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第27話 ラディー村近くの洞窟 (主人公視点)


 ラディーの森に入って2時間、時刻は昼を過ぎたあたりだろうか。

 俺たちは山の麓まで森を分け入っていた。

 そして、偶然にも魔物が湧くという洞窟らしきものが視界に入る。


「どうするの?」

 カオリが聞いてくる。


 俺たちが請け負った仕事は、森の中にいる魔物の駆除だ。

 しかし、洞窟からは今もスライムが10匹ほど這い出してきており、これをそのままにしておくと、すぐに魔物は元通り増えすぎるだろう。


「とりあえず少し入って魔物の数を減らしておこうと思うんだが、いいか?」

 俺が提案するとカオリは静かに頷いてくれた。


 洞窟はここから見る限りほとんど光が入っていないようで真っ暗だ。

 俺は適当な倒木に火をつけ、たいまつ代わりに左手に持つ。


 たいまつにしたのには意味がある。

 火魔法や光魔法で照明を確保してもよいのだが、酸素が減っていても魔法は発動を続ける。

 その点たいまつなら、酸素がなくなれば消えるので、酸欠で危険な状況になるリスクが軽減できる。


 俺たちは洞窟から出てきかけていたスライムを始末しながら洞窟内部に踏み込んだ。


「これは暗いな…」

「やっぱり魔法も併用しましょう」


 たいまつでは光が届きにくく、暗闇から遠距離攻撃を食らう危険がある。

 緑色ゴブリンは稀に風魔法を扱う個体がいるのだ。


 カオリは無詠唱で前方に光魔法を発動し、視界を確保する。

 たいまつの炎は消えることなく、酸素の存在をしめしている。


 洞窟の中は息苦しく、魔力が渦巻いているような感覚があった。

 この魔力の渦から魔物が生まれるのであろうか。


 洞窟の天井は高低差はあるが、一番低い所でも立って進めるくらいの高さはあり、横幅もそれなりに広い。

 床は凸凹で、光の加減でわかりにくい穴などもあり、なかなか進みにくい。


 俺たちは、湿った地面に足を取られながらゆっくりと進み、出てくる魔物を片づけていく。


 通路は曲がりくねっており、カオリの探知魔法がなければ接敵に気がつけないような地形も多い。


 入り口から100メートルほど入り、3回ほど大きなカーブを曲がったところでカオリから警告があった。


「ヒロ、挟まれたわ。

 後方に新たな気配が3体、前方に8体。種類は分からないわ。

 後方の3体は私たちが通過してから魔力溜まりから発生した可能性が高いと思うわ」


「分かった。

 前方の8体は俺が対処する。

 後方の3体は任せた。

 早めに片づいたら手伝ってくれ」

「了解したわ」


 俺たちは二手に分かれて敵に当たる。


 前方の8体はゴブリン5体と角ウサギ3体だった。

 ゴブリンの中に少し大きい個体が1体いる。


 俺は素早く大きめのウインドカッターを生成すると、まとめて始末できるよう横一線となる軌道で発動する。

 ゴブリン4体と角ウサギ1体が真っ二つになったが、角ウサギ2体は姿勢を低くしてウインドカッターをかわし、一番後ろにいた大きめのゴブリンは俺の風魔法に自分の風魔法をぶつけてキャンセルしてきた。


 そのまま角ウサギは俺に向かって突撃してくる。

 ゴブリンは新たな風魔法を使うつもりか、その場を動かず杖をこちらに向けている。


 すれ違いざまにウサギのうちの一匹を剣のさびにしたところで、前方から風の刃が迫ってくるのを感じた。

 俺は魔法の軌道を読み取り最小限の動きで躱すと、ゴブリンに向かって一気に加速する。

 ゴブリンは杖を棍棒がわりに殴りかかってきたが、俺はすれ違いざまにゴブリンの胴体を一閃した。


 振り返ると、後方の敵を始末したカオリが、一匹逃がした角ウサギを仕留めていた。


「3体ともスライムだったわ」

 カオリはそういうと、早速ウサギの解体をはじめた。

 俺も倣って、ウサギを皮と肉に変えた。


 ここまでは全く危なげない。


 3匹目の角ウサギを解体し終えたときだった。カオリが再び何かをとらえた。

「ヒロ、奥から何か来る。

 今までの魔物より反応が大きいわ」

「大きさとかわかるか?」

「いえ、生命反応の大きさだけしか分からないわ。

 ちなみに反応の強さは私が別の世界で倒した魔王の半分ほどもあるわね。

 私一人だと危ないかも知れないわ」


 どうやらかなりの大物のようだ。

 俺は静かに抜剣すると、複写するスキルの組み替えを行った。



 名前 霞寺カスミジ 時祐トキヒロ ジェフリー・ミスト

 適性 演者(そのとき意識した職業を完全に演じることができる)

    魔法剣士を演技中(魔力、力に補正)

 Level 1

 体力 12003

 力   8003+10%(適性補正)+10%(スキル補正)

 速度 11002

 魔力 56001+10%(適性補正)+10%(スキル補正)

 魔力適性 無色(全ての色彩が融合した色)

 スキル 言語理解(全ての言語を理解し、こちらの言語を相手に理解させる)

     複写(一度見たり体験したりしたスキルを複写することができる)

     収納(亜空間連続体に任意の物体を収納できる。亜空間連続体は全ての時間軸につながっているため、何年後だろうが入れた直後の状態で取り出せる)

     成長(複写中:経験に応じて全てが成長し、成長に伴いスキルも取得する)

     鑑定(複写中;対象の状態、価値、ステータスを調べる)

     魔法剣(複写中:剣に魔法をまとわせて攻撃できる。)

     力強化(複写中;力をレベルに応じて強化する。)

     魔力強化(複写中:魔力をレベルに応じて強化する。)


 隠蔽と空間転移、偽装をはずして戦闘向けのスキルに付け替える。

 演者の適性で召喚前の魔法剣士を演ずると更に力と魔力が上がった。

 これで俺は魔王を切ったときより力と魔力は20%増しとなった。


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