだわりは無いからな。かずたちが清洲城の改築を勧めたらやる気になったらしいが、籠城というよりは商いや領内の統治に役立つと聞いて決めたようだしな。


 元々、弾正忠家の領地には山城はなく、籠城には向かぬ場所だったのが、影響しておるのかもしれんがな。


 オレがこの先、天下の統一を目指し、道を進むならば、このような城を幾つ落とさねばならぬのだろうな。


 今までのようなやり方では無理であるのは確かか。




Side:北条氏康


「まずは某の独断で西堂丸様の素性を尾張にて明かしたこと、深くお詫び申し上げまする」


「それはよい。小田原に南蛮船を迎え入れることができたと考えれば問題はあるまい。それより旅の話を聞かせてくれぬか」


 さてと。織田一行と正式に会う前に、叔父上から尾張と織田の話を聞かねばならぬな。


「大まかに話すと以上になりまする」


 叔父上の話に困惑する者もおるようだ。『一時の成り上がりではない』が叔父上の所見か。


 祖父が興した北条家のように、織田はまだまだ大きくなると。叔父上にそこまで言わせるとは……。


 尾張たたらのことは風魔が調べておったが、足利学校を模した学校と大きな病院なる診療所。それに新しい湊か。


「何より荒れた村を復興し、田畑を再びひらいておる姿には驚きました。費用は全て織田家が出しておるとのこと」


 領内を整備して、流人にさえ仕事を与えておるか。それほど織田の商いは儲かるのか?


 武士が町を歩けば拝まれるなど、聞いたことがないわ。それなりに歳を重ねると出家する者もおるが、領民からそこまで慕われるとは。まさに祖父のようではないか。


「本物の南蛮船に関しましては全て久遠家の物のようで、弾正忠殿も三郎殿も同盟者に近い扱いをしておるようにも思えました」


 さすがは叔父上だ。風魔の調べだけでは分からぬことも見えたか。


 しかも織田が躍進した理由が、久遠の主導する商いと明や南蛮の知識だとは。よくそこまで聞き出せたものだ。


「弾正忠殿も三郎殿も大きなすきは見当たりませぬ。また、一度や二度の戦で織田が負けても、権勢の大きな衰えがあるとは思えませぬ」


「それほどか?」


「はっ。もし数年でわれら北条と互角の領地を得ても某は驚きませぬ」


 話半分で聞いても驚きだな。三河も西は織田の勢いが増しておるし、美濃は和睦を進めておると聞く。


 困ったことに叔父上が、全くの見当違いをするとも思えぬ。


「隙があるとすれば、久遠家はあまりに武家とは違い過ぎることかと。弾正忠殿と三郎殿ならば問題は無いと思いまするが、もし二人が早々に亡くなれば……」


 ふむ。隙は久遠か。もし久遠が良からぬ野心を抱いたら……


「織田はやはり商いを望むか?」


「はっ。それが一番の望みかと」


 織田の行く末は、まあいい。当面は問題がないならば友誼を深める価値は有ろう。


 関東にて明や南蛮の物を手に入れるには、西に頼らねばならぬしな。仮に織田が久遠に代わってもあまり問題は無い。


「懸念は今川家でございますが……」


「構わぬ。今川とて織田と商いをしておるのだからな」


 所詮、たびは同盟の話まではいかぬであろう。今川が如何に判断するかは別だが、今川と敵対しておるから商いもするなとは言えまい。


 あの難所続きの伊勢の海から伊豆の海までを船団のままで来たのだ。なれば商いはこの機会を逃せば必ずや悔いるであろう。


「殿。久遠殿の奥方たちには南蛮の者もおります。みな優秀で多くの知識も備えておりますれば、使節の主だった者と一緒に夜の宴には招くべきかと」


「よかろう。叔父上。接待役を任せる。他の者では上手くやれぬかもしれぬしな」


 南蛮の女か。確かに見てみたくはある。だがあまりじろじろと見るわけにはいかぬ。


 家中の者にもくれぐれも言っておかねばならぬな。



◆◆◆◆◆◆◆


 天文関東道中記には一行が見た当時の小田原の様子が克明に記されている。


 筆者の太田が凝り性だったらしく、記述が増したようだが、現代では当時の小田原の様子から庶民の様子まで分かると言われていて、歴史的にも貴重な物になる。


 特に城に関しては久遠家の者以外は驚きも大きかったようで、後に影響を与えたと言われている。


感想返しは来週には必ず再開します。

言い訳ではありますが、今は関東に居まして。パソコンでの執筆の練習などしてまして。

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