098 277年後 未来の私から託された魂
人間のルナ月夜が、女神サトス・ルウナになってから、277年が経っていた。
ルウナ
「女性の身体にも慣れてきた。
生理のときは身体が重くて動けないけれど、それを差し引いても女性の身体の方が有利だと思った。
なんといっても性魔力が安定して使えるから、多くのことができるようになったし、楽になった。」
ボクは、鏡で自分の顔を見るたびに、青紫のことを思い出していた。
【天祥】関係の青紫とは同じ容姿をしているからだ。
ボクは女神になってから、世界中のできごとを眺めることができるようになった。
目を覆いたくなるような悲しい出来事や残酷な出来事を見て、ボクの本願は、
「美女以上の女性が生と性を守ることが出来ますように!」にすることにした。
本願というのは、選挙前の公約のようなものだ。大きな違いはなにかと言えば、自由に決められる反面、守ろうとしなかった場合、神力が減ってしまうことだ。 政治家も所持金が減ることになれば、政権公約を実現可能なものにするのだろうか? とか色々と考えている。
ボクは、少しでも多くの人を守りたいとは思ったが、神ができることは、自分の影響を受けている魂を持つ個体を動かしたり、引き合わせることだけだった。 それも、影響度が5/8~8/8の魂を持つ個体にしかボクの声を感じてもらえないから、できることが本当に限られている。 そして、カミナリを落とすことはできても、台風や地震を起こすことは無理だった。
ルウナ
「神秘的なチカラにあこがれるひとは多いけれど、あくまで夢の話で、現実に持ち込めば有利になるはず・・・とまでは考えないんだなあ。 宝くじの当選番号を当てようとしたり、株価の短期的な値動きを当てようとするひとばかりだった。 あとは、テレポーテーションとかテレキネシスとか。 そんな大きな話ではなくて、変えられるレベルのことを試していれば、結果が変わるのに惜しいなあと思った。
ボクの神力で実現可能な神秘的なチカラと言えば、性魔力があるのだけれど、発現条件を満たせるカップルは少なすぎた。」
◇
今日は、未来のボクから時空を超えて届け物があった。
未来の女神サトス・ルウナの手紙
「過去の私へ
この魂は、3回の人生をわたしの【天祥】として頑張りました。
しかし、4回目の人生は第7神ギアムの【天祥】を希望しています。
未来のギアムの神力をチャージ済みです。
過去のギアムの手で、すぐに転生させるように頼んでください。
同封した手紙は未来のギアムから過去のギアムへの手紙です。
開封しないまま、あなたの時代のギアムにお渡しください。
追伸
女神になったばかりで、がっかりすることや無力感を覚えることが多いでしょうけれど、こまったときはイウラを頼ってください。 彼女は今でもわたしの心強い味方です。
またね。
あの融通が利かない小娘
14神 純愛と美しさの女神
サトス・ルウナ」
ルウナ
「うーん、未来の私って、どれくらい未来なんだろう?
そして、ボクと同じ世界の未来かなあ?
それとも、パラレルワールドの未来なんだろうか?
「こまったときはイウラを頼ってください。」
って、書かれているから、イウラと相談しましょう。
直接、1対1でギアムと話すのも気疲れするからね。
ギアムは、100年ほど前に神になった後輩なんだけれど、男性神は苦手なのよね。」
◇
ボク、というか、ワタシ、サトス・ルウナは、イウラに相談するためにイウラの部屋に来ていた。
イウラ
「わかることは、この魂にはたしかにギアムの神力がチャージされている。
そして、手紙の最後に、
「彼女は今でもわたしの心強い味方です。」
と書かれていることから、本物の手紙だと推測できるわ。」
ルウナ
「本物だったら、イウラの手紙を同封して欲しかったよ。」
イウラ
「面倒くさかったんでしょうね。
でも、この手紙は私がチェックしたことが分かるわ。」
ルウナ
「どうして、わかるの?」
イウラ
「あの融通が利かない小娘
14神 純愛と美しさの女神
サトス・ルウナ
と書いてあるところと、その横にあるくぼみね。」
イウラは、イヤリングを外して、裏側を見せた。
イウラ
「このイヤリングについては、ルウナにも教えてなかったわね。
だから、この手紙は未来の貴方しか用意できないわ。」
ルウナ
「イウラがイヤリングをしていたなんて、知らなかったよ。」
イウラ
「耳に付けないイヤリングだからね。 見えなかったでしょ。
あなたと愛情交換しているときでさえね。」
ルウナ
「うん、見えなかったよ。
でも、なんで、こんなに回りくどいことをしたんだろう?」
イウラ
「未来の私が書いた手紙が添えてあったとしたら、真贋鑑定に時間を掛けたわ。
だから、その時間を省きたかったか? または、」
ルウナ
「または?」
イウラ
「わたしが動けない状態になったか?
いずれにせよ、今できることは、ミサキを連れてギアムに会うことね。」
ということで、ボクはイウラといっしょにミサキの部屋を訪問した。
◇
第4神 未来知見の女神ミサキ
「いらっしゃい、イウラ、ルウナ。」
いつもよりも無表情な気がする。
ボクは、イウラに見せたように、ミサキにも未来のボクからの手紙を見せた。
ミサキ
「なるほどね。」
イウラ
「なにか嫌なことでも有ったの?」
ミサキ
「ええ、遠い未来でね。」
ミサキは、ボクをじーっと眺めていた。
イウラ
「ルウナがなにか気に障ることをしたの?」
ミサキ
「いいえ、そうではなくて、そうね、今言えることは・・・
イウラ、ルウナの女神の修行は厳しくしたのよね。」
イウラ
「もちろんよ。
ルウナが困ることが無いように、思いつく限りのことを伝えたわ。」
ミサキ
「そう? なら、いいけれど。」
イウラ
「ミサキ、はっきり言いなさいよ。」
ミサキ
「言ってほしければ、シクペリア様との食事する時間を3回分ゆずってくれる?」
イウラ
「そこまでして聞きたくないわ。」
ミサキ
「じゃあ、ギアムのところに行きましょうか?」
なんだかスッキリしないけれど、これ以上は聞かないことにした。
◇
ボクは、イウラとミサキといっしょにギアムの部屋を訪れた。
ギアム
「さ、サトス? お、俺に何かようか?」
サトス・ルウナ
「ギアムにお願いがあってきたんだ。」
ギアム
「・・・」
ギアム こころの声
『えっ? どういう反応をすればいいんだ?
雅以外の女性と話したことはないから分からん。』
ルウナ
「ひとが話しかけているのに、無視するって失礼よね。」
ギアム
「・・・」
ミサキ
「ギアム、とりあえず部屋に入れてくれますか?」
ギアム
「どうぞ。」
ルウナ
「ミサキには愛想がいいよね。ふん。」
イウラ
「お邪魔するわ。」
ギアム
「どうぞ。」
ミサキ
「ギアム、この手紙を読んでください。」
ギアム
「過去の私へ
差出人は、・・・ サトス宛てみたいだが読んでも良いのですか?」
ミサキ
「ええ、読んでください。
ワタシも読みましたから。」
ギアム
「読みました。」
ミサキ
「じゃあ、もうひとつ。
これは、未来のギアムからのようです。
あなた限定のため、声に出さないで読んでください。」
ギアム
「分かりました。」
ギアムは手紙を読んでいるとき、ルウナの顔をチラチラ見て、顔を赤くしたり、腹を立てたり、使命感を感じた顔をしたりと、百面相が忙しかった。
ルウナ こころの声
『まあ見てて面白いけれど、なにが書いてあるんだろう。』
ギアム
「ミサキ、読み終わりました。
みなさんの前で、この魂を転生させます。
ついて来てください。」
ギアムは、未来の私から託された魂を転生させてくれた。
ルウナ
「ねえ、ギアム。 なにが書いてあったの?」
ギアム
「言えません。」
イウラ
「ミサキ、その手紙を読みたいわ。」
ミサキ
「わたしさえ読んでいませんが?」
イウラ
「シクペリア様との食事の機会を何回か譲れば読ませてくれる?」
ミサキ
「そうねえ、1,000回。 おまけして、100回なら考えるわ。」
イウラ
「わかったわ。 ルウナ、帰りましょう。
ギアム、ありがとう。」
ギアム
「どういたしまして。」
ミサキは、ギアムを抱きしめて、慰めているようだった。
◇
ルウナ
「イウラ? どうして引き下がったの?
交渉の余地が有ったんじゃ?」
イウラ
「ミサキがゆずれる場合は、1~3回分って言うわ。
そうじゃない以上、言えないという意味よ。
そして、ミサキは今、出口が見えない苦しい未来を予見しているわ。
誰よりも厳しい役目を受け持っているからね。」
ルウナ
「たしかに、未来絵星号をくれたときのような余裕を感じなかった。」
イウラ
「解決策が見つかったときは教えてくれるわ。
ミサキはわたしの唯一のライバルだからね。
つまり、ワタシと張り合える女神は彼女だけ。」
ルウナ
「わかったわ。 わたしはわたしで出来ることをするわ。」
つづく
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