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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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ヴィアンとフィンクルの驚愕

フィンクルから情報を得て、俺は早速確認に動くことにした。


現代の地球並みとはいかないが、俺には他の国には無いアドバンテージがある。


それが、空から確認に行けることである。


「ひ、ひゃ…ひゃあぁああっ!」


「ま、まさか、わた、私がドラゴンに…!」


先程から煩い悲鳴をあげて俺にしがみ付いているのがヴィアン。


呆然とした顔で何か呟きながら空の景色を見ているのはフィンクルだ。


護衛には偵察の為にセディアとローザを連れて来ている。


俺達はドラゴンの姿になったラグレイトに乗って高高度を飛行している。


2人が怖がらないように一般人枠として、今日はお休みだというSランク冒険者のパーティー白銀の風からブリュンヒルトとメルディアを連れて来ている。


ブリュンヒルトはそわそわしながら周りを見回しているし、メルディアは何故か涙を流しながらドラゴンになっているラグレイトの背中にしがみ付いていた。


「おい、ブリュンヒルト。メルディアは高い所が怖いのか? このヴィアンも怖いようだが」


俺がブリュンヒルトにそう尋ねると、ブリュンヒルトは泣きながらラグレイトの背中に頬擦りするメルディアを見下ろして乾いた笑い声を上げた。


「いえ、メルディアは感極まってしまっただけです。貴族の令嬢でしたのに、竜騎士の伝説に憧れて冒険者になったくらいですから…」


なるほど。つまり、憧れのドラゴン騎乗が叶って泣いているのか。


ということは、やたらと最初に突っかかってきたのは竜騎士への憧れから、竜騎士を名乗る偽者を許せなかったからか?


「まあいい。それで、ガラン皇国の主要都市はこの辺りにいくつある?」


俺が尋ねると、ブリュンヒルトは頭を捻りながら地上を見下ろした。


「アルダに二つと、エムレスに四つ、でしょうか…私はそれくらいしか思い付きませんが…」


ブリュンヒルトはそう言ってヴィアンを見た。


ヴィアンはカタカタ音がしそうな程震えながら俺にしがみ付いている。


「…フィンクル」


俺が名を呼ぶとフィンクルはハッとした顔になり俺を振り返った。


「な、なんでしょうか」


フィンクルは上擦った声でそう言った。


「アルダとエムレスには兵を集めやすい都市はいくつある?」


「アルダは陛下の国に接する大きな都市は三つです。エムレスはレンブラント王国へ睨みを利かせる為に四つの城塞都市があります」


「食料と兵を集めている五箇所の街はアルダとエムレスのどちらが多い?」


「アルダの街に三箇所、エムレスに二箇所です」


俺の質問に、フィンクルは迷い無く答えていく。


まるで噂ではなく、事実を知っているかのようなハッキリとした口調だ。


俺は隣に座っていたセディアとローザを見た。


「セディア、ローザ、地上を観察して大きな街があったら教えてくれ」


俺がそう言うと、すぐにセディアが地上を指差す。


「大将、右斜め前方に大きな都市があります。城塞都市みたいですね」


セディアがそう報告すると、ローザは悔しそうな顔をしてすぐに地上に目を向けていた。


「アルダに入ってすぐには城塞都市は無いはずですが…」


セディアの報告を聞いていたフィンクルがそう口にしたが、生憎と速度が違う。


そんなに時間は経ってないとはいえ、ラグレイトの飛行ならば想像以上に早く目的地に着くだろう。


「ちょっと降下してもらうか。もう少しくらい高度を下げても気付かれないだろう」


「こんな高さから偵察されているなどとは、誰も思いつきもしませんよ」


俺の言葉にフィンクルが疲れたような声でそう呟いた。


「ボス、あっちにも都市を発見しましたよ。心なしかあっちの方が大きな気がするよ」


「気のせいよ、ローザ」


俺がセディアの指し示す方向を見ていると、新たなる街の発見をローザが報告し、セディアと張り合っていた。


「城塞都市か?」


「いえ、こちらは…高い塔が二つ見える街のようですが」


「トパルの街!? そんな馬鹿な!」


ローザの口から出た街の特徴を聞き、フィンクルが珍しく声を荒げた。


「兵が集まっている街か?」


俺が尋ねると、ローザが報告した街の方向に顔を向けるフィンクルが頷いた。


「主要な城塞都市の丁度間にある街で、その二つの都市とそのトパルに食料と奴隷が集められているはずです」


フィンクルはそう言いながら、やっと街を発見して驚いていた。


「本当にトパルだ…馬車で2週間かかる距離を数時間で…」


「馬車ならば間にあった山を越えるんだろう? こちらはそんなものは関係ないからな」


俺がそう言うと、フィンクルは深く息を吐いて、座り直した。


そして、青空を仰ぎ見る。


「…今日はありがとうございます。良い勉強になりました。竜騎士の国と事を構えてはいけないという、事実に気がつくことが出来ましたから」


フィンクルはそう言って苦笑混じりに俺を見た。


何処か、憑き物が落ちたような清々しい顔をしている気がする。


「それは良かったな。メーアスに帰って報告するか?」


「…いえ…行商人仲間に、ドラゴンに乗せてもらったと自慢するだけですよ」


フィンクルは俺の質問に適当な返事を返して笑った。


「ボス。どうやら当たりみたいだね」


俺とフィンクルのやり取りを聞いていたのか、ローザが会話の途切れたタイミングでそう口にした。


見ると、トパルの周辺には少しずつ違う色合いのテントが大量に張られていた。


「傭兵団か?」


「装備はバラバラだし、少なくとも騎士団には見えませんよ」


俺とセディアがそう言って様子を窺っていると、ブリュンヒルトが傍に来て地上を見た。


「…傭兵団の赤猿と、龍の牙…に見えますね。旗が似ています」


「赤猿と龍の牙? 緊張感の無い名前だな。どんな傭兵団だ?」


「赤猿は奴隷を多く持つ大人数の傭兵団です。常時千人近くの兵を維持している有名な傭兵団ですね。龍の牙は逆に少数精鋭の元冒険者の集団です。人数は50人ほどですが、Bランクだった者も多く、良く戦場に現れるようです」


「ふむ…冒険者として食っていけば良いだろうに」


俺がそう言うと、ブリュンヒルトは残念そうに眉をひそめた。


「大半が罪を犯して除籍された冒険者です。後は、魔物と戦うよりも人間と戦いたい者もいるようですが」


「なるほどな」


俺はブリュンヒルトの台詞にそう返事をすると、改めて傭兵団を見下ろした。


まだまだ集めている最中ならば、ここからどれだけ兵数が膨れ上がるのか。


「さて、とりあえず戻るか。フィンクル、ガラン皇国が我が国に攻め込む可能性のある道を思い付くだけ教えてくれ。帰り道で一応見ていこう」


俺はそう言って、周囲を見回した。


山を越える道が多いならば、三箇所から同時に攻められても問題は無いだろう。


山道ならば俺の仲間達が奇襲をかけて壊滅に追い込むことが容易だ。


だが気になることがある。


山道は何処もガラン皇国の領土な気がする。


つまり、ガラン皇国にこちらが侵攻したかのような印象を与えてしまうかもしれない。


一応、他の国に文句を言われない、防衛という形にするにはどうしたものか。


悩み所である。











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