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15 べノムはハーレムで幸せな夢を見る

二人のおかげで眠れない日々を過ごすべノム……

 べノムはもう倒れそうになっていた。

 本当に眠く、もう倒れそうなのだ。

 一度グラビトンの所にでも泊まらせてもらおうかと思い、正門の休憩室なら誰にも邪魔されないはずだと向かっている。

 飛ぶことも出来ずに歩いていると、やっと正門が見えて来た。

 これで眠る事が出来るぜと安心したが……。


「あっ、あそこに居たわよ」


 何故だかエルとフレーレ達が走り寄って来た。

 その中にはレアスまで居やがる。

 激しく嫌な予感しかしやがらねぇ。


「ねぇべノム、私達に任せておいてねー、絶対仲直りさせてあげるからね」


 ちっとも何を言ってるのか分からない。

 どうでも良いから寝かせてくれよと足を進めるのだが……。


「じゃあ行きましょう」


 フレーレが俺の腕を掴んで引きずられてしまった。

 凄い力で全く外せない。

 俺の睡眠時間をどうする気なんだ!


「おい待て、俺は眠いんだよ! 話なら後で聞いてやる、ちょっと眠ってからな! おい待て、話を聞けえええええ!」


 自分の家に退きづられ、連れ戻されるてしまった。

 俺の苦労も虚しく振りだしに戻ってしまったらしい。

 反論する気力もなくした俺は、ほとんどされるがままの状態である。

 一体何をする気なんだお前等は。


「では、始めますわ」


 レアスが扉を叩き、俺の家の中に入って行く。

 中にはロッテとリアが相変わらずにらみ合って険悪状態だ。

 見ただけで仲が悪い事が分かる。


「お久しぶりですわ、ロッテさん。この度私わたくしとべノムが、正式にお付き合いする事になりましたので、ご報告をと思いまして」


 はぁ?!

 誰がテメェなんかと!


「おい……むぐ」


 俺は口を動かし反論しようとするが、後からフレーレに口を塞がれてしまった。

 力の入らない体で引きはがそうとして見るも、ピクリとも動いてくれない。

 エルが自分の口に指を当てて静かにしろと合図をしている。

 そんな話を聞かされたリアは、当然怒り出していた。

 一体何考えてるんだこいつ等は。


「この人誰よ。私のべノムに何をしてるの! 言い訳を言うなら今の内だから!」


 ロッテの方は黙っている。

 一度旅をした事があるんだ、レアスの性格は知ってるはずだが。


「リアさん? でしたわね。べノムは貴方達の喧嘩の所為で寝る事が出来ないのですって。相手の事を思う事が出来ないのなら、愛する資格なんてありませんわよ」


 その言葉はロッテの心にも響いたようで、少し反省した表情になっていた。

 これをきっかけに、少しでも大人しくなってくれば良いのだが。

 たぶん反省するのはこの一瞬だけだろう。


「でもこいつが突っかかって来るから悪いのよ!」


「何時までもいがみ合っていらっしゃれば宜しいですわ。ええ、それが我慢が出来なくなったので、わたくしの元へと来てくれたのですから。ねぇべノム」


 ここは乗るべきだろうか?

 早く返事をしろとフレーレが背中を指で押してくる。

 すげぇ痛ぇんだが。


「お、おう、俺とレアスは付き合ってるんだぜ」


 ロッテの方は茶番に気づいているはずだ。

 リアの方は……。


「本当に付き合ってるのなら証拠を出しなさいよ! 私は認めないわよ!」


「仕方ありませんわね、分かりましたわ。ではべノム、両手をついてひざまづきなさい!」


 リアの言葉に、レアスが答えた。

 俺が跪いたらどうなるって?

 嫌な予感しかしねぇんだが、本当に何をするつもりなんだ?


「早くしなさい!」


 仕方なく俺は言われた通りに跪く。

 レアスはツカツカと移動し、俺の前のソファーに座った。


「さあそのまま這い寄っていらっしゃいべノム」


 エルとフレーレの瞳は、俺に行けと言っている。

 進んだら不味い事になるのはわかっていた。

 これはマジか。

 もうやってられねぇと俺は立ち上がるのだが、だがあまりの眠さでふら付き、レアスの足元に言われた状態になってしまった。

 レアスの素足が俺の口元に迫る。

 まだ躱せると手で防ごうとするも、先にレアスの足が動いた。

 この女、わざわざ足を上げやがった!

 なんとか倒れた勢いを殺すだけで精一杯で、足の甲が迫って、ぐおおおお!

 チュッ。


「あははははは、この男やったわ! 物凄く楽しいですわ! 何かしら、これが恋かしら! あははははは!」


 こいつ、本調子になったら決着を付けてやるからな!


「べノム、そんな事まで出来るほどの仲なんですね。……分かりました、もう私はべノムが誰と付き合っていても構いません。煩い事も言いません。ロッテさんとも仲良くします。これからはちゃんとした愛人になる事を誓います!」


 リアの言ってる事は訳が分からん。

 俺と愛人になるだぁ?


「俺は愛人なんぞ作るつもりもねぇぞ!」


「そうですわ、べノムは一生私の足元にひざまずいて生きて行くのですから、貴方の元には行きませんわよ。ほら言ってみなさいな、大好きなレアス様、私に足を舐めさせてくださいと。あはははは」


 もうダメだ、これ以上は我慢できん。

 調子が悪いとかどうでもいい!

 とりあえずぶん殴る!


「表にでやがれこの野郎。女だとかどうでも良いわ! 俺が思いっきりぶん殴ってやる!」


「あらあら、そんな体でわたくしに挑もうなんて馬鹿なのでしょうか。ゴキブリの様に叩き潰してあげますわ!」


 俺は家の外に跳び出し、レアスに殴りかかる。

 だが調子が悪く、いつもの速さはまるで出せない。

 その拳はふら付き、足がもつれてレアスの胸へと突っ込んだ。

 レアスを見上げると、その目はもう笑ってはいない。


「ま、待て……」


 怒りに満ちたレアスが、渾身の力を込めた拳を放ち、俺の頭に炸裂させる。

 そのまま何度か踏みつけられて、もう意識を保つ事が出来ず、俺はようやく眠りについたのだった。

 ああ、もうどうでもいい。

 久しぶりに寝られると、俺はこのまま一昼夜眠り続けた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 地面を布団にして充分眠った俺が目を覚ますと、この体には毛布が掛けられていた。

 これはロッテがやったのか?


「やっと起きたのねー、話があるから家に入って来て」


 起きた時に見えたのは、フレーレの顔だった。

 一体何の話だと家に入り、中にはロッテにリア、それとエルとフレーレが居た。

 レアスの奴は帰ったんだろう。


「話し合った結果、べノムには男の人とデートしてもらいます!」


 お前達の話し合いで、何でそうなったのか全然わからない。

 ロッテが昨日の事で怒って、そうなった?

 しかし俺が男とデートとは、本当になんでだ!


「あ? 何を言ってるんだ?」


「リアに話を聞いた結果、これが有効だと判断出来たわー。べノムには、これから来るリアの仲間を誘惑してもらうのよ。そう何度も来られちゃ迷惑だから、こちらに引き入れようと思うの」


 ロッテが何だか楽しそうだが、俺がそれを受けるかどうかは別問題だ。


「お前等がやれば良いだろうがよ!」


「……嫌」


「パスよー」


「駄目」


「無理」


 やろうと思えば出来る。

 変身魔法を使えば、俺は女にも変われる事も出来る。

 だが男とデートなんて論外で却下だ!


「俺も嫌だ、じゃあこの話はこれで無しだな」


「べノムは姿も変えられるじゃない。成功すればもう勇者に悩まされなくて済むのよ? 国の為にもなるわ」


「だったらお前達がやれば良いだろうが!」


「べノム、貴方私達の上官でしょ! 女の子に嫌いな人とデートさせるなんて酷いわ!」


「そうよそうよ」


「……そう」


「酷いわねー」


 駄目だ。

 四対一では数の上で勝ち目がない。

 何か手はないかと考えていると、ノックもなく家の扉が開いた。


「あのーべノム隊長。例の二人がまた来たんですけど」


 しめた、伝令役のバールの奴だ。

 こいつを引き込めればまだ勝機がある。

 俺は事情をバールに話し、女共の説得を試みた。


「ああ、そうなんですか隊長、女装とか大変ですね。じゃ、頑張って下さい。俺は仕事がありますんで」


「ま、待て!」


 バールは、なんにも庇ってくえず、そのまま別の伝令へと向かった様だ。

 俺の伸ばした手が虚しく止まっている。


「じゃあ行くわよ」


「待てえええええ!」


 伸ばした手を掴まれ、俺はフレーレに引きずられて、正門に連れ去られてしまった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ほら、あの人を誘惑するのよ」


 正門から覗くと、リアの仲間で、マードックと呼ばれた男が見えた。

 金髪で宝石を散りばめた、派手な赤の鎧を着ている。

 そんな物を着ているなら、何処かの貴族の息子か何かだろう。


「早くしてねー、見つからない内に変身しなさいよー」


 フレーレに言われるが、化けると言っても誰になりゃいいんだ?

 とりあえず目の前のフレーレに化けてはみた。

 一応その体はキメラ化していない状態のものだ。


「ぐえ」


「止めてねー?」


 それを見たフレーレに、俺はおもいっきり喉を掴まれ痛みを与えられた。

 嫌なら言葉で言えばいいじゃねぇか!

 他の三人に化けても同じ結果な気がする。


「じゃあ誰に化ければ良いんだよ?」


「う~ん、べノムの家の近くにパン屋があったでしょ? そこに居た女の子とかでいいんじゃない?」


 それなら見た事がある。

 確か黒髪のポニーテールで、身長は俺より少し小さいぐらいだったか。

 少し垂れ目で、鼻筋の通った可愛らしい子だ。

 目の下にホクロがあった気がする。


 変身魔法。

 習得の難しい魔法で、兵士の中では俺しか使うことが出来ない。

 体の表面の光を屈折させ、相手に見せたい物を見せるという魔法だ。

 色合いを操作ししたり胸を拡大したりと、相当にめんどくさい調整が必要である。

 そして声までは変わらないという弱点もあった。


「これで良いんだろ。だがどうやるんだ?」


「う~ん、そうねぇ、その辺りはアドリブで」


 ドンとフレーレに背中を押されて、俺は勇者の前に跳び出した。


「ちょ、お前……!」


 勇者の二人ががこちらを見ている。

 アドリブで続けるしかないのか……。


ベリー・エル(王国、兵士)       フルール・フレーレ(王国、兵士)

カールソン(帝国新聞、平社員)     グレモリア(王国に戦いを挑んだ勇者の一人)

グラスシャール・ボ・レアス(王国、兵士)べノム・ザッパー(王国、探索班)


ハーレム地獄モード


20話と連投

次回→ この続き予定

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