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17 まおうぐんのにちじょう アツシ体を鍛える

何故かエルとデートする事になったアツシ。それはカールソンを騙す為のものだった。だがアツシはそれに気づき、それを逆に利用してエルに怒られないギリギリの事をしようと思っていた。エルはアツシのした事を軽く受け止め、恋人たちが集まる公園でエルとのキスをしようとした。しかしその全てはフレーレが企んだ事で、アツシの行動はストリーに見られてしまっていた。そしてなんやかんやあり今へと至る。


「ストリー、も、もう動けないよ」


 ストリーの下腹部が俺の体にピッタリと吸い付き、その熱までもが俺にに伝わって来る。


「まだだ、まだたったの二回だろ! せめて後三回はやってみせないか!」


 ストリーは相当無茶なことを言っている。

 あと一回ならまだしも、二回や三回も出来るはずがない。


「三回なんて無理だよ! そんなに体が持たないって、ぐおおおおおおおおおお! あ、や、やばい、ももう、ぐはあああああ!」


 俺はストリーを背中に乗せ、キツイ腕立てをさせられていた。

 どうやら俺を立派な戦士へと成長させる作戦の様だが、生粋の引きこもりの俺にそんなハードな訓練は無理です。

 何とか二回を上げられたのだが三回目を上げられず、俺の体は地面に突っ伏した。


「そんな事では立派な戦士には成れないぞ。アツシ、強くなって私を護ってくれ!」


 帝国までの旅で俺は理解した。

 こんなもんちょっとやそっと鍛えた程度で魔物に勝てるわきゃないだろうと。

 何年も鍛え、実戦を潜り抜け、それでも生き残った奴等しかあんなもの相手に出来るかと。


「ストリーなら俺が助けなくても一人で何とでも出来るだろ!」


 俺は地面に潰されながらそう言った。


「アツシが一緒に居てくれるから、どんな事でも乗り越えられるんだ。私だって一人だったら心細いんだぞ」


 俺はストリーの修行をのらりくらりと躱して行くつもりではあるが、どうせやるならもう少し楽しい感じでやりたかった。

 そうだ、どうせならもう少しエロい方が良いだろう。

 その方がやる気が出るかもしれない。


「ストリー、ちょっと向きとか変えても良いか? それなら俺ももう少し頑張れるかもしれない」


 俺はストリーにちょっとした対案をしてみた。


「別に北を向うが南を向うが変わらないだろうが、アツシがそれでやる気を出せると言うのならやればいいぞ」


 ストリーは俺の提案を受け入れたので。


「じゃあ……」


 俺は腕立てのうつ伏せから仰向けへと向きを変え、ストリーを乗せる準備を完了した。


「さあ来い!」


 俺はストリーが来るのを待ちわびるが。


「……分かった」


 ストリーは躊躇ためらいもなく、俺の腰の上へと座ってしまう。

 あれだけ恥ずかしがっていたのに今回はあっさり乗るんだな。


「如何したアツシ、早く動け! さあ早く!」


 ストリーは俺に動けと命令して来た。


「お前、あんなに恥ずかしがってたのにあっさり乗るなよ!」


 俺の言葉を聞いて、ストリーは少し赤くなっている。

 微妙に恥ずかしくなったのだろうか?


「ば、ばか、これは訓練なんだ。恥ずかしがる事じゃないだろ! あっ、アツシ何処を大きくしているんだ!」


 ストリーの体に密着され、俺の兄妹は働く準備を完了している。

 流石にこの状態は刺激が強い。

 ストリーの重さが俺の兄妹を刺激していた。


「もう良いから早く動け」


 ストリーの許しが出た、言われたからには男がすたる。


「言ったからには最後まで付き合ってもらうからな! うおおおおおおおおおおおおお!」


 俺の体が上下する、一回、二回、三回、四回。


「ん、あっ……駄目……やだ……あっ……もう」


 ストリーの艶やかな喘ぎ声が聞こえる。

 ……っていう設定で行こうとしている俺。

 実際は全く声など出していないのだが。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! ……ぐふ」


 だが俺のエロパワーを以てしても、二十回の壁を超す事が出来ず、パッタリと力尽きた。


「く、くそう、何故だ! 何で俺の体は動かないんだ! うおおおおおおおおお! 動け、動くんだ! 此処で動けなければ意味が無いだろうが! もう少し、もう少しなんだ、くそおおおおおおおおおおおおおお!」


 何がもう少しなのかは俺にしか分からないことだが、何かとても重大な事だ。


「はぁ、もういい。ほら立て、次は剣の訓練だ」


 ストリーは俺の腰からおりて、俺の手を掴み起こしてくれた。

 しかし剣の訓練となると、体力作りとは訳が違う。

 剣を扱うとなると下手したら死ねるのだ。

 特にストリーの特訓は。


「ほら剣だ」


 ストリーから、鞘に収まった剣を投げ渡された。


「お、おう!」


 俺は剣を引き抜くが、剣の刃は切り落とされ、その部分は三センチ程平になっている。

 この剣で斬られても死ぬ事はないだろう。


「……ストリー、これってさ、斬れないけど当たったら物凄く痛いよな?」


 しかし剣が例え斬れなくとも、そんな鈍器で殴られれば痛いでは済まないこともある。


「大丈夫だぞアツシ、剣の刃は無くしてある。当たり所が悪くても、せいぜい骨が折れるぐらいだろう。さあ掛かって来い!」


 ストリーはそう言っているが、骨折するのは絶対嫌だ。


「やってやろうじゃないか、行くぞストリー! てやああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」


 だから俺は、踵を返して逃げて行く。


「アツシ、何処行くんだ! おい帰って来い!」


 ストリーごめん。

 その期待には応えられません。

 俺、無理!


 ストリーが俺を兵士にしたって言ってたけど、是非とも断りたいところだ。

 べノムにでも頼めば何とかしてくれるんじゃないか?

 良し、駄目元で行ってみよう。


 俺はベノムの家へと逃げ込み、そこに居たべノムに頼み込んだ。


「はあ、それで俺に頼みに来たって? まあ掛け合ってやらん事もないが、お前本当に良いのか? 兵士として活躍すれば、給金も中々良いんだぜ? それにストリーとも一緒に動けるだろ」


 ベノムの話によれば、いいお金が出るようだ。

 でも俺はどちらかというと、金より命を大切にしたいと思っている。


「それ兵士として活躍出来たらだろ? 俺には無理だって。今日ストリーと訓練したけど、全然動けなかったんだぞ」


 べノムに自分のダメっぷりを伝えた。


「あのなアツシ。一日程度訓練したからって変わるわけねぇだろ。これから何年も訓練していって、やっと立派な兵士になるんだぜ」


 べノムは当然のことを言って来るが。


「そんな事は分かってるよ。その立派な兵士になるまでに、どうせ何度も危険な任務もこなさなきゃいけないんだろ? 俺には分かるぞ。立派な兵士になる前に俺の命の方が危ういわ!」


 俺も当然のことを言い返した。


「まあ訓練で死ぬ奴もいるからな。その辺は自己責任ってやつだぜ」


 自己責任で死にたくはない。


「じゃあやめる方向で」


 俺はためらうことなく、その答えをべノムに告げた。


「だそうだが、如何するんだストリー?」


 俺はバッとべノムの視線の先を見ると、開け放たれた窓の横にストリーの顔が少し見えている。

 だが俺が近づくとストリーは窓の横に隠れてしまった。


「私と働くのは嫌か?」


 ストリーの声に寂しさが感じられる。

 だからといって流される訳には行かない。


「嫌じゃないけど、ひ弱な俺には無理だよ。魔物なんかと戦ったら、俺は生き残れない自信がるぞ」


 実戦に巻き込まれて既に死にかけているから分かるのだ。


「私が護ってやるって言ってるだろ」


 壁際からストリーの声が聞こえて来る。


「護られてるだけじゃ俺そこにいる意味ないじゃないか」


 俺が横に居るだけならば、お荷物でしかないのである。


「だから鍛えてるんだろ。さあ続きをしよう」


 ストリーは、相変わらず顔を見せてはくれない。


「……あのなぁ、痴話喧嘩ならよそでやってくれないか? 正直此処でやられるとイラっとするんだが。出て行けコラ」


 俺とストリーはべノムに部屋から追い出され、二人して外を歩いていた。


「本当にやめたいのならもう止めない。アツシの好きにしたらいい」


 うっ、正直辞めたいが、ストリーの為にもう少しだけ頑張ってみようかな……。

 もう少しだけ。

 ほんの少しだけ。


 その少しは積み重なり、三か月後、俺の体は変化していた。

 少し柔らかかった俺の腹は、筋肉が顔を出し、薄っすらと割れている。

 腕はカチカチになり、腕を曲げると山が出来ている。

 この程度で強くなったと思うのは間抜けだが、それでもなんか自信がついた気がしている。

 これからどうなるのか分からないが、やれるだけやるしかないだろう。


タナカアツシ(異界から来た男) ストリー(ガーブルの娘)

べノムザッパー(王国、探索班)


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