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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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冒険者レンレン

番外編【ダンジョン攻略】です!

続きます!

【冒険者ランクを上げたあの日】


「え? 冒険者活動?」


「うむ、冒険者活動だ」


 俺がそう言うと、我がエインヘリアル王都の冒険者ギルドで働くミリアが目を丸くした。


 ミリアは特徴的な赤い髪を揺らし、こちらに身を乗り出す。


「れ、レン様? 国王としてのお仕事は?」


「抜け出してきた。城主代行が働いてるから大丈夫だ」


「あ、あのお髭の……」


「そう、カルタスだ。有能だからな。内政も外交も問題無いぞ」


 そう告げると、ミリアは曖昧に頷きながら俺の顔を見上げていた。ぼんやりとこちらを見てくるミリアに苦笑し、俺は掲示板を指差す。


 午前中の今は冒険者達の姿も少なく、掲示板の前には誰もいないような状況だった。


「あそこの依頼書も見たが、もう少し難易度が高い依頼はあるか?」


「……えっと、飛竜討伐以上の……え? も、もっと難易度が高い依頼ですか?」


 ぼんやりしていたミリアが目を剥いた。


「うむ。一気にSランクになれそうな依頼だ」


「Aを飛ばしてSランク……レン様ならではのお言葉ですね」


 ミリアはそう言って笑うと、両手を挙げて降参とでも言うようなポーズを取った。


「そんな依頼はありません……と、言いたいところですが、依頼では無く手段ならばあります」


「手段?」


 聞き返すと、ミリアは不敵な笑みを浮かべて頷く。


「はい、ダンジョンです」


「ダンジョン攻略か」


「はい。未だ殆どのダンジョンが制覇されていません。ですから、ダンジョンを攻略すれば間違い無くランクアップですよ!」


 そう言われ、俺は顎を指でつまみながら唸った。


 とあるSランク冒険者達もダンジョンを攻略してランクアップしたんだったな。盲点だった。


「ダンジョンか……どうせなら、難しいダンジョンが良いな」


 そう言うと、ミリアは挑戦的な笑みを浮かべて頷く。


「レン様ならそう仰ると思いました! なので、最悪のダンジョンと噂の嘆きの地下迷宮をオススメします! なんと、地下の階段を降りてすぐにリザード系のモンスターに出くわします!」


「……リザード系。なら、地下深くに行けばドラゴンがいるはずだな」


「恐らく、としか言えませんが……嘆きの地下迷宮はまだ地下二階までしか探索出来ておりません。外にモンスターが出たことが無い為、緊急依頼も出ておらず、今では殆ど人がいないダンジョンですね」


「よし、そこに行ってみるか。ドラゴンの素材も欲しいしな。場所は何処だ?」


 そう尋ねると、ミリアは目をパチクリと瞬かせた。そして、クスリと笑う。


「すぐ近くですよ。レンブラント王国との国境にある山の麓ですから。普通なら遠い距離ですが、レン様ならすぐですものね?」


「レンブラント王国か。なら確かに日帰りで行けるかな」


 ミリアの軽口に軽口を返すと、ミリアは吹き出して笑った。


「あははは、流石レン様」


 微妙に珍獣扱いされた気がした今日この頃である。






 ということでやってきました『嘆きの地下迷宮』。


 鬱蒼と木々が生い茂った山の麓に、急に拓けた草原があり、明らかに周囲から浮いた石造りの四角い地下への入り口が存在している。


 大きさは高さ三メートルくらいだが、横幅は一メートルくらいしか無い。


「……単純にモンスターが出られないくらい出入り口が狭いだけじゃないだろうな」


 俺がそう呟くと、今回のダンジョン攻略に同行したエレノアが息を漏らすように笑った。


「ふふ。それならダンジョンの中はモンスターで溢れかえっておりますね」


 エレノアがそんな不穏な事を言うと、他の同行者からも笑い声が漏れた。


「そりゃ良いね。僕が一番ドラゴン狩れるとは思うけど」


「何を言う。拙者が一番に決まっているだろう」


 ラグレイトとサイノスが視線を交錯させながらそう口にすると、エレノアが目を細める。


「火力重視の速攻型パーティー構成ですが、ドラゴン狩りならば私に一日の長があります。まぁ、結局私が一番ドラゴンを狩ってしまうのでしょうね」


 そう言ってエレノアが笑うと、ラグレイトとサイノスの眼がギラリと光った。


 眼光を光らせる三人を眺め、俺は剣を取り出す。


「……競い合うのは良いが、協調性も大切にな」


 そう言い残して、俺は一足先にダンジョンへと続く石階段に足を乗せたのだった。


 コツコツと硬い音を響かせて暗い地下への階段を降りる。壁に照明なんて気の利いたものは無く、自ら魔術で灯りを作り出している。


 長い階段を真っ直ぐに降り切ると、地下一階のフロアに辿り着いた。石壁が真正面の視界を遮っており、左右に通路が広がっている。


 流石は地下迷宮。初っ端から別れ道である。


 カビの臭いが混ざった湿った風が肌に纏わりつく中、俺は背後で待機しているラグレイトに声をかけた。


「ラグレイト。道を作ってくれ」


「お、コレって壊れるの?」


 指示を出すと、ラグレイトは首を傾げながら壁に向かっていき、思い切り拳を振るった。


 助走も無しの素手による一撃だったが、大地を揺らすような振動と轟音が響き、石壁は粉々に砕けてしまった。


 壁に出来た丸く開いた穴の向こう側では、砕けた破片を頭に受けたコモドドラゴンのような巨大なトカゲがひっくり返っている。


「あ! ドラゴン一匹!」


「あれはレッドリザードなのでカウントしません」


「えー? 一応ドラゴンの子供みたいなもんでしょ?」


「あんな小物まで数に入れたがるとは、くくく……やはり拙者の勝ちは決まったも同然……」


「無い無い無い」


 三人はそんなアホな会話をしながら出来たばかりの穴を潜って奥へと進んでいく。


 さらに壁を破壊していく音を聞きながら、俺はダンジョンの中を見渡した。


 ダンジョンが崩壊しないか心配になってきたな。



新作書いてます!

初の冒険者物!わーい、楽しく書くぞー!

是非一度ご覧ください!

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