094 モンテマニー公爵との会食
それから、1年後・・・
理香は、黄庵から受け継いだ医術を使いこなせるようになっていた。
黄庵は、自分が生涯をかけて身につけた医術を1年で覚えきった理香を複雑な思いでみつめていた。
黄庵
「青は藍より出でて藍より青し。
弟子の方が師匠よりも優れていることは有るものね。
まあ、医学の研究をする時間ができて良かった、と思いましょう。」
理香
「わたしは、黄庵様に比べたら、たいしたことはありません。
お釈迦様の手のひらで粋がる孫悟空のようなものです。
それが証拠に、黄庵様はわたしに嫉妬さえされません。
わたしは、まだまだ未熟ということです。」
青兵衛は、面倒くさいと言いながらも、モンテマニー公爵領と旧ワイダー公爵領と旧カニング公爵領を結ぶ流通を取り仕切る立場になっていた。 本人は否定しているが、モンテマニー公爵から出資と後ろ盾を得て、3つの領内の経済を回すことができるのは、青兵衛の商才があればこそだった。
青兵衛
「儲け過ぎずに、相手にも儲けさせることを考えるようにすれば、いやいやでも商売関係は続きます。」
ルナ
「そういう配慮ができるひとは少ないんだよ。」
青兵衛
「下手に恨みを買って、生霊を飛ばされて、王真加勢陀の数珠を買うよりは得ですから。」
☆ 026 青紫の商才(6)金愛同身 参照
ルナ
「その節はありがとうございました。」
青兵衛
「いえいえ、どういたしまして。」
◇
ボクたちは理香を連れて5人で、モンテマニー公爵の晩ごはんに御呼ばれしていた。
モンテマニー公爵は、脂っこいものを食べていた。
次から次へと美味しそうに食べていた。
その様子を見て、理香は険しい顔をしていた。
そして、黄庵の方を向いたが、黄庵は関係ないと言う顔をしていた。
理香 こころの声
『どうして、黄庵様は注意しないの?
若いうちならまだしも、あのような高齢で肥満太りしている身体で、あのような食べ方をしたら駄目に決まっている。』
理香は、黄庵のひざをつついて、理香に顔を向けさせた。
そして、アイコンタクトを送ったが、ほうっておきなさい!という顔をされた。
理香 こころの声
『どうしてですか? あれを放っておくなんて、医者としてできないでしょう。』
そうこうしている間に、モンテマニー公爵は、脂っこい食べ物をどんどん食べていた。
理香 こころの声
『もう我慢できない。』
理香
「公爵様、黄庵様が注意しないからといって、脂っこいものばかり食べたら健康によくありません。 いますぐ止めてください。」
モンテマニー公爵
「なにをする、返せ!」
理香
「いいえ、返しません。 少し待っていてください。
メクバール執事、台所を貸してください。」
メクバール執事
「ええ、構いませんよ。 ご案内します。」
理香
「公爵様、なにも食べずに待っていてくださいね。」
モンテマニー公爵
「ぐぬぬ。」
しばらくすると、メクバール執事と理香が帰ってきた。
理香
「公爵様、わたしが健康食を作りましたから、食べてください。」
モンテマニー公爵
「そうは言うが、わしの好物を取り上げないでくれ。」
理香
「公爵様、食べてください。」
モンテマニー公爵
「仕方ない。 むう、これは初めて食べる味だな。」
理香
「白菜の浅漬け、塩もみです。
脂っこさを消してくれます。
さあ、もっと食べてください。」
モンテマニー公爵
「いや、わしは鶏のから揚げを食べたいのだが。」
理香
「もっと食べてください。」
モンテマニー公爵は、しぶしぶ食べていた。
恨めしそうな顔をしているが、どことなく嬉しそうでもあった。
メクバール執事
「流石の公爵様も、ルナ様や理香様のような孫娘ぐらいの女性には、逆らえないようですね。」
モンテマニー公爵
「仕方なかろう、孫娘と仲良くするのがワシの見果てぬ夢だからな。」
理香は、ご機嫌そうだった。
理香
「はあい、よく食べましたね。
これからは、わたしが健康食メニューを考えてあげますからね。」
モンテマニー公爵
「黄庵殿、理香殿は、黄庵殿と診療所の仕事が忙しいだろう。
だから、ワシの食事メニューを考える時間は取れないよな。」
黄庵
「理香は、公爵様の健康が心配の様子です。
公爵様、理香が安心できるように、しばらくそばに置いてやってくれませんか?」
モンテマニー公爵
「いや、つつしんで遠慮するとしよう。」
理香
「公爵様はワタシのことがお嫌いですか?」
理香の目からは涙が流れていた。
モンテマニー公爵
「そ、そんなことはない。 わかった、しばらく屋敷に滞在する部屋を設けよう。
それでよいか?」
理香はニンマリと笑った。
理香
「ありがとうございます。公爵様。
ご安心ください、後悔はさせませんわ。」
モンテマニー公爵 こころの声
『いや、もう後悔している。
早く帰ってもらえるように、気が済むようにするしかないな。』
黄庵
「理香、公爵様のご健康のこと、頼みましたよ。」
理香
「ええ、お任せください。」
ルナ、紅丸、青兵衛 こころの声
『黄庵は、あのときのことを強く記憶しているな。
触らぬ神に祟りなし。
口を出さないようにしよう。』
☆ 黄花
☆ 「注意したら、ものすごい不機嫌になられたのよ。 温厚な公爵様にも欠点があったのだと良く分かりました。 あのひとに食生活を注意できるひとがいたら、顔を見たいわ。 ぜったいにいないと思うけどね。」
☆
☆ ボクは、公爵様が注意されている未来が見えたので笑いそうになったが、顔に出さないようにした。 ボクは痛い目にあいたくないからだ。
☆
☆ 077 渡日橋と失業者の関係 参照
◇
ボクたちは、毎日、3日に一度、毎週と理香の様子を見に行っていたが、半年後、ボクたちは、おどろいてしまった。
理香
「いい感じに、お身体が引き締まってきましたね。
頭の毛も増えてきました。
これなら、わたしと歩いても、それほど見劣りしませんわ。」
モンテマニー公爵
「そうか、理香の笑顔が見れるのなら、苦しんだ甲斐があったな。」
理香
「どうですか? 黄庵様?
あなたに医学を習った成果です。」
黄庵
「おみそれしました。 お見事です。」
理香は、黄庵にいろいろと報告していた。
食事、運動、頭皮マッサージと尽力していたとのことだった。
理香
「黄庵様から教わった医学が素晴らしいからです。
わたしとの療養生活は、有意義だったでしょう。 公爵様。」
モンテマニー公爵
「いや、囚人のような貧しい生活だったぞ。」
理香
「もう一度、言えますか?」
モンテマニー公爵
「いや、とても有意義であった。」
理香
「分かってくれて、うれしいですわ。」
理香は、にっこりとほほ笑んだ。
理香の尻に敷かれつつも幸せそうなモンテマニー公爵に、ぼくたちは温かい視線を送ったのだった。
つづく
☆ 理想の美女7人に愛される生活。ベーシックインカムで儲けた「カセイダード王国」に移住して正解でした。
☆ 164 300年前のモンテマニー公爵との思い出 を読むと、より楽しめます。
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