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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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レンブラント王国第5王女リアーナと従者キーラ

当初の予定とは全く違う意味で会議は紛糾した。


どうやら、レンブラント王国の家臣団の印象ではリアーナは模範的な姫様であり、あまり政に口を出す性格では無いらしい。


後は、家臣団からすれば嫁に欲しい王女ランキング第1位だとか。


なんだ、そのランキング。


結局、リアーナの指摘するメリットに対しても家臣団は反論出来ず、嫁ぐかもしれない相手もいる場で婚姻について文句も言えずという始末だった。


出た結論を簡単に言うならば、リアーナ姫お試し期間付き貸し出し、といったところだろうか。


つまり、お手軽にリアーナ姫が借りられます!今ならメイドのキーラも付いてくる!


どんなキャッチコピーだ。


突っ込むべきところは無数にあるのに、クレイビスが発した、竜騎士レンを信頼するという発言が尾を引き、無茶な話はそのまま無茶な状態のまま通ることになったのだ。


俺は何とも言えない気分のまま、俺の視察に付いて行きたいと言い出したリアーナの着替えを待っていた。


姫様の癖に、着替えはすぐに済むとのことで、俺は渋々許可を出した。


まあ、怪我をさせるようなことにはならないだろう。今回はミラも入れたらいつもよりメンバーが多いから、セディアかサイノスを姫様の護衛にするか。


俺がそんなことを思いながらリアーナを中庭で待っていると、リアーナとキーラが颯爽と現れた。


着替えには30分程要しただろうか。確かに、王族のお色直しと思えば早いのかもしれない。


だが、その着替えてきた服装に俺は目を丸くした。


リアーナは長い金髪を結って頭の後ろで纏め、白い皮の服の上に、鋼鉄製らしき鎧、手甲、足甲、皮のブーツ。


そして、手には曲がりくねった木製らしき杖を持っている。


前衛なのか後衛なのか…いや、そもそも細身のリアーナが鎧姿で動けるのか?


なによりもまず、姫として格好に問題は無いのか。


俺は様々な疑問が頭の中で駆け回る感覚に眩暈を覚え、リアーナの後ろに立つキーラを見た。


安心のメイド服である。


赤と黒のメイド服に白いエプロン。そして、腰には少し大きめのナイフが二本と、黒い皮のロングブーツ。さらに背中には刀身が1.2メートルはありそうなロングソードが…。


「なんだ、お前ら…その格好は…」


二人の格好を見た俺は思わずそう口にしていた。


すると、二人は顔を見合わせてお互いの格好を確認し、口を開く。


「ほら。やはりキーラのメイド服はダメだったでしょう?」


「いえ、姫様の鎧の方が…」


二人はお互いに自分は大丈夫といった体で話をしているが、武器を持っていない俺達と比較して、姫様とその従者がガチガチの戦闘態勢に入っているのも変な話だ。


まあ、俺達はアイテムボックスがあるから手ぶらなんだが。


「…とりあえず、リアーナは鎧を脱げ。キーラは背中のデカいのだけでも置いて行け」


俺がそう言うと、二人は驚きに目を剥く。


「鎧も無しに竜騎士様のお供にはなれないのでは…」


「これは冒険者時代にも愛用していた剣で、短剣では致命傷を与えられないオーガやサイクロプスにも有効な…」


二人は揃ってバラバラの理由で反論を口にしてきたが、俺は静かに片手を上げて二人を黙らせた。


二人が目を瞬かせて静かになったのを確認し、俺は口を開く。


「俺が守ってやる。だから、身軽な格好で来い」


俺がそう言うと、二人は小さく呻いて後ずさった。


そして、二人揃って妙にソワソワしながら言われた通り、装備を一部解除してその場に置いていた。


なんだ、一体。


俺が怪訝な顔で二人を見ていると、リアーナは身体のシルエットがかなりしっかり出てしまう白い皮の服だけでこちらに向かってきた。


「ど、ドレスの方が良かったでしょうか?」


リアーナは顔を赤くしながらそう言って、両手を身体の前に持ってきてそっと身体のラインを隠している。


あざとさが半端無い表情とポーズだが、本人を見る限り天然だろう。


その辺りの教育をしてないのか、クレイビス。


俺は脳筋の王を思い浮かべながらアイテムボックスから装備を三つ出した。


「これを付けろ」


俺はそう言って、ミスリルの胸当てとスカート付きの腰当を渡した。両方共ただのミスリルでは無く、魔術刻印により防御力向上と状態異常無効の効果がある。


「っ! み、ミスリルの…ありがとうございます!」


俺が装備を渡すと、リアーナは想像以上に喜んだ。ミスリルの部分に喜んだようにも見えたが、装備を両手に抱えてこちらをキラキラした目で見上げる様を見ると、どうもそれだけではないような気がする。


「…ああ、言っておくが、まだ英雄として認めたわけでは無いからな?」


俺がそう言うと、リアーナは目に見えて暗く沈んだ。


だが、すぐに顔を上げて眉尻を上げる。


「が、頑張ります!」


どうやら、リアーナも竜騎士に憧れているようだ。やはりクレイビスと同じ血が流れているのだ。


俺は何処か納得してリアーナを見て、リアーナの後ろに立つキーラに目を移した。


キーラはロングソードを置いて大分普通のメイドに見えるようになっていた。


俺はキーラに少し幅の広いミスリル製のバングルを渡した。


もちろん、魔術刻印入りのアクセサリーだ。効果は身体能力向上。ダンの指輪と同じ作用である。


「こ、こんな貴重なものを預かるなど…」


キーラはミスリルのバングルを見て、驚愕しながら両手で受け取り、そう口にした。


「気にするな。それは身体能力を向上させるから、お前の場合だとそのナイフでさっきのロングソードくらいの威力は出せるようになるだろう」


俺がそう説明すると、キーラは目を見開いてバングルを見た。


「み、ミスリル製の、マジックアイテム…」


うわ言のようにそんな言葉を口にするキーラを放置し、リアーナを見ると、リアーナは既に胸当てと腰当を装着していた。


うん、良く似合っている。


俺は着替えたリアーナに笑顔で頷くと、飛翔魔術を唱える。


「プルーラルフライ」


俺がそう口にした瞬間、無重力になったように足元がふわつき、上から紐で引っ張られるように身体が浮かび上がっていった。


リアーナやキーラは勿論急に空に浮かんで吃驚している。


「おや、殿。クレイビス王が走ってきましたぞ」


と、二人の反応を笑ってみていた俺に、サイノスがそんな報告をしてきた。


見れば、遠巻きに見ていた兵士達を押しのけて、クレイビスが中庭に顔を出していた。後ろにはユタも来ている。


「待ってください! 私も行きますよ!」


「ダメです! 陛下は城での仕事が溜まっております!インメンスタット帝国の…」


「は、離せ、ユタ! 王にはいかねばならん時がある!」


「ありません! 城でどんと構えて全体を見通し、各地に適切な…」


空に浮かび上がりながら、俺は二人を見下ろし、まるで漫才のようだと笑った。


だが、地味にユタの台詞が俺の胸にも刺さった。


クレイビスと同じ国王である。


だが、営業マンだったせいか、ジッとしているより各地を自ら回る方が性に合っている。


空は青く透き通り、目前に迫った巨大な雲は飛翔魔術に感動するリアーナやキーラで無くても圧巻の景色だ。


やはり、旅をしないとな。


俺はそう思い、口の端を上げて笑った。



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