15 まおうぐんのにちじょう カールソンがやって来た日 1
カールソンは帝国に訪れた王国の王達を出迎え、それを送り返す時に視察と言う名目でエルに会いに行った……
カールソンはアツシに言われ、テントからルルムムを呼び出していた。
「あの、何の用ですか? 客人だとはいえ、変な事したら許しませんからね」
ルルムムは、自分の事をいやらしい目で見ているんじゃないかと警戒していた。
「いえ、貴方の事は一切興味はないです。それよりもですね、私はエルさんの事を聞きたいのです! アツシさんに聞きましたよ、貴方がエルさんの秘密を知ってるって事をね!」
アツシが言ったことをスッカリ信じ込み、カールソンは期待を込めて聞いている。
「はぁ? エルの秘密?」
しかしそんな言葉を聞いて、ルルムムの顔が胡散臭い物を見る目に変わっていく。
この男がアツシに何か吹き込まれたのかと考えを巡らせるている。
アツシがストリーに会いに行ったのは確実だ。
このままアツシを幸せにするような事はしてはいけないと考えた。
それにルルムムは、この男の事を知っていた。
このカールソンと言う男とエル達が旅をしたのも、フレーレから話を聞いた事があったのだ。
フレーレには、もしあったなら抹殺しておいてと言われていたが、要人にそんな事を出来るはずもない。
「早く、早く、早くぅ!」
手をバタバタさせて聞き返す、こんな変態の相手をするのも嫌だった。
適当な事を言って追い払うことにした。
「エルは最近彼氏が出来たって言ってたわ」
ルルムムは完璧に諦めさせるように、その言葉を選んだのだけど。
「それは私の事ですね!」
ルルムムは、カールソンのあまりのポジティブさに目眩がしたが、何とか気を持ち直して話を続けた。
「……違います。実はね、貴方が話を聞いたアツシって奴、そいつと付き合っててね。最近結ばれたって喜んでいましたよ」
もう面倒臭いからアツシに全てを任せることにした。
「エルさんは私の事をあんなに愛してくれたのに……ま、まさか私という彼氏が居ない間に、アツシさんに酷い事をされたんじゃ!」
カールソンは勝手に勘違いをしているようだ。
「……ま、まあそうなんじゃないかなぁ……じゃあ私用事があるから」
ルルムムは付き合うのも嫌だと手をふるのだけど。
「待ってください!」
カールソンにガシっと腕を掴まれてしまった。
「それはそれとして、まだエルさんのエッチな秘密を聞いていませんよ」
ルルムムはそろそろ殺してもいいんじゃないかと思い始めたが、そこは王国の為にグッと我慢する。
「エルは首筋が弱いんですよ。触られると喘ぎ声を上げるぐらい弱いんですよ」
勿論嘘だったが、カールソンにはそれを確かめる事は出来ないだろう。
「ほ、他には何かないのですか! もう少しグッとくる情報は!」
変態は更なる高みに行こうとしている。
「え……ああそうね。えっと、太腿の付け根のエッチな部分にホクロがあったり?」
ルルムムは、また適当に嘘をつくが。
「本当ですか! それは素晴らしい。早速メモを……」
カールソンは簡単に信じ込み、懐からメモ帳を取り出した。
表紙にはエルさんの秘密とかかれている。
「もう全部話したから、私帰るからね……」
こんな変態に付き合いたくないと、ルルムムはテントに戻って行く。
「ええ、ありがとうございます! 私が目の前に行けば、エルさんも目を覚ますでしょう! アツシさんから取り返してみせますよ!」
あまりにポジティブなこのカールソンに。
「まあ頑張ってね……」
ルルムムは疲れた顔をして去って行った。
そしてカールソン達が到着する頃、エルとフレーレは出迎えの兵の中にいた。
馬車の中にカールソンが乗っていることも知らずに。
「ほらエルちゃん、イモータル様達が帰って来たわよ。気合入れて出迎えなきゃね!」
フレーレの言葉にエルは頷き、馬車の到着を待っている。
「あ、来たわー、イモータル様が手を振ってるわ。 ……あれ? あれは……」
別の窓から手を振ってる男が見える。
それはエル達が知っている男だ。
エルの方を向いて手を振って来る。
「エルさ~ん、来ましたよ~! さあ私の愛を受け止めてください!」
エルが嫌そうな顔をしている。
「お出迎えも仕事だからねー。まだ駄目よ?」
エルは逃げようとしていたが、任務だからとフレーレに止められた。
「エルさんお久しぶりです! 真の貴女の恋人がやってきましたよ! ああ、ルルムムさんから聞きましたよ。まさかアツシさんと付き合っているとは。貴女の恋人は私です! アツシさんとは別れて私に熱い抱擁を早く!」
馬車が止まると、カールソンがエルの元へとやって来る。
エルは拳を握りカールソンの顔面に……。
「待ってエルちゃん。イモータル様の馬車から出て来たって事は、それなりの待遇って事よ。この人帝国からの客人だわ!」
フレーレの言葉を聞いて、エルはプルプルと震える拳で我慢し、嵐が過ぎ去るのを待っている。
「大丈夫ですよ。私はエルさんがアツシさんと結ばれたとしても構いません。例え処女じゃなくなったとしても全然平気ですからね!」
カールソンは、エルにとっては謎の言葉を語りかけている。
エルにとっては怒りの限界に挑戦できそうだった。
「カールソン様、そろそろ出発致します。此方では案内をさせますので、勝手に出歩かないでください。三日後には自由時間を作りますので、知り合いとのお話はその時にお願いします」
だがそんな時に助けが来た。
担当の人が、カールソンの腕を掴む。
「ちょっとだけですって! 後少しで終わりますから、ちょっと離してくださ……」
抵抗しようとするカールソンだが、担当の人の力によりエル達の前から連れて行かれた。
しかし、三日後にはエルの所に会いに来るだろう。
エルはツカツカと歩き、馬車の護衛の一人であるルルムムをガシっと掴んだ。
「あれ~、エル久しぶり。何かあった? あのカールソンって人に何言われたか知らないけど、気にしちゃ駄目よ。あはははは……」
ルルムムはとぼけているようだ。
しかしエルは路地裏を指さし、あっちに行こうと合図している。
「あ、まだ仕事があるから、後でね! 具体的にはあの男が帰る日にでも話すから……」
ルルムムは逃げ出そうと動き出すのだが。
「そんなに時間は取らせないから大丈夫よ。ほら早くー!」
フレーレにガシッと掴まれた。
目は笑っていない。
「はい……」
素直に言う事を聞いたルルムムは、路地裏に連れて行かれて全部をぶちまけたのだった。
アツシと付き合ってるって言った事を、流石に首筋の事や太ももの事等は話さなかったが、大体の事は全て。
「エルちゃん、こうなったらアツシとデートするしかないわ! カールソンさんに存分に見せつけてやるのよ!」
フレーレはそれがチャンスだといいエルに語り掛ける。
「それはいい考えだわ。是非やるべきよ!」
ルルムムは自分の言った事を棚に上げて、その案を押している。
何とかアツシの恋愛を邪魔しようとしている様だ。
「何で貴方がそんなに乗り気なのかしら?」
フレーレは聞き返すが。
「別にいいでしょ。あ~もう、時間が無いわ。明日一緒に作戦を考えましょうね!」
ルルムムはそう言い残して、イモータルの元へと走って行った。
「エルちゃん観念する事ねー。上手く行けばカールソンさんも諦めるかもしれないわよ?」
フレーレの言葉に、エルはガックリと肩を落とした。
そして走って行ったルルムムは、馬車に追いついてこれからの事を考えている。
デートの前に、もう少しアツシを揶揄ってやろうかと思いつく。
寝ているアツシを縛り上げ地下牢に連れて行くと、べノムを呼び出して有る事無い事吹き込んだ。
ルルムムはアツシが気が付く前に、さっさと逃げて行った。
それから二日後、フレーレはアツシを自分の家の前に呼び出していた。
「これから貴方には、エルちゃんとデートしてもらいま~す!」
そして唐突にアツシに言い渡した。
「フレーレ様ちょっと待ってください。俺にはストリーって恋人がいるんです。他の人とデートしてたらストリーに怒られちゃいますよ!」
アツシは断ろうとするのだけど。
「大丈夫よー、ストリーちゃんも此処に居るから」
フレーレはストリーが居ることを伝えた。
その言葉にアツシが周りを見渡し、バッと後ろを振り向くと、そこには縛られているストリーがもごもごしていた。
「い、何時の間に!」
アツシはそれに驚くが、ストリーの後ろに居たエルに掴まれて、町中へと連れて行かれた。
タナカアツシ(異界から来た男) ベリー・エル(王国、兵士)
フルール・フレーレ(王国、兵士) ストリー(ガーブルの娘)
カールソン(帝国の会議での代表)
次回→まおうぐんのにちじょう カールソンの話、続き予定
前回ENDにしたけど、まあ繋がってるかな。
アツシ視点じゃないです。






