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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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ガラン皇国軍の撤退とその後

皇国皇のサブエピソードは希望があったら書きます!

ただ、豚が悶えるだけなので誰も嬉しく無い話に…







誰の目にも明らかな総大将の戦死により、ガラン皇国軍は瓦解した。


指揮官らしき赤い鎧の兵士達も、我先にとこちらに背を向けて逃げていく。


傭兵団も大半が逃げ出したが、一部はこちらに鞍替えしようとしているのか、俺に挨拶に来る者まで現れた。


そして奴隷兵達は、徒歩で逃げようと走る者、呆然とした顔でその場に佇む者など、色々である。


とりあえず、その場に残った者は皆治療し、奴隷の者も隷属魔術を解除した。


結局、生き残った奴隷はこの戦場だけで二万人にも及び、その内の半数近くは我が国に住むことを約束した。


残りの約一万人は故郷に帰るとのことである。


意外だったのは、獣人は殆どの者が我が国に来ることになったことだ。


エルフは百人以上いたが、九十人近くは故郷に帰るとのこと。予想通りです。


広大な戦場を範囲回復魔術を唱えながら周り、全員に残る者と我が国に来る者とで別れてもらったのだが、それだけで相当の時間がかかった。


「ご主人様、どうされますか?」


我が国に来るという一万人を前にして、エレノアがそう俺に聞いてきた。


「…とりあえず、今日は何とか全員を城下町まで連れて行こう。もう一方の戦場でも人が集まるだろうから、城下町の空いた家だけじゃ足りないか?」


俺がそう尋ねると、カルタスが腕を組んで唸った。


「そうですな。一部屋に四人寝るとかするならば問題はありませんぞ」


カルタスがそう言うと、ローザも頷いた。


ヴァル・ヴァルハラ城の城主代行の二人がそう言うならば大丈夫だろう。


俺はそう納得すると、元奴隷達を見回しながら口を開いた。


「よし、君達はこれから我がエインヘリアル国の国民となる。仕事はいくらでもあるから無職になることは無いぞ。数日待ってくれたら家まで贈呈しよう! 家族と離れ離れになっている者は暫くしたら迎えに行くのを手伝ってやるからな! それでは、これから宜しく頼むぞ!」


俺がそう皆に告げると、絶叫のような歓声が大地を揺らした。


そして、待遇を聞いたせいか、我が国の国民になりたい者が更に三千人増えた。






戦争が終わって数日。


コランウッド近郊での戦場で命を拾った元奴隷も含めると、新たに移住してきた国民は三万を超えた。


我が国の衛兵も総数は一万人にもなった。


我が国の衛兵は衛兵といっても、警察であり警備兵であり軍隊でもある為、まだまだ人数は足りない。


ちなみに、全員の家族も住めるように新たに建物を増やし、キーラの力も借りて学校も正式に開校した。


冒険者ギルドはまだまだレベルが低く、ブリュンヒルト達白銀の風がようやく深淵の森で一泊することが出来るようになった程度である。


ただ、モンスターが強い代わりに希少価値の高い素材が多く、ブリュンヒルト達だけでなく、Bランク冒険者のウォルフも大人数で深淵の森に挑み、かなり儲けているようである。


その素材のお陰で商人ギルドは輸出入にてトップクラスの売り上げを記録。商人ギルド幹部のヴィアンとクビドも出世が早まったようだ。


フィンクルの兄弟は商人ギルドの協力もあり捕縛され、メーアスに強制送還された。


錬金術士ギルドや一般の鍛治士達は希少な素材の加工が難航していたが、俺のギルドメンバーが一部情報を開示したお陰で驚く程の利益をあげた。


他の街に関しては出来るだけ各領主達にやらせたい為、学校と孤児院以外は少しずつ改革していっている。


恐ろしいことに、手が空いた生産職と魔術士に頼んでおいたら、やたらと綺麗な街道が城下町からランブラスまで開通した。


国造りは驚くほどに順調そのものである。


後は国際同盟と空輸事業なわけだが、こちらは少し難しい話になっている。


ガラン皇国からの返答が無いのだ。


戦後の取り決めやら何やらもリアーナが書類を作って打診したようだが、全く音沙汰もない。


まあ、理由は分かっているからこちらからも急かすようなことはしていないが。


理由は、今回の戦争で生き残った兵士や、金を払って貰えなかった傭兵団がガラン皇国の皇都を襲撃していることが原因である。


そして、今回の戦争の為に強制的に物資や兵士などを徴収された各地方でも反乱の兆しが出ている。


何故こんなにもガラン皇国軍の歴史的敗北が各地に伝わっているのか。


メーアスの行商人を使って情報をばら撒いたからである。


勿論、飛翔魔術を使える俺のギルドメンバー達が動いたので、3日で大まかな場所で情報はばら撒かれたわけだ。


その為、ガラン皇国の皇国皇ハカンの権威は失墜。各地方がクーデターの為の準備に動いている。


元々、ガラン皇国は実力主義で代官にもなれる国の為、実力が無いと判断された皇国皇に未来は無いだろう。


恐らく、ガラン皇国は各地方で別々の国になりそうだが、そこは俺も放置する予定だ。


別々の国になったところで各地に空輸の支社を置かせて貰い、関税を恒久的にいただくとしよう。


ということで、国際同盟と空輸において、ガラン皇国の問題は先送りである。


目下の解決すべき事案は、同盟にも空輸にも反対を表明しているエルフの国と獣人の国、そしてドワーフの国だ。


インメンスタット帝国はまだ交渉中なので様子見である。


なので、エルフ、獣人、ドワーフの国に使者を送り、出来たら国際同盟と空輸事業に賛同を表明してもらいたい。


大事なことなので、国王である俺自ら向かうことも厭わない所存だ。


「エルフの国か…」


俺は玉座の間で玉座に座り、そう呟いた。


すると、エレノアが薄く笑みを浮かべて俺を見た。


「ご主人様、顔が緩んでおられますよ?」



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