第17話 召喚魔法再び (カスミ視点)
「なるほど、そんなことがあったのね。
さっき抱きついてきたときのバカ力は、スキル往年の力のせいなのか…」
藍音ちゃんは納得したようにつぶやく。
「それで、藍音ちゃん。
藍音ちゃんのテレポートで何とか生徒を連れて戻れないかしら…」
「さすがに異世界だとどうかしら…
今までの最長到達距離は1000光年先のローミラール星だし…」
「1000光年も異世界も同じようなものじゃないかしら?」
「それに、目的地がイメージできないとテレポートは無理よ。
クレヤボヤンスでも見えないしね…」
「そうか…」
何かいいアイデアはないものかと二人で頭をひねって知恵を絞り出す。
「ねえ、香澄ちゃん、私をその世界に召喚できないかしら」
藍音ちゃんがポソリと言った。
そういえば、あの召喚魔方陣に魔力を注げば召喚魔法が起動するようなことをクルドニウス魔術師長が言っていた。
魔力がたりないと起動しないらしいが、私の魔力なら十分だろう。
けど、選択的に藍音ちゃんを狙って召喚できるだろうか。
私が相談すると、藍音ちゃんはしばらく考えていたがぽつりぽつりと意見を言った。
「もしかして、同じ魔方陣を使えば、同じ場所に影響できるかも知れない。
香澄ちゃんが召喚された教室に私がいれば、やれるかも…」
「なるほど…
ダメで元々ね。やってみましょう」
私と藍音ちゃんはまず藍音ちゃんのエリアテレポートで私たちの召喚された教室へと飛ぶ。
夜の教室は、操作も終わり、人っ子一人いない。
「とりあえず真っ暗ね」
「小さい頃は怖かったけど、職員として働き出せば普通の光景よ」
藍音ちゃんの感想に言葉を返し、作戦を実行に移す。
「それじゃあ、ちょっとここで待っててね」
私は空間転移で魔方陣の部屋へと移動した。
もちろん服は教室に残したままである。
召喚の間も、今は誰もいない。
よかった。全裸でこんな所に現れたんだから、人がいたらどうなっていたか分からない。
私は、クルドニウス魔術師長が立っていたあたりに立ち、静かに集中すると魔方陣の模様へ手をついて、サイコキネシスを発動するような感じで魔力を手に集め、魔方陣へと送ってみる。
魔方陣が白く輝きはじめる。
日本の教室にいる藍音ちゃんを強くイメージする。
すると、魔方陣の向こうに教室と藍音ちゃんが透けて見えてくる。
上手く行きそうだ。
更に魔力を加えると、藍音ちゃんは無事にこちらへと召喚された。




