8 凍結する大地
ウネウネを倒した三人、ウネウネの鬣の中で休んだ……
「エルちゃん、寒いわ! 」
「寒いですわ!」
フレーレさんとレアスさんの二人が私に抱き付いて来ている。
ウネウネの鬣の中は、外よりはかなり暖かいですが、それでも相当寒いみたいです。
私は二人の為に体の熱量を少しだけ上げました。
砂漠の夜は冷えると聞いていましたが、此処までとは思っていませんでした。
ウネウネ表面はガチガチに凍り付いて、今は氷の様に冷たくなっています。
私は平気なのでちょっと外を見て来ますね。
「待ってー、エルちゃん行かないでー! 寒いから行かないでー!」
「待ってくださいエルさん。私を置いて行かないでください!」
二人が涙ながらに説得をして来ている。
だけど私は二人を振り切り、鬣の外へ出て行きました。
でもちょっと可哀想なので、ウネウネの鬣を切り取り、二人の周りに敷き詰めておきました。
これで少しは暖かくなるでしょうか?
頑丈な人達ですから、あの程度で死ぬことはないでしょう。
さて、まずは周りを探索しましょうか。
でも何方に向かうべきか……。
う~ん、分かり易い方向に向かうとしましょう。
まずはウネウネの頭が向いている方向に行ってみましょうか。
私はその方向に跳び始めたのですが、砂漠の中は目印が無いのが厄介ですね。
人はこんな場所では無意識に円を描き、同じ場所を彷徨う習性があります。
それがどんな理由なのか分かりませんが、空でも同じ事が起こらないとも限りません。
気を付けなければ。
一時間は飛んだでしょうか?
砂漠を飛んでいた私は、前方に何かを見つけた。
あれは……オアシスでしょうか?
昼間じゃないから、きっと蜃気楼では無いでしょう。
行ってみるとしましょうか。
私はオアシスの場所に向かって行った。
そこには泉があり、少しだが植物も生えています。
この場所を調べる前に、まず来た方向を忘れない様にしないと。
木と地面に印を付け、私は中心の泉へ向かう。
泉は透き通り、小魚が泳いでいる。
魚が居るなら、この泉は枯れないという事でしょう。
たぶん水は加熱すれば飲めるでしょう。
他には何か……。
泉の周りの木には、木の実が生っている。
見た事も無い種類ですね。
木の実だからと毒出ないとも限りません。
食べるのは止めておきましょう。
再び周りを見渡すと、私は良い物を見つけ出した。
あれはサボテンですね。
良かった、知っている種類です。
この種類のサボテンは、葉の内部を食べる事が出来ます。
一応種類によっては毒性が有る物もあるので、注意しなければなりません。
味は殆どしないと聞きます。
まあ非常食として覚えておきましょう。
他には何も無さそうですね。
良し、戻りましょう。
二人の元に戻ると、水平線から日が見えかけていた。
そろそろ朝が来ます。
今が一番良い気温ですね。
向かうなら今の内でしょう。
私は鬣の中で寝ている二人を起こした。
「あ~、おかえりエルちゃん。何かあった?」
「お早う御座いますエルさん。如何でしたか?」
二人共ぐっすり眠れた様ですね。
私も少し休みたいですけど、それはオアシスに到着してからでもいいでしょう。
「……移動……しよ」
私は行く方角を指で示した。
「何か見つけたのねー? じゃあこれ如何する? 持っていくー?」
フレーレさんが鬣だった物を指さしている。
確かに、あそこには防寒する物はなさそうでした。
う~ん、少し時間は掛かっても持って行った方が良いですかね?
私は頷き鬣を縛ると、持てるだけ持って移動した。
「ああ、泉がありますわ! 到着したら水浴びをいたしましょう!」
「汗が気持ち悪かったのよね。丁度良いわー、エルちゃん、一緒に入りましょうよ」
私は首を振り、それを断った。
私は少し眠ります。
何かあったら起こしてくださいね。
「あら、お休みになられるのですね。では私達が見張っておきますわ」
私は木陰で目を閉じると、少し眠りにつくのだけど、しかしそれも長く続かなかった。
レアスさんの叫び声で、眠っていた私は目を覚ます。
「覗きですわ! 捕まえて八つ裂きにして差し上げます!」
「エルちゃんの方に行ったよ! 早く捕まえないと!」
泉の方から二人の声が聞こえる。
覗き? この辺りに人が居たんですか?
なら人の住む集落が近くにあるのかもしれません。
二人共、覗かれたからって殺しちゃいけませんよ?
それは集落の場所を聞き出してからです!
その顔を隠した男が、此方に向かって来ている。
私達以外の人間なのだから、この人で間違いないです。
その男の人が私に気づき、逃げる方向を変えている。
でもそのぐらいで逃げられると思わないでください。
男の前に剣を投げつけ地面に刺すと、剣から炎が燃え上がる。
大きな炎が出ていて、もう迂回しなければ通れない。
男は三方向から私達に挟まれ、観念した様です。
「ご、ゴメンなさい。俺は覗くつもりは無かったんです。貴方達が美しくて、つい目を逸らせなくて……本当にごめんなさい」
フレーレさんとレアスさん、男を裸で追いかけて来たのですか?
二人共何も身に付けていませんね。
「貴方、わたくし達の裸は堪能いたしまして? 如何なのです?」
「い、いえ、あの、ほ、殆ど見ていませんので……」
「あらあら、なら存分にご覧になって良いのですよ。じっくりと見ておきなさい、貴方の最後に見る
ものになるのですから!」
レアスさんは背中から大きく翼を広げ、鋭い爪を喉元に……。
「ひいいいいいいいいいいいいいいいい!」
流石に殺すのは不味いと、私はそれを止めた。
「……町……何処……?」
「な、村に行きたいのか? あんた達、まさか村を襲う積もりなんじゃ! お、教えないからな! 俺は死んだって教えないぞ!」
バチ―ン
フレーレさんが平手で男の頬をひっぱたいた。
覗かれたのを怒ったのでしょうか。
「貴方以外には何もしないから教えてねー? 教えないと酷い事するわよ?」
今のは酷い事じゃなかったんですか?
「如何なのー? 教えてくれないのー?」
「お、教えますので、酷い事はしないでください……」
フレーレさんはまだ納得が出来ない様です。
今度お菓子でも食べに誘ってみましょうか。
怯えた男の人は、私達に素直に従い、町に案内してくれました。
村には一時間ほ程で到着する事ができ、ここは土の大地となっているようです。
「良いですか貴方。二度目はありませんからね? では行きなさい、二度と顔を見せるな!」
「はいいいいいいいいい!」
レアスさんの言葉に男は慌てて逃げて行く。
よっぽど嫌だったんでしょう。
「全く何なんですか。乙女の肌を見て許されると思っているんじゃないですわ」
まだぶつぶつ言ってますね。
それより、この村なら花の在りかが分かる人が居るんじゃ?
私達は村人達に花の在りかを聞いて周りました。
「百年に一度咲く花の事を知りたいって? それだったらあそこの家に居るブードが詳しく調べていたぞ」
村の人が言うには、村外れの家に住む男が知っていると言っています。
「じゃあそこに行ってみましょうかー、ブードさんって言ってたわね?」
「ええ、お話を聞きに伺いましょう」
私は頷き、ブリードさんの家へと向かった。
コンコンコンっとブリードさんの家のドアをノックし、暫くするとその男が出て来ました。
「は~い、どちらさ……ぎゃあああああああああ!」
そこに居たのは先ほどの覗き男でした。
その男を見ると、レアスさんは爪を伸ばし威嚇している。
私はレアスさんの腕を掴み、首を振った。
駄目ですよ、せっかくの手掛かりが無くなってしまいます。
やるなら全部話を聞いた後ですよ!
「ブードさんですわね? お話をお聞きしたいのですが、聞いて貰えますよねぇ? 嫌なら直ぐに言ってくださらないかしら? それならそれで、私の気が済みますので!」
断ったら死ですか?
レアスさんは裸を見られたぐらいで怒り過ぎですよ。
私なら百叩きぐらいで許してあげます。
「わ、分かりました。話を聞きます、聞きますから助けてください!」
私達はブードさんから花の話を聞いた。
ベリー・エル(王国、兵士) フルール・フレーレ(王国、兵士)
グラスシャール・ボ・レアス(王国、兵士) ブード(覗き野郎)
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