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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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エルフの国が分かりづらい

夜中のテンションでまたやってしまいました…

読み辛い場合はきちんと書き直します…






山への激突を回避した俺達は、とりあえず地上からエルフの国を探すことにした。


まあ、単純に上空からでは良く分からなかったからだが。


エルフの国の情報はレンブラント王国とメーアスから頂いたものだが、何故か位置がズレている。


ガラン皇国の最北端は巨大な山脈があり、頂上が一番高い山の麓にあるというレンブラント王国からの情報。


こちらは直接領地が接していない国の為、情報も怪しい。


そして、頂上が三番目に高い山の麓にある川を辿って上流へ上がり、二つに裂けた巨大な岩の間を通っていくと、大概エルフに襲われるという情報をくれたメーアス。


いっつもエルフの村や獣人の村を襲って奴隷にしていた国は情報の細かさが違う。


まあ、国ぐるみで拉致販売をしていたわけじゃなく、悪い行商人がやっていたらしいが…フィンクルの兄もやってたなら殆ど国ぐるみと言って良いだろう。


何はともあれ、エルフの国に近づくと襲われると考えるならばメーアスの情報を信用した方が間違いなさそうだ。


そう思って延々と川を辿っているのだが、全然辿り着ける気がしない。


川の上をふよふよと飛びながら上流へ向かっている為疲れはしないが、もう随分と時間が経った。


川が曲がりくねっている為、速度を上げることも出来ない。


「やはりエルフは性格が悪い。根絶やしにする」


「やめんか」


ずっと森と川しか見ていない為、心が荒んだサニーが過激なことを口走り始めた。


誰だ、自然は心を豊かにするなんて言った奴は。


「でも、これだけ長いこと掛かるんじゃ、飛翔魔術使えない人は1週間以上かかるんじゃないの? やっぱ情報が間違いだったんだよ」


と、ラグレイトまで自然散策に飽きてしまった。そして、ラグレイトの言葉を受けてサニーの目が暗く光る。


「よし、メーアスを焼き尽くす」


「やめんか」


過激派のサニーに文句を言い、俺は肩を竦めて辺りを見回した。


鬱蒼とした深い森のお陰で薄暗い雰囲気である。確かにこれでは気が滅入るのも分かる気がする。


と、川の先を眺めていると、巨大な岩を発見した。


やけにデカい岩だ。高さ10メートルほどはあるだろうか。


そして、その岩の中央部から左右に別れており、まるで誰かが配置したかのように川を挟む格好で岩が割れている。


「これだね」


岩を見上げて、ラグレイトが弾むような声でそう言った。ソアラは岩の下に立ち、辺りを見回しながら口を開く。


「この付近でエルフに襲われるとのことです。気をつけませんと」


ソアラはそう言うと、結界魔術で俺達一人一人に結界を張った。


体全体を守る形の防御力向上と魔術耐性向上、属性ダメージ軽減の三つの効果がある結界である。


元々、個人個人が魔術刻印の施された装備のお陰で様々なステータスが高くなっている為、結界まで加えるとボスと殴り合えるだけの状態になっている。


俺は自分達の状態を確認すると、岩に手を触れて皆を振り返った。


「さて、岩の向こう側に行ってみようか。先頭は…」


「僕が行くよ」


「じゃ、ラグレイトで」


素手でも闘える最速の近接戦闘職であるモンクのラグレイトが先頭を買って出た為、俺は頷いて了承した。


「2人は俺の後ろに並べよ?」


俺がそう言ってサニーとソアラを見ると、2人は頷いて俺の背後にきた。


「さあ、行ってみよう!」


縦列に並んだのを確認したラグレイトが片手を上げて岩の上に飛び乗った。


俺達も同じように岩の上に飛び乗り、辺りを窺う。


岩の上に立つと空を遮る木々が減り、多少は周囲が明るく感じるようになった。


だが、10メートルはあるだろう岩よりも周囲の木々はかなり背が高い。40メートルか50メートルくらいあるのだろうか。


杉ならばそれくらいの高さはあるだろうが、枝ぶりは桜のような感じだ。違和感が半端ない。


そんなことを考えながら木々を眺めていると、ふと、木々の太い枝の上に人の手が見えた。


はい、出た。こんなところに幽霊ですか。そうですか。やけに細い白い手だとコノヤロー。雰囲気抜群じゃねぇか、バカヤローコノヤロー。


「ん? どうしたの、我が主…あ、誰かいる」


と、俺が木々を見上げて固まっていると、ラグレイトが俺の視線の先を見て余計な発言をした。


ラグレイト、お前バカ。


俺が何とか見なかったことにして視線を外そうとしたのに、何で一緒にゴーストウォッチングしてんだよ。


あー、もうダメだ。幽霊に目をつけられちゃったよ。絶対に、こいつら見えてんじゃない? って思ってるよ。見えてませんよー! ラグレイトが見えてるらしいけど、俺は見えてませんからねー!


俺が心の中で幽霊に念を送っていると、サニーまで顔を上げた。


「…降りてこない気なら、こちらからいく?」


「どうしよっか? 我が主は相手の様子を見てるつもりみたいだけど」


「エルフの可能性を考慮して変に刺激を与えないようにしてらっしゃるのでしょう。流石は我が君、思慮深いですね」


え? 死霊? エルフの死霊?


あ、そうだ。ゴースト系に効果のある魔術があるじゃないか。


聖属性だから、ちょうどサニーとソアラが2人とも使える。


「サニー、ソアラ」


「ん」


「はい、何でしょう?」


俺が名を呼ぶと2人は返事をしてこちらに顔を向ける気配を感じた。


「ホーリーレイだ」


「え、あ、あの…」


「ホーリーレイを撃て」


「よ、良いのですか? 恐らく、跡形もなく…」


俺が指示を出しているというのに、ソアラは躊躇いを見せて俺に確認をとってきた。


跡形も無く成仏させろよ。また迷って出てきたらどうするんだ。


「発射準備完了」


と、そこへサニーの頼りになる声が聞こえた。


やはりサニーは頼りになる。


俺がそう思って魔術の発動を指示しようとしたその時、木々の上から呪われし声が響いてきた。



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