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戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。  作者: 横蛍・戦国要塞、10巻まで発売中です!
天文17年(1548年)

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第百七十二話・斎藤道三の憂鬱と蟹江の普請開始

side:斎藤道三


「織田は何を考えておるか、わからぬな」


「左様。少し調子に乗っておるのではないか?」


 たわけが。帰りの船に乗った途端に悪口を口にするとは。ワシの機嫌を取っておるつもりか?


「それにしても、信秀め。あのような南蛮の大女に茶を立てさせるとは。我らを愚弄しておる証」


「ふざけたことをしおって」


「止めぬか。容姿だけで人を愚弄したなどと言う奴があるか」


 やはり何も分かっておらぬな。


 人の容姿を批判などしてどうなる。それよりも信秀に久遠家の者が重用されておることを考えぬか。


 自らが口にする茶を任せるばかりか、ワシらの前で茶を立てさせたのは信秀が何より久遠家とあの南蛮の女を信頼しておる証。


 だが何故一介の家臣の、しかも女にあの場を任せたのだ?


 ただの酔狂ではあるまい。


「しかし殿。南蛮の大女の茶など……」


「作法は素晴らしかった。あれが南蛮の女でなくば誰も騒がぬはずじゃ」


「いつも言うておるであろう。物事は本質を見極めよと。貴様らが信秀ならば、何故あの女に茶を立てさせる?」


 平手五郎左衛門も茶は立てられるはず。それをあえてあの女に任せたのは理由があるはずだ。


 分からぬ。


「それにあの花火と言うたか。あれはいったい如何なる物で、いくら掛かるのであろうな」


「あれはいったい何だったのだ?」


「分からぬ。南蛮の物であろう」


 それだけではない。あの夜空に現れた花火という物は何なのだ?


 久遠家が信秀の命でやったと噂しておったが、いかにすれば空に火を打ち上げられるのだ?


 まさか本当に南蛮妖術の類いか?




「そうそう。嫡男の大うつけは何ゆえ家臣に混じって、あのような粗末な格好で物売りなどしておったのだ?」


「うつけの考えることは分からぬな」


「たわけ。あれがうつけなものか。祭りにて家臣と共に働いておっただけであろうが。城から出ぬような者よりよっぽどいいわ」


 こやつらは駄目だな。うつけだと? 誰も奴をうつけだなどと見ておらなかったことが何故分からぬ。


 神仏を祀る祭に嫡男が自ら働く姿を見てうつけだという、貴様らの方がうつけだ。


「……遠くないうちにワシは、信秀の門前に馬をつなぐことになるかもしれんの」


「なっ。何をおっしゃいます!」


「そうです! 織田がいい気になっておれるのも今のうち」


 話しても無駄か。織田と久遠の間に付け入る隙はない。


 嫡男と親しく随分と厚遇されておるようじゃ。その意味をこやつらは理解できぬか。


 皮肉なものだな。ワシも信秀も同じく主家を蹴落として今があるのに。


 ワシは嫌われ、信秀は好かれておる。


 尾張の者たちは信秀を仏と呼び慕っておるのに、ワシは陰で畜生呼ばわりされておるであろう。


 どう考えても勝てん。そもそも織田は戦をして勝つ必要などないのだ。


 調略を仕掛ければ美濃の国人は織田に降る者も多かろう。名目は元守護の美濃守に従うと言うてな。


 それをせぬのは今は美濃より尾張を固めたい、それだけであろう。逆に考えれば信秀が尾張を固めた時に、ワシにどれだけの力があるかに掛かっておるが。


 無論のこと上手く立ち回れば、同盟相手として生き残れるかも知れぬが……。


 織田はこれからも大きくなるであろうが美濃は難しい。遅かれ早かれ臣従せねばならぬ時が来るのであろうな。


 息子の新九郎は織田との和睦すら反対するうつけだ。奴では駄目だな。


 事は慎重に運ばねばならぬ。


 美濃がいかがなろうが我が子孫の将来は守らねばならぬからな。




side:久遠一馬


 花火は良かったなぁ。


 翌日には早くも一部の商人が花火を売ってほしいと言ってきたが、線香花火以外は売るわけにはいかないんだよね。て言うか、打ち上げの技術もない、金額も合わない、その上、他国の商人で売って貰えると思うなんて。それとも情報が引き出せたら儲け物と思ったのかな?


 あまりの轟音に雷様が怒ったとか、仏様が現れたとか、騒ぎになった近隣の村もあったらしい。ちょっと悪いことをしたかな。


 お詫びに尾張の村には線香花火を贈ろう。ウチの家臣に届けてもらい、火事とか起こさないように線香花火の正しい楽しみ方を教えるようにしよう。


 直轄領以外は領主が居るから許可を得ないと駄目だけど、反対する人は居ないだろう。


 後は道三とか今川が花火をどう評価するか楽しみだね。




「これはまた奇妙な形の城でございますな」


「殿から南蛮風の城をと言われたんだ」


 さてこの日は、早くも長島から人足が派遣されてきたので対応に追われていた。


 蟹江の港町の建設が始まったんだ。


 織田家からは願証寺や派遣してくれた国人衆に礼金を払うし、やってきた人足の領民にも日当とご飯を提供する。


 織田も願証寺も領民もみんなが得をする計画だからね。先日の戦の対立なんか無かったかのように落ち着くだろう。


「南蛮風の城でございますか」


「うん。完全な南蛮の城はちょっと日ノ本には合わないからね」


 蟹江について縄張りはエルたちが行った。


 伊勢から呼んだ人たちには土地の造成や港の建設を頼むことにしている。特に土地の造成などは土を運んだりと人海戦術が欠かせないからね。


 そして蟹江の城については、信秀さんから意外な注文がついた。南蛮人が驚くような南蛮の城を建てるように言われたんだ。


 南蛮と言っても広いし様々なのは説明したし、日本は地震が多いから西洋のような石造りの城はあまり向かないことも説明したんだけどね。


 エルと相談して星形の城にすることにした。


 史実だと幕末期に函館に造られた五稜郭が有名だが、ヨーロッパではすでに星形の城郭や要塞はあるみたい。


 星形城郭の利点は、鉄砲などの火力による防衛のしやすさだろう。現行の城は火砲の運用や防衛を全く考えられていない。


 おそらく現在改築中の清洲城が、鉄砲の運用と防衛を考えた最初の城になるはず。ただ清洲城もこの時代には存在しない、城の基礎に石垣を用いることに少し苦戦してるけど。


 史実で最初に石垣を組んだ、近江の穴太衆でも居ればいいんだけど。さすがに他国の人はなかなか呼べないらしい。技術流出の懸念もあるしね。


「城は後回しでいいから、土地の造成と港を造っちゃおう」


「はっ!」


 さすがに人が足りないんでウチの家臣に、信秀さんが派遣してくれた人たちと一緒に、派遣された人足達を使い蟹江の港町造りを始めることになった。


 ただ商人なんかは早くも集めた人足たち向けに物を売りに来てるし、遊女なんかも集まってきている。


 ほっとくと勝手に町ができそうだから、こっちも統制が必要だろう。他国の間者も居るみたいだしね。


 商人とか遊女は望月さんに任せよう。間者対策という面では本当に有能なんだよね。


 蟹江の港が完成して清洲・那古野・津島・熱田と一体にして開発できれば、日本の商業を握れるかもしれない。


 まあ敵が増えるから当面は大人しくしてる予定だけど。


 蟹江に送られてきた人足たちも一向宗の信者なんだろうし、これを機会に尾張にいい印象を持ってもらえればいいな。



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― 新着の感想 ―
[一言] 「……遠くないうちにワシは、信秀の門前に馬をつなぐことになるかもしれんの」 名言キターーー
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