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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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各街に学校と学生寮を作る?

中々の難題に直面してしまった俺は思わずその場で頭を抱えた。


脳筋ばっかりの陣営に俺はガッカリである。


ギルドメンバーは人数が足りないから教育係には極力したくない。


ならば、今までに会った人の中から…。


「…ミエラだ」


俺は素晴らしい人材の名を閃き、口にした。人に物を教えられる知識があるかは未知数だが、寮の管理人には最適である。


だが、ダンとシェリーもセットにしてやらないと可哀想か。


俺は頭を悩ませながら自分と面識のある人物を思い浮かべていた。


すると、視界の端でリアーナが恐る恐る挙手するのが見えた。


「どうした?」


俺が尋ねると、リアーナは眉根を寄せて困ったように口を開く。


「あの、何をお悩みなのでしょうか」


「ああ。学校を各街に建てようと思ったが、教師を出来る人間が思い浮かばなくてな」


リアーナの質問に俺がそう答えると、リアーナは満面の笑みを浮かべて頷いた。


「まあ、それは良いですね! ならば、教師としてもう働いていないメイドを雇われてはいかがですか?」


「メイドを?」


リアーナの発言に俺は首を傾げてリアーナを見返した。


リアーナは照れたように微笑みながら、口を開く。


「メイドは最低限の教養、マナー、礼儀作法を学ばなくてはなりません。そういったメイドが家庭教師をすることもありますので、学校の教師にも最適ではないでしょうか」


「ほう」


リアーナの話を聞き、俺は納得して頷いた。


確かに、もう働けない年齢の元メイドや理由があって働けなくなったメイドを雇えれば問題無い。


「だが、そんな丁度良い人材がいるか?」


俺が尋ねると、リアーナは大きく頷いた。


「任せてください! 我が家は国で1番と言われるほどメイドがおります! 引退したメイドも多く知っておりますので安心してください!」


リアーナは鼻息荒くそう言って胸の前で拳を握り込んだ。


そりゃ、貴女のお家はメイドが一杯でしょうよ。


お城ですもの。


俺は心の中でリアーナに突っ込み、頷いた。


「しかし、レンブラント王国から雇う形か…一応賃金やらを含めた労働契約をレンブラント王国の法に合わせて結ぼうか」


俺がそう言うと、リアーナは胸を張って俺を見た。


「大丈夫です!ここはこの前までレンブラント王国の一部だった領土ですから。この街にも私が知っている元メイドの方がいらっしゃる筈です」


「ああ、成る程な。じゃあ、誰か心当たりはあるんだな?」


リアーナの自信に溢れた台詞に俺がそう確認すると、リアーナは首を左右に振った。


「こちらに住んでいるかは把握しておりません」


「おい」


速攻で暗礁に乗り上げたリアーナの提案に俺が半眼になって文句を言うと、リアーナはそっとキーラを指差した。


「ですが、その辺りはキーラにお任せください。キーラは何でも出来るので元メイドを探し当てるくらいならすぐです」


リアーナは絶大な信頼と共にキーラに話を振った。キーラは恭しく頭を下げ、こちらを見る。


「お任せください。王家に仕えたことのある引退したメイドならば、何人かこの街にもおられましょう。それでは、早速探してまいります。姫様も私と一緒に…」


キーラがそう言ってリアーナを見て、次に俺を見た。


「…陛下、姫様をよろしくお願いします」


キーラは口元を僅かに緩めながらそう言い残して、足早に街中に消えていった。


おい、リアーナの護衛を放棄してないか。


なんとなく、キーラもリアーナと俺をくっ付けようと動いている気がする。


「あ、キーラがもう行ってしまいました。一人での行動は少し心配です…」


リアーナはそう呟いてキーラが消えた方向を見ている。


どうやら、リアーナもキーラと一緒に行動する気だったようだ。


姫様と従者二人きりは不安だから、その場合はこちらから一人か二人は付けるだろうが。


「セディア。護衛してやれ」


「はい」


俺が指示を出すと、セディアはその場で音も無く姿を消した。


「…消えた」


リアーナが目を丸くしてセディアの立っていた場所辺りを見回している。


俺はリアーナを尻目にミラに振り返った。


「街の郊外か何処かに校舎を建てるとして、何人くらい人手がいる?」


俺がそう聞くと、ミラは頭を捻りながら唸った。


「さっきの子供たちを全員入れるなら、それなりの大きさですよね。なら5人から10人いれば問題無いです。どんな建物ですか?」


「校舎といっても分からないだろうな。形は四角でも台形でも良い。ただ、30から40人くらいが勉強出来る程度の机と椅子が入る部屋が人数分と、食堂、4人一部屋くらいの寝室も用意するか。後は20人ずつくらい入れる浴場があれば大丈夫だろうな。一応、職員用の個室もだ」


俺がそう言うと、ミラは頷いて口を開いた。


「とりあえず、子供が千人規模で考えて建てます。一つ建てれれば次からは早いでしょうから、足りない分をまた建てる形で良いですか?」


「ああ。問題無いぞ。サニーと一緒に手の空いた生産職を集めてきてくれ。設計もあるからディグニティもな」


俺がそう言うと、サニーは頷きミラと一言二言会話をして飛翔魔術を唱えた。


サニーとミラが空へと浮かび上がっていくのを呆然と眺め、リアーナは俺を見た。


「…お、驚きました。こんなに素早く対処しそれを実行に移せる方はいないでしょう。それに、予めこうなることを予想していたかのような対応ですね」


リアーナは目を丸くしたまま俺を見てそう言った。


だが、俺はそれに苦笑しながら首を左右に振った。


「いや? だから、今からビリアーズ大臣に話を通しにいくぞ」


俺がそう言うと、リアーナは声を出して笑った。




勿論、ビリアーズは俺の学校建設計画には賛成した。


まあ、街の中に孤児が溢れている状況も領主からすれば悩みどころだっただろうから、俺の話は渡りに船だったわけだ。


そして、驚くべきことにキーラは本当に優秀だった。


「この街には以前王家に仕えたメイドが25名。怪我をして引退したメイドが5名。後は家族の都合で故郷であるこの街に帰ったメイドが3名いますが、そちらの方はもう別の方に仕えておいでです。なお、メイドの繋がりといいますか、他の貴族の方に仕えていて、事情があって辞めざるを得なくなったメイドなども紹介していただきました。全員に話を聞くところまでは出来ていませんが、およそ100名ほどの元メイドの方が働けると思われます」


キーラは平坦な口調でそう言うと、頭を下げてリアーナの斜め後ろに下がった。


午前中には来ていて昼間の間の調査である。


僅か3時間から4時間の中で、キーラは一体どうやってそこまで情報を集めてきたのか。


俺が護衛につけたセディアに目を向けると、セディアは乾いた笑い声を上げていた。


後で報告を聞くとしよう。


「キーラはやっぱり優秀ですね」


視界の端では、リアーナがキーラに笑顔でそう言い、キーラは無表情に見えて口元を少し緩めている姿が見えた。


まあ、こちらは助かるから良いか。


俺はそう割り切って改めてセレンニアに駆けつけた生産職の面々を見た。勿論、建築士のディグニティも一緒に来ている。


先程から校舎の建築について建設予定地の広さや、その土地に合わせた設計などを話し合っているのだが、意外と難航している。


まず、今回は地下には倉庫くらいしか用意しない予定である。


その上で考えると、あまり土地の広さに対して受け入れる子供の数が多すぎるかもしれないということだ。


そのまま設計すると、校舎が城壁よりも高くなる。


城壁に隣接する土地の為、城壁に半ば埋まる形も考えたが、防衛の為の城壁に学校が一体化したら危険ではないか。


と、いうことで皆が頭を捻っている。


「もう、民家とかの上に橋を渡して空中に…」


「日照権がな…」


「殿、ニッショウケンとは何ですか? 仁将剣…中々の名剣とは推測できるのですが…」


「黙っとけ、サイノス」


「なにゆえっ! ? 酷いぞ、カムリ」


「やはり、浴場や食堂、職員の個室くらいは地下に…」


「風呂を一つしか作らないなら最上階に展望風呂。これは譲れん」


「殿、何故そこまで風呂に…」


「サイノス、夕食抜き」


「なにゆえっ!?」


会議は紛糾したが、結論は中々出なかった。


その時、リアーナが口を開いた。


「中々広い街ですが、人口の多さと歴史の長さの為に土地が足りなくなっていますね…でも、城壁を崩して建て直すのは時間がかかり過ぎますし…」


と、リアーナは難しい顔で唸った。


俺はそれを聞き、己のバカさに肩を落とした。


「そうだよ。城壁を崩して建て直す…そんな簡単な方法があったな」


俺がそう言うと、リアーナとキーラは首を傾げてこちらを見た。



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