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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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やっとエルフの国に入国!

風邪をひきました…

なんとか一話投稿…

ぐふ……






結局サニーをなだめて、何とか普通にエルフの国に空から向かうことになった。


ラハムツヴィに言われるままに森林の上から場所を特定し、俺達は徐々に木々の間を縫うように降下を開始する。


そして、樹木の高さの半分ほどまで降下すると、木々の間から僅かに人工の建造物らしき姿が見え始めた。


城壁は無い。


幅の広い堀のような水路が引かれ、鎖で吊られた橋が見える。


奥は土を盛ったのか、山を削ったのか。傾斜のある土地を段々に高低差をつけてあり、下に行くにしたがって扇状に広がり棚田や段々畑のような形になっている。


白い壁と朱色の屋根の家が建ち並び、一番高い場所には家と似た色合いの白いお城が建っていた。


そのあまりにも綺麗な街と城の外見、調和した風景に、俺は言葉も無く見入っていた。


随分と広い範囲の土地を使った立派な街並みだが、これだけ広いのに何故空から発見出来なかったのか。


俺がそう思って尋ねるとイツハルリアが自慢気に木々を指差した。


「認識阻害の魔術結界だ。ラ・フィアーシュを囲むように木々に刻印が施されている。仕組みなどは聞くなよ。私は全く分からないからな」


イツハルリアはそう言って胸を張った。そうだろうと思っていた俺は特に気にすること無く頷く。


ゲームの世界では無かった技術である。


いや、期間限定で既存のマップに現れたボスなどが、ちゃんとマップに入らないと見えないなんてことはあったか。


俺はそんなことを考えながら唸った。


「なるほどな。認識阻害か。うちの拠点にも使いたいな」


一つ得るものを見つけた俺は自らの口の端が上がるのを自覚しながらそう呟いた。


「おお、そこの橋の手前で降ろしてください」


と、気がつけば水路のすぐ側まで来ていた。


ラハムツヴィの指示に従って降りると、水路の奥には十数人を超えるエルフ達が野次馬のように集まっているのが見えた。


その表情から、他の街で見てきたような驚きは無い。集団飛翔魔術を物珍しそうに眺めているといった様子だ。


そして、先頭に立っていたラハムツヴィとエルゼスカー、イツハルリアを見て、その後に続くサニーの姿にどよめきが起きた。


「ハイエルフ…」


「まさか、外の世界にあると言うもう一つのエルフの国から?」


「いや、だがそれは噂で…」


エルフ達は小声でそんなやり取りをしていたが、無言でサニーが橋を渡り出すと、慌てた様子で中央に道を作るような形で跪いた。


その光景にサニーは満足したように頷き、こちらを振り返った。


エルフの国を背景に、周囲には跪くエルフ達。そして、橋の上に立ち、こちらを無表情に見上げるサニー。


思わず、サニーが本当にエルフの王族なのかと思ってしまった。


遺憾である。


「ん。行こう?」


俺が立ち止まっていると、サニーがそう言って小首を傾げた。


「はいはい、行きましょうか。サニーはお姫様だからな」


俺が苦笑しながらそう言うと、サニーは頬を染めて微笑んだ。


「むふ、むふふ。お姫様…良い響き」


前言撤回。サニーはサニーであった。


「さあ、お城はあちらです。早速向かいましょう」


ラハムツヴィはそう言うと跪くエルフ達の中を通り過ぎて城へと向かって歩き出した。


城まで一直線に上がる広い道が真ん中を通っており、一つ段を登る直前が階段になっているようだった。


棚田のような街の造りと形容したが、一つ一つの階層が随分と広い。下からだと分かりづらかったが、この分だと城の大きさもかなり大きいのかもしれない。


俺はそんなことを思いながら城までの道を登っていた。


街に住んでいるエルフがラハムツヴィ達を見て時折声を掛けてくるが、皆一様にサニーに気づくと慌ててその場で跪いていた。


余程ハイエルフが怖いのか。それとも上位の存在に対しての敬意からなのか。


「やっと着いたね」


ラグレイトの台詞を耳にして顔をあげると、そこには白く美しい城がその威容を誇るように建っていた。


丸みのあるデザインで、窓が多い。高さは30メートルはありそうである。


そして、3メートルはありそうな大きな門の前には、2人の刺繍入りのローブを着た門番が立っていた。手には魔術用のリングらしき指輪を付けていた。


門番が魔術士なのか。


俺は興味深く門番らしき2人のエルフを見る。正直、美男美女ばかりで髪型次第では男か女か分からない者がいる。


この2人の門番もそうだった。


「待たれよ」


門番の1人がそう言ってこちらを見た。声の感じから女であると判明した。やたら凛々しい女エルフだ。ヅカジェンヌと呼ぼう。


「ラハムツヴィではないか。如何した?」


ヅカジェンヌがそう聞くとラハムツヴィは良くぞ聞いてくれたとばかりに頷いた。


「外の世界から来られたハイエルフのサニー様をお連れしました。王との謁見をお願いします」


ラハムツヴィがそう言うと、ヅカジェンヌは疑わしそうに視線をこちらへ移した。


「外の世界にハイエルフなん…っ!」


呆れたような声でラハムツヴィの台詞をなぞっていたヅカジェンヌは、サニーの姿を確認した瞬間目を見開いて固まった。


もう1人の門番魔術士もサニーの姿に絶句している。


「…そんな、本当に?」


「まさか、噂の外の世界のエルフの国から…?」


ヅカジェンヌともう1人の門番がそんなやり取りをし、俺はもう1人も女であったことを確認した。


声の特徴から、もう1人のことをクーデレラと呼ぶことにする。


ヅカジェンヌとクーデレラはサニーが不機嫌そうに待っていることに気がつくと、慌てて頭を下げた。


「よ、ようこそいらっしゃいました、サニー様。急ぎで謁見について確認をして参ります。その間は城内にてお待ちください」


「こ、こちらでございます」


2人はそう言うと直ぐに門を開けてしまった。


ハイエルフの威光にしても信頼し過ぎではないだろうか。


そんな余計なことを考えながら、俺達はエルフの城へ足を踏み入れた。



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