1 魔道の極みを求める者へ
マルファーは子供達の相手をする当番日を迎えルーキフェート、ラヴィ―ナ、アンリマインの相手をしていた…………
この王国には一つの伝説がある。
一人の天才があらゆる魔法を習得し、今現在も生き延び続けているとの伝説が有る。
その正体は誰も知らず、究極と呼ばれる魔法すらも操るそうだ。
王国の一室。
元奴隷の捨て子だった王女様達三が相談をしている。
三人の名は、ルーキフェート様、アンリマイン様、ラヴィ―ナ様です。
「ねぇ知ってる? 王国には何処かに最強の魔法があるんだって」
初めに話しを切り出したのは、ルーキフェート様という、この三人の中では一番小さい黒髪を肩まで伸ばした女の子です。
気合を入れると目が赤くなったりする少し変わったお子様だ。
子供達は全員にメギド様と、イモータル様の力を少し移植されてます。
「知ってる、町の友達が言ってたっ!」
二人目のお子様はラヴィ―ナ様といいます。
金髪を腰まで伸ばしたで元気な子です。
こう見えても物凄く力が強かったり。
「じゃあ私達で探してみましょうよぉ」
最後の一人、アンリ様は白い髪の女の子だ。
男の子と間違えられそうな外見をしていて、女の子として見てもとっても可愛いらしい子です。
「でもどうやって探すのっ?」
ラヴィ―ナ様が悩んでいらっしゃる。
「城の図書室なら何かあるんじゃないのぉ?」
アンリマイン様がそれに答え。
「ラムちゃん呼んじゃおうよ」
ルキ様が友達のラムさんを呼んで、四人で図書館に行く様です。
ラムさんは緑色の髪をした、子供達と同じぐらいの女の子でした。
ちなみに私は子供達の面倒を看ている、今日の当番のマルファーです。
流石に一人で全員見る事は出来ませんから、私の担当は三人だけだ。
この私はただの人で、恥ずかしながらキメラ化は受けておりません。
あの戦争の時に諦めたのです。
どうせ死ぬなら、人のまま死にたいと。
しかし私は生き残ってしまった。
それを知ってる奴は、きっと私を馬鹿にされている事でしょう。
おっと、考えている間に、お子様方は図書室に全力で走って行きました。
私も追い駆けなければなりませんね。
まあゆっくり行きましょう。
ここは城の中で、危険なことはないはずですから。
普通に何事もなく図書室に到着し、お子様達は伝説に纏わる話を探しています。
「あれとかイイんじゃないのっ!」
ラヴィ―ナ様が、棚の上の方にあった本を指さしました。
「届かないよぉ」
でもアンリマイン様のようなお子様方ではどう頑張っても届かないでしょう。
ここは私が手を貸してあげましょうか。
「どうかしましたか、お姫様方」
『あれ取ってー』
私が声を掛けると、三人が一斉にお願いして来た。
「はいはい、ちょっと待っていてくださいね」
私が踏台を持ってきて、上にあった本を取ってあげました。
その本もやはり伝説に纏わるもので、相当古い文献のようです。
「はいどうぞ、読み終えたら受付に持って行ってくださいね」
『ありがとー!』
四人が元気にお礼を言っている。
選んだ本の内容はというと、ラヴィ―ナ様が偶然選んだ本は、魔法の歴史書のようです。
昔々一人の天使様が降りてきて、一人の女の子に魔法を与えたのだとか。
その女の子が王子と結ばれて、この国に魔法を広めてくれたと書いてあります。
この本がどれ程昔に書かれた物かは知りませんが、一応世界中で天使の存在は確認されていません。
ただの伝説なのでしょう。
「う~ん、凄い魔法の事は書いてないよ」
ラムさんは究極の魔法の事は書いてないって言っています。
まあそんな簡単には見つかりませんよ。
実は昔、私も探した事がありますからね。
結局見つかりませんでしたけど。
「表紙の裏にちっちゃく何か書いてあわよぉ」
ほんとうだ。
でも私にも読めない文字です。
「う~んと……魔道の極みを求める者へ、天使が踊る教会を目指せ。だってー」
「教会だったら近くにひとつあるわっ!」
こんな文字を子供達が知ってる訳がありません。
この本、何か術でも掛けられているのでしょうか?
少し気を配った方がいいでしょうね。
図書室の管理者に伝わる様に、伝達をお願いしましょう。
しかし教会ですか。
お城から少し行った所に古い教会があります。
その屋根の一番上には、天使の像が飾ってありましたね。
もしかしたらそこでしょうか?
私がそれを四人に伝え、気を配りながら私達は教会に向かいます。
そこのシスターさんが私好みの可愛い方で、王女様方を暖かく迎えてくれました。
天使というなら、この方が名乗られてもいいぐらいでしょう。
「あらあら、貴方達は究極の魔法を探しているのですね。しかしそれを探すと不幸になるとの言い伝えがあるのですよ。それでも探しますか?」
でもこの方が言う言葉は、どうにも胡散臭いものでした。
不幸になると、何か釘を刺している様な、すごく怪しすぎる。
此処は一度戻って皆に相談するべきでしょう。
「いった……」
私は話しかけようとしたのですが。
「大丈夫だよ!」
「やるっ!」
「行くわぁ」
「ルキちゃんが行くなら」
四人のお子様達は、それを聞く前に走って行ってしまった。
ちょっとやる気があり過ぎじゃないですかね。
もう一度大きな声で止めて見ましょうか……。
「皆さん一度お城に戻りましょう。御両親も心配されますので!」
私は大きな声で呼びかけるのですが。
「良いのですか、本の文字を見つけて来たのでしょう? その文字を見つけて日が暮れるまでに進む事が出来なければ、二度と魔法は手に入りませんよ。ではご案内いたします。私に付いていらしてくださいね」
振り向いたお子様達にシスターが声をかけた。
「夜までだって、急がなきゃっ!」
「うん急ごう」
「早くいきましょぉ」
「いこー」
その声に焦り、四人が行ってしまう。
「待ってください! 行かないで!」
私が叫んでも聞こえていないかのように、子供達は止まらない。
誰かを止められても、全員を止める事は出来ないでしょう。
進んでしまったお子様がどうなるか分からない、私もついて行った方が良いのでしょう。
一応図書室でメギド様への知らせは出してあるし、何か有れば捜索が掛かるはずです。
四人を追い掛けて行くと、教会の奥には地下へと延びる階段がありました。
他に行ける場所は見当たらないし、きっとこの奥なのだろうか。
何とかお子様方に追い着いた私は、長く続く階段をおりて行く。
それはかなりの長さで、まるで地獄に降りて行く様だった。
松明が無くても問題はないぐらいには明るい。
壁自体が光っている様で、魔法が掛けられているのでしょう。
どうせ行くのなら私が前に出るべきでしょうね。
まだ何があるか分かりませんからね。
私が先頭に立ち歩きはじめますが、しかしその判断は間違いでした。
ふと後ろを見るとシスターの姿が消え、何処にも居なくなってしまったのです。
まさか子供達も何かと見るも、全員無事らしいです。
私はシスターの言っていた言葉を思い出す。
日が暮れるまでに進む事が出来なければ、二度と手に入らないと言ってました。
まさか何か仕掛けが?!
「皆さん一度上に戻ります! 急いでください!」
私の真剣な顔を見て、子供達がついて来てくれました。
でも入って来た階段は、ガッチリと閉じられ、もう戻ることができなくなっている。
「なッ、階段が塞がれている」
天井の部分、いや床と呼んでも良いのか?
それが丸ごと移動したようでした。
押したり引いたりしてみるが、ビクともしない。
これでは、救援が来ても簡単には助けに来れない。
「とじ込められちゃったの?」
「ルキ様、大丈夫ですよ。このまま下に降りて行きましょう」
子供達に心配を掛ける訳にはいかない。
私は極力冷静を装い、全員で階段を下りていきました。
十分もすると、階段の終わりが見えてきます。
階段を下りきると、そこは迷路状に作りこまれた巨大な迷宮でした。
「どっちにいくのぉ?」
「アンリ様、左です。手を付けて進めば何時かたどり着けるってものがあるのですよ」
とは言え、罠が無いとも限らない。
慎重に進まなければ。
石を使い、壁に印を付け、所々で地面にマッピングして記憶に刻み付ける。
「お腹すいて来たっ」
「うん」
「私もぉ」
三人はお腹が空いているようだ。
ラムさんは言わないが、同じようなものでしょう。
確か非常用のパンと干し肉があったはずです。
五人で食べるには少し少なすぎますか。
……私の分は諦めましょう。
「水も余りないので、少しずつよく噛んで唾液を出してください」
十分な量とは言えないが食事を四人に与え、私達は少し休憩を取りました。
しかしあの女は何故こんな事をしているんでしょうか?
それにもう四人共疲れている。
早く脱出しないと不味いでしょう。
ここに子供達を置いて一人で探索を続けてみようか?
駄目だ。
もしあの女が戻って来たなら、何をされるか分からない。
「皆さん大丈夫ですか、此処に居ても進展しません奥に進みますよ」
四人は頷き私の後からついて来ている。
子供達の口数が少なくなってきました。
そろそろ時間切れでしょうか。
子供のオンオフの切り替えが激しいもので、全力で遊んだ後は、全力で眠るのです。
仕方が無い、もう少し進んだ所で休憩を取りましょう。
その場所に到着すると、私達は眠りに入る。
大丈夫、私は浅く眠る訓練を受けている。
物音がしたらすぐ起きる事が出来る。
私も気を張り過ぎた。
もう限界だと、私は瞳を閉じた……。
それからどれだけ眠っただろうか、子供達はまだ全員眠っている。
眠気はスッキリしているが、太陽もないから、時間の感覚が分からない。
あの女も、どうやら襲って来る気は無いらしい。
マルファー(王国、近衛兵長) ルーキフェート(メギドの養子)
ラヴィ―ナ(メギドの養子) アンリマイン(メギドの養子)
ラム(王女様方の友達)
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