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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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全軍出撃!(メイドと執事除く)

「ご主人様、ご武運を」


メイド長プラウディアがいつもの無表情でそう言うと、執事のディオンが深く腰を折って一礼した。


「私は我がギルドこそ最強だと思っております、マイロード。我がギルドの正面に立つ者は全て灰燼と帰すでしょう。ご武運を」


普段毒舌の筈のディオンが俺に微笑すら湛えてそんな激励をしてきた。


俺は何とも言えない気持ちでディオンを見る。が、結局ディオンの、如何しました、とでも言いたそうな顔を見て諦めた。


「…ああ、行ってくる」


俺はそう返事をすると、背後を振り返った。


ジーアイ城の正門のすぐ外には、エレノアを筆頭にギルドメンバー188名が整列して待っていた。


完全武装を施したギルドメンバーを見渡し、俺はアイテムボックスから一から作り上げた自分用の剣を取り出した。


名前は遊びで付けたためクーポン剣とかいうふざけた名前だが、剣としての攻撃力はほぼ最大値であり、更に追加効果で持ち手に自動体力・魔力回復、最大HP30%アップ、攻撃力・防御力50%アップという反則的な武器だ。


デザインもかなり自由度がある為、インターネット上で見た豪華なロングソードをパクってデザインしている。


俺はそのロングソードを自分の前に突き立てると、皆を見回して口を開いた。


「さあ、戦争だ。今回はギルド対抗戦ではない。敵も未知数だ。だが、ランブラスで調べた結果、俺達に匹敵する強者は伝承に伝わる昔話の登場人物か、噂でしか聞かないSランク冒険者くらいだろう」


俺はそこで言葉を切ると、短く息を吐いた。


「しかし、敵は多い。予測どおり、およそ10万だ。200にも満たない俺達が目の前に現れたところで、敵は俺達を相手にもしないだろう。だが、それが当たり前だ。俺達が不利な立場にあると理解して作戦に当たれ。絶対に油断するな。分かったな?」


俺がそう言うと、皆から一斉に返事が返ってきた。


俺は皆の力強い目を見返し、頷いた。


「作戦は伝えた通りだ。敵の正面にあたる南側は俺が率いる部隊。東側はカルタスの部隊。西側がローレルの部隊。そして背後に当たる北側はエレノアの部隊だ。勿論、俺が派手に一発撃ち込むまで動くなよ」


「はい!」


「おお!」


「あいよ!」


俺の再確認にエレノア、カルタス、ローレルが勢い良く返事をした。


俺はそれを確認し、地面に突き立てたロングソードを肩に乗せて笑みを浮かべた。指先が震えるのは、武者震いに違いない。


「さあ、戦争だ。いくぞ!」









俺達は空から敵軍の様子を見た。


ガラン皇国軍らしき赤い旗の大軍勢は規則正しい密集陣形で行軍していた。武装は人の背丈の倍はありそうな長い槍と剣、大楯といった感じだ。


そして、その前方かなり離れた距離にレンブラント王国軍らしき青い旗の軍勢が進んでいる。武装は剣と大楯がメインらしい。この軍が国境を守っていた常駐軍だろう。


俺は空の上で並び立つ俺の部隊に視線を移した。


常に四人は俺の護衛を置くということで、俺の部隊は俺を入れて51人となる。


他の部隊は46人ずつだ。


ちなみにせっかく魔術士部隊や近接戦闘部隊などを考えたのに、ミレーニアから嫌な顔をされてボツにした。


部隊の構成はそれぞれがバランス型になっている。


「さて、まずはレンブラント王国軍だ。彼らは裏切っているのか、それとも情報を潰されて騙されているのか。確認といこう」


俺は部隊の皆にそう言うと、少し離れた位置に降りて王国軍の前に移動した。


「止まれ! 何だ、貴様達は!?」


行軍する大軍の前に躍り出る冒険者らしき一団。


まあ、普通はこういう反応だろう。


俺は軍の先頭を進んでいた馬上の騎士を見た。白い鎧の派手な騎士だ。


「ビリアーズ伯爵の伝令を持ってきた。昨日も伝令は出したが、ビリアーズ伯爵より伝令はきたか?」


俺が大きめの声でそう確認を取ると、先頭の騎士は驚いた顔で口を開いた。


「なに!? いや、伝令は来ていない! 少し待て、将軍に確認をとる!」


騎士はそう言うと行軍を止め、すぐに軍の中に馬を滑り込ませて姿を消した。


いや、こんな怪しい奴の言葉を鵜呑みにして良いのか。


思わず俺が自分からそう言いだしそうになったが、良く考えたら独立に加担しようという一軍なのだから、情報は常に最新のものに更新しなくてはならないだろう。


もしかしたら、今の騎士もこれから数日で自分の生活が一変するかもしれない緊張に内心震えていたのだろうか。


俺がそう思いながら待っていると、俺達の異様を疑わしげに見ていた兵士の列から先ほどの騎士が姿を現した。


「こちらに来てもらおう」


騎士が険しい顔でそう言うと、騎士の周辺の兵士達が左右に避けて人垣に挟まれた道が出来た。


「殿、拙者が先頭をいきます」


「頼む」


サイノスが率先して俺の護衛に先頭を進み、俺の左右にセディアとラグレイトが並び、背後にはソアラが付いている。


このメンバーで大型ボスであるカラードラゴン全種を狩れるだろうパーティ構成だ。


そのうえ、俺達の背後には46人のギルドメンバーがいる。


俺は自然と背筋が伸びる思いでレンブラント王国軍約2万人の真っ只中を割って歩いた。


しばらく歩くと、兵の質が明らかに違う集団に出くわした。


皆が馬に乗り、青い鎧と大楯を装備した一団だ。


その中に一人だけ白いマントをした騎士がいた。


その騎士は俺達を見て一歩前に出てきた。


「この軍を預かるデニス・フーバーだ。ビリアーズ伯爵様より伝令を預かっていると聞いたが」


デニスと名乗る騎士はそう言うと馬から降りて俺を見た。


「ああ。昨日にも伝令が出ているはずだが、伝わっていないようだな。ガラン皇国はビリアーズ伯爵との約定を違え、侵略者として辺境領に来ている」


俺がそう言うと、周囲に驚愕の声が上がった。


デニスは眉間に皺を寄せると顎を引いて考えるような仕草をした。


数秒そうしていたデニスは、顔を上げて俺を見た。


「…おかしいとは思っていた。5000の兵と書状を手にガラン皇国より援軍が来ると聞いていたが、実際に来た兵は八万にも及ぶ大軍勢だからな。だが、私達もガラン皇国軍を引き入れろという指令に逆らうわけにもいかなかった」


デニスはそう言って溜め息を吐くと、腕を組んで俺を睨むように見た。


「しかし、どうする? 対応を間違えた私が言うのは問題かもしれんが、この現状は厳しいぞ。伯爵様はご存知なのか?」


デニスにそう聞かれ、俺は思わず笑みを浮かべた。


「将軍は軍を率いたまま前進してくれれば良い。後方のガラン皇国軍が動きを止めるが、出来るだけ離れるように前進することだ。巻き込まれるぞ」


「…? 何か策があるのか?」


俺の台詞にデニスが頭を捻ってそう聞き返していると、デニスの後方から一人の騎士が駆けてきた。


「ガラン皇国軍の指揮官より、行軍に問題が起きたか、と質問を受けております。返答は如何致しましょう?」


随分と雑破な伝令を持ってきた騎士にそう聞かれ、デニスは舌打ちを一つして視線を後方へ向けた。


「なんと腹立たしいことだ」


知らない内に敵に背後を取られて案内までさせられていたデニスが苛立ちも隠さずにそう呟いた。


俺は苦笑すると、デニスに視線を向けて口を開く。


「それじゃあ前進してくれ。俺達はこの場に残るからそのまま置いて行ってくれていい」


「なに? 何処かに兵を隠してきたのでは無いのか? その人数であの大軍の正面に立つなど、数分で踏み潰されるぞ」


デニスに心配そうにそう言われ、俺は思わず声を出して笑った。


「兵は隠れて待機しているさ。四方を囲む形でな。安心して進んでくれ」




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