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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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会議だよ!全員集合!

ヴァル・ヴァルハラ城にて、メーアスの代表三名とエルフの国の王を歓待し、大いに驚いて貰う中、ようやくエルフの国の魔術士が獣人の国から国王であるフウテンを連れてきた。


「お久しぶりです、レン様」


そう言って、フウテンは馬鹿でかい図体を折り曲げて頭を下げる。


「おう、フウテン。思ったより早く会えたじゃないか」


俺がそう言って笑うと、フウテンも快活に笑って頭を上げた。


と、俺とフウテンがそんな会話をしていると、エルフの国の魔術士がこちらへ歩み寄って来た。


白いローブを羽織り、フードで顔を隠した魔術士だ。


その魔術士は、俺の前で跪いてフードを自ら脱ぎさった。


長い流れるような金髪が揺れ、淡い黄緑色の瞳が俺を見上げる。


「久しぶりですね、レン様」


「アリスキテラか。お前がフウテンを迎えに行ってくれたのか」


俺がそう言ってアリスキテラの顔を見ると、アリスキテラは息を吐くように小さく笑って頷いた。


「ふふ、こんな良い機会を見逃してなるものですか。会議が終わっても帰りませんから」


アリスキテラはそう宣言すると軽い足取りで楽しそうに壁側に移動した。


今、俺達が立っているのは謁見の間である。一応城主の為の椅子や来賓用の椅子もあるが、皆立って歓談している。


「さて、残りはタキ、ソレアム、ナルサジェル王国の代表か。普段リアーナ姫が連絡を取ってくれてはいたが、急に相手の国に代表者が一名出てこいと言われても来ないかな?」


俺は腕を組んでそう口にしたが、カレディアが首を左右にゆっくりと振ってやんわりと否定した。


初老ともいえる年齢に合った穏やかな、それでいて優雅な所作である。


「世界一の大国ならばともかく、このような情勢下でせっかく自国の存在感を示す事の出来る場が現れたのです。小国の代表は必ず、それも国王かそれに近い地位の者が出席するでしょう」


カレディアがそう言うと、ジロモーラも肩を竦めて同意する。


「そりゃこれだけでかい話だ。会議の内容云々で無くても顔は出さないとな。空輸の話も出来るだろうし」


ジロモーラがそう言うと、皆の目が俺に集まる。


実際、メーアスの代表三人とは空輸産業についてのやり取りもかなり濃密にやっている。


が、どちらにせよ、今はレンブラント王国とインメンスタット帝国の衝突に話は戻ることになるのだ。


会議を終えて話題が膨らむとしたら各国の援助の形についての考察などだろう。


まあ、当のレンブラント王国代表であるリアーナ姫が危機感を感じさせない笑顔で各国代表と会話をしている為説得力は無いが。


と、俺が皆の顔を眺めながらそんなことを思っていると、謁見の間に新たなる人影が現れた。


左目を黒い眼帯で隠した黒髪の細身の男だ。襟と裾にだけ刺繍の施された黒い布の服に、オレンジ色に違い茶色の長いマフラーのような物を首に掛けている。


年齢は四十ほどだろうか。顎には少し長い髭を生やしていた。


男は眼光鋭く謁見の間にいる皆を眺め、口を開いた。


「お初にお目にかかる…タキの総統、トゴウという者だ」


トゴウと名乗った男に、まずは一番近くに立っていたフウテンが向き直り、口を開いた。


「私は獣人の国、ヒノモトの代表をしている、フウテンです。宜しく頼みます、トゴウ殿」


そう言ってフウテンが挨拶をすると、トゴウは軽く挨拶を返して頷いた。


そして、トゴウは居並ぶ各国の代表の顔を確認し、俺を見て口を開く。


「…そちらが、エインヘリアル国を興したレンという御人か」


「ほぅ、良く分かったな。俺がレンだ。宜しくな」


トゴウの台詞に俺がそう返事をすると、トゴウは睨むように俺を見据えた。


「…現世の神の代行者であると聞く。それは如何にして証明なさるのか」


「信じるかどうかは其方次第だ。此方は信じろとは言わないからな」


トゴウのいきなりの質問に、俺は笑いながらそう返した。


トゴウは皆の視線を受けながらも動じる様子は見せず、鼻で息を吐いて頷いた。


「…見極めさせて頂く」


トゴウはそれだけ言うと、壁側に置かれた椅子の方へ移動し、無言で椅子に腰を下ろした。


中々難しい人物のようだが、他の国の代表はあまり気にしていないようだ。


多少のコミュニケーションは取った方が良いか。いや、わざわざ離れた場所に座ったのは馴れ合うつもりは無いというアピールかもしれない。


俺がそんなことを考えながら、座ったまま目を瞑っているトゴウを眺めていると、更に新たな来訪者が訪れる気配を感じた。


「こちらでございます」


ギルドメンバーのメイド部隊が案内する声と共に現れたのは、背が高い灰色の髪の男と、丸い帽子を被った肥えた男の二人だった。


灰色の髪の男は短い髪を後ろに撫で付けており、薄い青の服を着ている。


そして、黒の丸い帽子を被った男は薄い茶色のひらひらとした服を、黒い幅広の布で縛ったような不思議な服を着ていた。


灰色の髪の男は四十代前半ほどで、丸い帽子を被った男は五十代前後ほどに見えた。


二人は謁見の間に足を踏み入れてから謁見の間に居る皆を見回し、まずは灰色の髪の男が口を開いた。


「ソレアムの代表、ヨシフです」


灰色の髪の男、ヨシフがそう口にすると、今度は丸い帽子の男が待ってましたとばかりに笑みを浮かべて口を開く。


「私が、ナルサジェル王国カイシェック国王です。皆様方、よしなに…」


カイシェックは名乗りを終えると、帽子を脱いで片手に持ち目を細めた。


帽子の下は見事な輝きを放つスキンヘッドだった。


俺は二人を見て浅く頷き、挨拶を返した。


「俺はエインヘリアルの国王、レンだ。よろしくな」


俺がそう自己紹介をすると、他の面々も順番に自己紹介をしていく。


メーアスのフィンクル、カレディア、ジロモーラ。


レンブラント王国国王代理、リアーナ。


エルフの国ラ・フィアーシュのサハロセテリ。


獣人の国ヒノモトのフウテン。


そして、エルフの国の魔術士アリスキテラと、傭兵団柔らかき銀の行軍のソマサ。


新たに来た三人と俺も加え、十一人。


国際同盟の記念すべき初会議だ。


充分と言えるメンバーが揃った。


ちなみに、護衛として来ているサイノスとサニーはカウントしない。



サイノスはともかく、過激派のサニーが会議で発言すると物騒な会議になりそうです…

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