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第78話 エルハンスト武術大会決勝!開始前の準備は大切だ! (カスミ視点)


「休憩時間30分は結構長いよね」

 控え室に戻った私は藍音ちゃんに話しかける。


「そのことなんだけど、この時間を使って決勝戦の相手の対策をしない?」


「いいけど、対策ってどんな?」

 私は疑問に思って尋ねる。


「それなんだけど、この大会で私たちが使っているESPは風魔法を模しているわよね」

「ええ、そうね」

「対して、彼らは雷魔法を使用しているわ」

「確かに……。

 それで?」

 私は藍音ちゃんの言葉に続きを促す。


「風と雷なら雷の方が有利だと思わない」

「それはそうだけど、何か案があるの?

 それに他の属性を使われる可能性もあるわよ」

「他の属性についてはたぶん無いわね。

 私たちもそうだけど、この世界では1人一属性が基本だから、そこからはずれて目立つのは避けるでしょうね」

「確かにそうね」

 私の疑問に端的に答えた藍音ちゃんは解決策を提示する。


「そこで雷対策なんだけど、基本はアースとシールドだと思うのよ」

「はい?

 ごめん藍音ちゃん。文系の私にもわかるように言って。

 アースって言うのは殺虫剤?」

 私は意味がわからず思わず聞き返す。


「ごめんごめん。

 アースは電気を地中に逃がすことでシールドは電気をブロックする方法よ」

「まだ、話が見えないんだけど……」

 藍音ちゃんは時々理解不能の専門用語を使うことがある。まあ、私が知らなさすぎるだけも知れないが……。


「具体的には避雷針で雷撃を地面に逃がして、全身鎖帷子で電気が体表に流れるようにするのよ。

 雷のとき車の中なら感電しないって聞いたことない?」

 藍音ちゃんの知ってって当然というような言葉の圧力に、思わず目が泳ぎそうになる。


「都市伝説で聞いたような気がする……」

 何とかひねり出した愛嬌のある台詞に対して、藍音ちゃんは容赦なく説明をかぶせてきた。


「いや、金属籠の中にいれば電気は籠を流れても中の人には流れないのよ。

 もちろん鎖帷子は体に密着しているから完全に電気を無効化出来るかわからないけど、かなり軽減出来ると思うわ」

「わかったような、わからないような……」

「取りあえずやってみましょう。

 ベヒモス沼の拠点に材料がいくつかあったわよね。

 それに無ければ日本で買ってくるわよ」

「間に合うかな?」

「やれるだけやりましょう」

 そう言うと、藍音ちゃんは早速エリアテレポートを発動させ、控え室からベヒモス沼へ飛んだ。






 20分後、控え室に帰ってきた私たちはインナースーツの上に頭からつま先まである鎖帷子くさりかたびらを着込み、金属ネットと一見すると青竹のように見える金属棒を持って立っていた。


「準備完了ね」

「久しぶりにサイコキネシスで物作りしたけど、結構上手く出来たよね。

 ところで鎖帷子と避雷針がわりの金属青竹はわかるけど、この金属ネットは何?」

 私は藍音ちゃんが最後に作っていた細い針金を編み上げたような金属ネットについて質問する。


「武闘台に敷き詰めておこうと思うの。

 電気を拡散出来ればラッキーってことで。

 動きは阻害されていない?

 本番はこの上から着ぐるみを着込むのよ」

「ステータスが高いから平気で動けるけど、インナースーツの上に鎖帷子にしたのはなぜなの?」

「シールドと私たちの肌を電気的に絶縁しておいた方がいいと思ったからよ」

「暑くないかな?」

「まあ、そこはパイロキネシスで熱運動を押さえて温度調整しましょう」

「うっ、パイロキネシスはあまり得意じゃないのよね……」

「大丈夫よ。いざとなれば手伝うわ。

 それじゃあ早速着ぐるみを着ましょうか、クマさん」

「はぁ、わかりましたよパンダさん」

 私は藍音ちゃんに励まされ、クマのぬいぐるみを着込む。


 こうして私たちはESPを駆使して作り上げた金属製品に囲まれ、決勝の舞台へと向かった。







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