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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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エレノアとの夜

短いですが…

 いそいそと何かを用意するエレノアを眺めながら、お茶を飲む。


 今日は星が綺麗だからと言って誘ったら、エレノアが何か準備すると言うので待機状態となった次第である。


「もう準備出来ました! お待たせしてしまい申し訳ありません!」


 エレノアはそう言って慌てて何かを持ってきた。


「ん? 何だ、それ?」


「うふふ。お酒とおつまみです。ご主人様のお好きな焼き鳥もありますよ」


「お、良いな」


「こ、こ、これもつ、妻のツトメですから」


「……照れるなら言わなければ良いのに」


「ふ、ふふふふふ」


「怖いっ!」


 そんなやり取りをしながらジーアイ城の中を歩いていると、まだ起きていたギルドメンバーとすれ違う。


「お、何処に行かれるのですか、親方」


「ちょっと屋上だ、ノア」


「某も一緒……っ!? い、いえ何でもありません!」


「そうか? じゃ、また今度な」


「は、はっ!」


 そういったやり取りが何度か繰り返され、結局俺とエレノアは二人で屋上へ向かうことになった。


 屋上に上がり、周りを見渡すとそこには満天の星空が広がっていた。


「……いい夜だ。雲ひとつないな」


 俺がそう言うと、エレノアは嬉しそうに椅子を並べながら頷いた。


「はい! 綺麗な星空です!」


 少し冷たい空気が心地良い。俺はエレノアの用意した椅子に座り、グッと背筋を伸ばす。


 エレノアはそわそわと辺りを見回しながらも、そっと隣の椅子に座り、小さな丸いテーブルの上に酒やつまみを並べていった。


「ささ、どうぞ一杯…」


「ん、ありがとう」


 良く冷えた酒だ。この世界で作られた蒸留酒で果実の風味付けがされている。


 なんとカムリの努力の結晶である。


 馬鹿みたいにアルコール度数が高かったのを自分好みに薄めさせたが、そのお陰でかなり飲みやすくなった。


 それでもグラスを傾けて口に含むとアルコールが鼻を抜ける感覚がある。喉を焼くほどでは無いが、呑んでいる内に熱くなっていく程度には強い酒精だ。


 グラスを口から離してホッと息を吐くと、隣でエレノアが嬉しそうに笑いながらこちらを見ていた。


「焼き鳥はいかがですか?」


「もらおうか」


 そう答えて、俺は串に刺さった肉を受け取った。馴染み深い焼き鳥を再現した料理である。塩も好きだったが、この世界に来てからは醤油っぽい味付けが恋しくなった。


 その為、この焼き鳥もタレである。


 噛むと弾力があり、香ばしいタレの風味と甘辛い味が口の中に広がる。


 口の中にいれた焼き鳥を味わってから飲み込み、また酒を飲む。


「……旨いな」


 そう呟くと、エレノアがまた笑った。


「そうですね。美味しいです」


「……やけに今日はご機嫌だな」


「そうですか? ふふふ」


「……もう酔っ払ってるんじゃないか?」


「いえいえ。さぁ、もう一杯どうぞ」


「あ、うん……旨い」


「むふふふふ」


 俺とエレノアは暫く、ゆったりと夜空を見上げて晩酌を楽しんだのだった。






【覗く者達】


「く……! 楽しそうにしおって!」


 サイノスがそう言うと、ローレルが呆れたような顔をした。


「なんでお前が一番悔しそうなんだよ」


「ぬぐぐぐ……拙者も殿と酒を飲み交わしたい!」


「ダメだよ。次は私」


 ギリギリと歯を嚙み鳴らすサイノスを半眼で見据え、ミラがそう言った。


 すると、イオが口を尖らせる。


「えー、僕もマスターとお酒呑みたいな」


 イオがそう呟くと、皆が思わずといった様子でイオを振り返る。


 妖精族らしい小さな身体に可愛らしい顔立ちを見て、ミラが眉根を寄せた。


「……イオはお酒呑んでも良いの?」


 ミラがそう口にすると、サイノスとローレルも深く頷く。


「うむ。ダメだろうな」


「まだ早いな」


 口々にそんなことを言われ、イオは頬を膨らませて怒りだした。


「……僕は子供じゃないからね?」



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