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13 男の喜ぶ奇跡の瞬間(絶望編END)

城から脱出したべノムとアツシ…………

 恐怖の城から無事脱出し倒れと、アツシは城門の前に居た。


「やッたぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 アツシが叫んでいる。

 約束は宝を持ってくる事だから、これでガーブルの娘が貰えるわけだ。

 たしかストリーって名の奴だったか?


「早く戻るぞべノム、俺の活躍を報告してくれ!」


 お前の活躍は見ていなかったぞ。

 見ていたのは宝を荒らした事だけだな。

 それを報告したらお前に罰が与えられそうだが、誰も取りに行けなかった物だから差し引きゼロかね。


「急がなくても誰も逃げねぇよ」


 俺達は自宅に戻ると、最上階に急ぎ、まだ王と成り替わっているガーブルと会った。


「良く戻った! 祝に勲章をくれてやろう」


「おい爺さん、そんなのは良い。あの娘を早く呼んでくれ」


「ふふ、ちゃんと呼んであるわい。おい出て来いストリー」


 ガーブルが声を掛けると、奥の部屋からストリーと呼ばれた娘が歩いて来た。


「うをおおおおおおおおおおおおおおおおお、可愛い!」


「さあストリー、挨拶しなさい」


「お前が私を嫁にしたいって言うアツシか? オラ、こっちに来いよ。仲良くやろうじゃねぇか」


 女にしては中々変わった喋り方をする奴だ。

 腰まで伸びた金髪の髪が、サラリと伸びている。

 緑の瞳、整った顔間違いなく美人だ。

 性格は絵には写らなかったらしい。

 そのストリーがこっちを見ている。


「べ、べノムさん、チッス! 私アンタの活躍に憧れていたんっすよ。握手してください!」


「えっ、お、おう……」


「おいアツシ、茶ぁ入れて来いや。早くしやがれ!」


「あ、ああ……」


 ストリーに命令されたアツシは、下の部屋まで茶を取りに行ってしまった。

 なんとなく俺に似せて喋っている気がするのは気のせいか?

 戦争時の俺の活躍を話して来たりと、まあ適当にやり過ごし、暫くするとアツシが息を切らしながら戻って来た。


「茶、入れて来たぞ!」


「よくやった! 後でガキでも作ろうじゃねぇか。それとも今からやるか? がはははは!」


 アツシはなんだか微妙な表情をしている。

 まあ俺もこんな感じだとは思わなかった。

 会ってみなけりゃ分からないもんだ。


「べノム、ちょっとこっちへ来てくれ」


 俺はアツシに呼ばれ、部屋の外へと連れられた。


「俺が求めるものはあれじゃない! もっと奥ゆかしくて清楚の感じがいい!」


「凄く可愛らしいじゃないか。子供も作ろうとかも言ってたぞ?」


「確かに顔は可愛い。だがあの性格は駄目だ。何時か俺はただのパシリになってしまう気がする。というか此処に来てから、そんなのばっかりじゃないか! まともな奴は居ないのか!」


 まともな奴? まともな奴かぁ。

 一番まともなのはパン屋の娘のレインだろうか。

 今この家の一室に住んでいるのだが、紹介してやるつもりはない。

 それに、紹介できるほどの知り合いという程でもないし、あの子は皆の癒しであるからな。


 会ったら挨拶するぐらいだ。

 他に俺の周りには、そんなまともな奴は居ない。

 アツシには諦めて貰おう。


「アツシ、考えてみろ。女は変わると言うだろ? 誰でも何時かおばさんになるんだ、それが早いか遅いかの差だぞ」


「違う! 俺はその過程を楽しみたいんだ! あれじゃいきなりおばさんじゃないか! いや違う、あれはおばさんより酷い。あれじゃ何処かのおっさんだよ!」


「それじゃ断るか? もう二度と無いかもしれねぇぜ」


「顔は可愛いんだ。あの性格さえ如何にか出来れば……べノムさん! 何か、何か知恵をください!」


 知恵と言われてもなぁ。

 人の性格を変える物なんて知らねぇぞ。


「お前に惚れて行けば、その内女らしくなるんじゃねぇの? 知らんけど。後な、あの娘に手ぇ出して結婚もしなかったら、ガーブルに殺されるから覚悟しとけ」


「うおおお、俺は如何すればいいんだ! あんな娘と知り合いになれるチャンスなんて滅多に無いのに!」


「今の内に決める事だ。そろそろ決断の時だぞ? ほら返事をして来い」


 俺はアツシを部屋に押し込み、ガーブルの前に連れて行った。


「アツシ心は決まったか? 返事を聞こうか」


「お、俺、俺は、つ、つつつつつ付き合う……よ」


 アツシの目が泳いでいる。

 この機会を捨てきれなかったんだな。


「やったぜ親父。やっと結婚相手が決まったぜ! じゃあこれからよろしく頼むぜアツシ!」


「あ、ああ……」


 これ、めでたしめでたしで良いんだよな?


「じゃあ俺は帰るから。アツシ、まあ頑張れよ」


「べノムさんお疲れ様でした。あざっした!」


 ストリーから挨拶された。

 何だろう、女の子って感じはしないな……。

 少し無理をしている気がしないでもないが?


「それじゃああっちでガキでも作ろうぜ。うははははは!」


 アツシが連れて行かれている。

 なんかちょっと可哀想な気がしてきた。

 でも自分で選んだんだ、後は任せるとしよう。



 後日、アツシから立たなかったんだ、という嘆きを聞かされた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 小さな心(絶望編END2)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ルーキフェートは誰にも見つからずに城に潜入を行っている。

 誰も居ない広間を抜け、父親が居る場所までたどり着いた。


「お父さん、お返事してくれないの?」


 目の前にはメギドが居る。

 まっ暗い周りには他に誰も居ない。


「ねぇ、お父さん遊ぼうよ」


 玉座に座るべノムはルキを見つめるだけだ。


「他の皆も心配しているよ」


 返事は来ない。

 ルキは近づきメギドの手に触った。


「あっ」


 ルキの体に、バチっと静電気が流れた。

 でもルキは諦めない。

 父親のその手をキュっと掴んだ。


「お父さん、元に戻って。ねぇお父さん」


 ルキは涙を零し訴えかけるが、その言葉はメギドには届かない。

 時が経ち、日が暮れて行く。

 そろそろ帰らないと皆が心配するだろう。


「また明日来るね、バイバイ」


 ルキはメギドに手を振って、この廃城から出て行った。

 そして明日も繰り返す、何日も何日も。



 やがてルキは大きくなる。

 しかしそれまで、メギドからの攻撃は一度として無かったという。


べノムザッパー(王国、探索班)     タナカアツシ(異界から来た男)

ガーブル   (王国、親衛隊)     ストリー(ガーブルの娘)

ルーキフェート(王国、王女)


END2で大人になる描写があるけどまだ大人にはなりません。


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