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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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何故金が無いんだ、Sランク冒険者…!

スポーツ選手ばりの賃金を要求するSランク冒険者パーティー白銀の風。


俺はそんな彼女達に笑顔で「少し高いのではありませんか」と聞いたところ、帰ってきた答えは衝撃的なものだった。


「装備品がすぐ壊れるから修理代が…あ、それにマジックポーションとかも一個一万ディールとかするので…」


ブリュンヒルトいわく、Sランク冒険者のような超一流の冒険者が使う装備は全て一級品で、修理も物凄い費用がかかるらしい。


材料を全て自分で集めればかなり安くなるらしいのだが、時間が掛かってしまうのでやらないそうだ。


というか、マジックポーションもそんなに高いのか。


一万ディールということは百万円。


言うなれば百万円の栄養ドリンク…!


どこぞの皇帝様の液であろうとそこまでの値段はしないというのに。


結局、白銀の風には五億円の報酬を与えることになった。


まあ、神の代行者である国王でもある俺が値切り交渉するのは何か恥ずかしいからな。


そう思った俺は、何故か顔面の筋肉が緩んだ気がするオグマを眺めつつ、白銀の風を連れて移動を開始する。


まずは、戦えるメンバーを集めて装備を整える為だ。


装備品は全員に一時的にだが最強の装備を貸し出すしかあるまい。


装備品を最上級の物にしてしまえば、恐らくレベルで換算すると、五十から六十近くまではいくだろう。


そうすれば、上手く行けば五人で一人を足止めくらいは出来る。


ん? 計算が合わないぞ。


十人だから、三、三、四に別れなければいけないのだ。


偶然にもパーティーのバランスは良いが、人数が心許ない。


どうしたものか。


俺はそんなことを思いながら結局ジーアイ城へ帰り着いてしまった。


まあ、どちらにせよ装備だ。気持ちを入れ替えて俺は宝物庫へ皆を連れて行った。


ミスリルで装飾されたオリハルコンの巨大な扉である。派手だが、宝物庫というなら頑丈な扉でないと格好が付かないと思ってそんな扉にしてある。


もうミスリルやら何やらにだいぶ慣れたらしい皆が扉を眺める中、俺はさっさと扉を開けた。


扉を開けると、奥に続く廊下があり、また廊下の奥に扉がある。


奥の扉を開けると、ようやく宝物庫らしい光景が目の前に広がった。


体育館のように広い部屋の奥には金銀財宝が山のように並び、手前には博物館のように様々な武具が飾られている。


ちなみに、豪華に一つ一つ飾られているが一部は見た目が良いだけのイベントアイテムだったりユニーク武器、防具だったりする。


一度は全ての武具を集めようかとも思ったが、属性違いなどが多い為に諦めた。


各キャラクター毎の装備はそれなりに整っているし、各最上位職毎の最強装備はコンプリートしているので及第点といったところか。


「す、すごい…こんな財宝の山が…」


呆然とする皆の中でアタラッテがそんな呟きを漏らした。


奥にある金銀財宝はゲーム時代ならば何の意味も無いオプションだ。インテリアの為に購入した金銀財宝セット大というアイテムである。


そういえばあの財宝のインテリアはもしかして本物になっていたりするのだろうか。


俺はそんなことを思いながら、ズラッと続く武具の展示物を眺めた。


「ブリュンヒルト、これなんかどうだ? 貸すだけだが」


俺はそう言って雷轟のロングソードを指差した。青白く発光しているようにも見える装飾過多気味な見た目のロングソードだ。


魔術刻印が施されているのでデザインというより機能としてこういう見た目となっている。


「こ、これは…ま、魔剣でしょうか?」


剣に目が釘付けになっているブリュンヒルトがそう呟き、俺は軽く頷いて口を開いた。


「雷轟のロングソード。多少の魔力は必要だが、攻撃後に俺の一撃に匹敵する追加攻撃が発動する。ミスリルよりも強いオリハルコン製の武器だから長く持つぞ」


「…な、なんという」


俺の解説にブリュンヒルトは唾を嚥下してなんとかそれだけ呟いた。


俺は他の武器を探し、メルディアを呼ぶ。


「お前にはこれかな」


「これは…」


俺がミスリル製の杖を指差してそう言うと、メルディアは金色の眼をミスリルの杖に近付けて凝視した。


「魔力のミスリルワンド。魔術の威力が上がるのは勿論として、魔力量向上、魔力の自然回復も付いてくるお得なやつだ。便利だぞ」


「お、お得とかそういう話ですか…」


俺の解説に文句を言いたそうなメルディアだったが、視線はミスリルの杖から離せずにいた。


身体は正直だな。


次に俺はオグマの大剣を探すことにした。




そんなこんなで皆の装備を整えていき、気が付けば白銀の風の面々は装備を総取っ替えすることになっていた。


ブリュンヒルトは雷轟のロングソードを始めとしたオリハルコン装備。


メルディアは魔力のミスリルワンドを始めとした魔力に重点を置いた魔術士装備。


アタラッテは疾風の短剣を始めとした速度重視のミスリル装備。


マリナは神王の聖杖と防御力重視の聖職者装備。


オグマは大剣である、真・涅槃おくりと防御力重視のオリハルコン製フルプレートメイル。


マジックアイテムによるステータスも合わさり、皆が急激にパワーアップした筈だ。


ちなみに、ダンのミスリルのフル装備も防御力ではオリハルコンに劣るが、魔術刻印の身体能力向上に関してはオリハルコンより優れている。


シェリーも既に魔術士としては理想的な装備を整えてあるし、リアーナとキーラも一度装備を確認したことがある。


ある程度いくつか見繕って持っていけば好きなものを選ぶだろう。


皆の装備が決まったこともあり、俺は満足して皆を眺めた。


すると、オグマが引き攣った顔で俺を見つめて来た。


「…ワシの装備は、もう少し大人しいものは無かったのだろうか」


オグマがそう口にすると、それまで肩を震わせて我慢していたブリュンヒルト達が噴き出すように笑い出した。


「ぶふっ!」


「着る前に言えよ!」


そう言って、堪えきれずに声を出して笑うブリュンヒルト達を、オグマは真顔で見る。


オグマのフルプレートメイルは、禍神の鎧というドクロをモチーフにした鎧である。


兜は山羊の骨。両肩には人の頭部のような骨…。


全身に骨の形の装飾がなされたフルプレートメイルを着るオグマに、ダンとシェリーは同情の眼差しを向けている。


俺は意外と好きなんだが、オグマには不評らしい。



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