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第八話:2ON2

 乱入してきた2体目の変身ライダーは、チャラくてウザいはた迷惑なヤツだった。


 場の空気を乱す赤いライダー。


 しかし、黒いライダーは、オーブが感知に反応しなくなる封印処理の完了を待っていたようだ。


 再び高まる緊張感。


 2対2の乱戦が、始まるか……?




『O-1 、認識阻害準備』


『了解。60秒後、ステルスフィールドを展開します』


『B-1 了解。60秒か……長いな……』


 オペレーターと撤退を相談する。

 今度は声を潜める必要もない。

 あとは、ライダー二人をこの場に釘付けにしつつ、時間を稼いで撤退するだけだ。


『逃がさん』


『通さん』


 獅子と黒騎士が再び激突。


『そぉい!』


 その後ろから、赤騎士が龍の頭部を模したナックルを右手に装着し殴りかかる。


『やらせない!』


 が、俺が割り込み斬り払う。


『ヒュウ♪ やるねぇ戦闘員! ……んげっ!?』


 龍の口が開き噛みつきで刀を止められるが、軽口には応じず蹴り飛ばす。


 ソル・リオンと背中合わせになりながら、全方位警戒しつつ声を交わす。


『いけますかね?』


『負けると思うか?』


『……いや、全然!』


『……だよなぁ!』


 図らずも、二人同時に、獰猛(どうもう)(ワラ)った。

 そして、同時に目の前の敵に向けて飛びかかった。


 フェイントを交えた獅子の連撃を、惑わされることなく最小限の動きで(さば)く黒騎士。


 対して、赤騎士は、


『うぉっ!? わっ? ちょ、ちょっと、タンマ……!?』


 身体能力で劣る俺の連撃を、後退しながら雑に捌き、何度もダメージを受けながらも、危険な斬撃はなんとか防御していた。


 俺は、所詮は戦闘員に毛が生えた程度。

 身体能力で大きく劣っているはずなので、本来なら変身ライダー相手に押し込むことなどできるわけがない。


 しかし、このチャラい赤騎士サンルージュは、身体能力と生存能力は高めのようだが、技術があまりにもお粗末。


 首や手足の関節といった急所への斬撃はしっかり防ぐものの、前腕や(すね)などの装甲がしっかりとある場所への対応はおざなりで、


『……へわぁっ!?』


 脛を狙ったように見せかけた低い姿勢での薙ぎ払いを、腕の付け根へ狙いを変えて立ち上がるように突き出せば、パッと見は柔らかそうなラバースーツ状の全身スーツに、しかし突き刺さることなく硬い手応えが返ってくる。


 赤騎士がのけぞって姿勢が崩れたところに、


『しまった避けろ!』


 間一髪、死角に位置する黒騎士から放たれた夜闇色の矢を、ギリギリ避けることができた。


『ちっ、硬てぇな……』


 攻撃力が足りない。

 変身ライダーの一撃でこちらはノックアウトだが、あちらは何度斬り付けてもピンピンしている。


 変身ライダーの存在自体がだいぶ理不尽だが、行動理念はもっと理不尽だ。


 同じ《賢人会》に改造された身でありながら、どうしてこう反目しているのか。



『……いってぇ……。っしゃ、反撃開始だぜ!』



『Ready』


 どこからともなく聞こえてくる、機械音声。

 それは、目の前の赤騎士が更なる武器を起動した音だった。


 右手には龍の頭部を模したナックル。

 左手には龍の角を模した十手のようなナイフ。


 戦い方はまるでダメでも、武器が増えたことは単純に脅威だった。


『なんとかに刃物ってヤツだな』


『なんだとぅっ!? そりゃ~!』


 バカみたいな声を出して両手を突き出して飛んでくる、その速度と勢いは驚異的だが、


『ふっ!』


 回避しつつ、カウンターを合わせて顔から脚まで斬り付け、十分なダメージに……。と、思ったが、


『しまった、回避を!!』


 気づいた時はすでに遅く、ソル・リオンの背中に突撃を許してしまった。


『ぐぉっ?』


 斬ったことで体勢は崩したものの、勢いまでは殺すことができず、背中から奇襲を受けた獅子は大きくバランスを崩してしまった。


『はあっ!! ……来い! ナイトウイング!!』


 体勢を崩した獅子を斬り付け、蹴り飛ばし、愛機のバイクを召喚する黒騎士。


 獅子が吹き飛び転がるわずかな隙、その数秒で愛機に乗り込みエンジン全開、ベルトとバイクの、2基の《オーブリアクター》から生み出される超高エネルギーによって繰り出される必殺の突撃体勢を整える時間を与えてしまった。




『フルアクセル! ダークランページ!!』


『Dead End Burst』




 バイクを中心に、黒い半透明のバリアフィールドが展開。


 砲弾のように加速し、闇色の竜巻と化した黒騎士とバイク。



 戦闘員である俺には、もう止める術は無かった。


 ……せめて、俺が怪人であれば、わずかな可能性があったかもしれないが……。




『南無三っ!!』




 残った全力で、刀を黒騎士に投擲しつつ立ち上がりかけたソル・リオンを突き飛ばす。




 獅子の怪人がいた場所に、取り残される俺。




 投擲した刀は黒いバリアにあっさりと弾かれ、




 眼前には、確実な死をもたらす黒い竜巻と化した黒騎士と愛機のバイク。




 防御も回避も、すでに手遅れだった。





 ・・必殺技:《変身ライダー》が、ベルトに搭載された《オーブリアクター》からエネルギーを供給されて放つ、文字通り必殺の技。


   : Dead End Arms : 起動した武器にベルトからのエネルギーをチャージして放つ必殺技。


   : Dead End Burst : バイクとベルトの、2基のエネルギーを重ねた切り札。


   : Dead End Charge : 腕部もしくは脚部のエネルギー放出口から放つ格闘技。


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