068 なければ、俺の言うことを聞け
ぼくたちは、ご機嫌でモンテマニー公爵がくれた招待券を持って、観光地の山風山の渡日橋に向かった。
ルナ
「いやあ、モンテマニー公爵様、大好き、愛してる。」
紅丸
「うーん、手放しで喜べない気がするのですが。」
黄庵
「病は気からと申します。 あまり、心配し過ぎると病気になってしまいます。」
青兵衛
「もらえるものは、屁でももらっておけ、と言います。 喜びましょう。」
紅丸が持っているカタナがなにか言いたそうにしているので、発言してもらった。
妖刀斬 紅丸
「皆様が向かう先には、妖刀の気配を感じるのです。 すべてを煙に巻こうとするとするようなズルい気配がして、イライラします。」
紅丸
「ルナ様、やはり、一波乱ありそうです。 気を引き締めましょう。」
ルナ、黄庵、青兵衛が、しーらーっとした冷たい視線と目を細めた嫌そうな顔を紅丸に向けてきた。
紅丸
「ど、どうしたのでござるか?」
ルナ
「知らないふりをしたかったんだよ。」
黄庵
「モンテマニー公爵様の顔色が変だったし、脈拍というか鼓動も早かったわよね。」
青兵衛
「タダより高い物はない。 というか、メクバール執事も罪悪感を感じている様子でしたね。」
紅丸
「ということは、みんなも何かを感じていたのですか?」
ルナ
「無い知恵をしぼってまで、ボクたちに依頼しようとした努力に免じて、分からないふりをしていたんだ。」
黄庵
「モンテマニー公爵が心労になって寝込まれでもしたら、主治医の方がどんな薬を処方するか気になってしまいますからね。」
青兵衛
「商売というのは、ときには気持ちよく、だまされてあげることも必要ですからね。」
紅丸
「余計なことを言ってすみません。」
ルナ
「いやいや、謝らないでよ。 誰かが言いだしてくれないかなあと思っていたからね。」
黄庵
「言い出しにくいことを言ってくれて、ありがとう。」
青兵衛
「じゃあ、紅丸、早速だけど、がんばってね。」
紅丸
「な、なにをですか?」
ルナ
「ほら、あれだよ。」
ルナが指さす方向を見たら、ひとりの美しい女性が若い男性3人組に連れ去られようとしている。
町娘
「いや、はなしてください。」
男A
「なにを嫌がるんだ? おれたちと仲良くしようと言っているだけだぜ。」
男B
「そうしたら、気持ちいい想いをさせてやる、だから、来いよ。」
男C
「もったいぶって、金額をつり上げようってか?」
町娘
「ち、ちがいます。 そんなことを言っていません。 だ、だれか・・・」
町娘は周囲を見渡したが、誰も助けようとしない。それどころか、巻き込まれるのが嫌で、目をそらしたり、目を合わせないように下を見るものが、ほとんどだった。
そこへ、紅丸が踏み込んだ。
紅丸
「そこまでだ。 その手をはなせ!」
男A
「ああ、なんだテメエは?」
男B
「嫌がっているように見えるのか?」
男C
「この商売女はなあ、自分の売値を吊り上げようとして、素人の振りをしているだけなんだよ。」
町娘
「ち、ちがいます。 お助けを。」
紅丸
「もう一度だけ言ってやる。 その手をはなせ!」
男A
「おれたちを誰だと思ってやがる。」
男B
「おれたちはなあ、【ギルドプレート製造工場】で働くエリート様なんだよ。」
男C
「おい、女。 おめえの被害妄想のせいで、俺たちが言いがかりをつけられたじゃねえか?」
町娘
「な、なにを言っているのですか? きゃっ。」
男Cは、町娘のほほを平手打ちした。 そして、地面に倒れてしまった。
紅丸
「言葉が通じないようだな。 もういい、肉体言語を望むなら、その腰に下げたカタナを抜くがいい。」
男A
「後悔するんじゃないぞ。」
男Aがカタナを抜いて、上段切りをかまそうとしたところを、紅丸が抜いた刀で流されて、すれ違いざまに、紅丸の剣の柄頭(持ち手のはしっこ)で、首筋を打たれて気をうしなった。
【ご参考】
刀剣ワールド 東京TOP > 刀剣の部位
https://www.tokyo-touken-world.jp/knowledge-of-sword/token-parts/
男B
「へっ? こうなったら、連れの弱そうな3人を痛めつけてやる。」
黄庵
「ルナさん、お下がりください。」
黄庵は、殴りかかってきた男Bの右こぶしの手首に拳を当てて打ち払いして動きを止めて、右手首を極めながら、投げ落とした。 と思ったら、極め続けて痛みを与え続けた。
男B
「い、痛い。」
黄庵
「大丈夫ですよ。 腕の筋を傷めないようにギリギリのチカラで痛みだけにしていますからね。」
男B
「や、やめてくれ!」
黄庵
「これは、あの町娘さんのこころの痛みです。 十分に味わっていただきます。」
男Cは、町娘を抱きかかえて、刃物を町娘の顔に押し付けた。
男C
「そいつを放せ、はなさないなら、この娘の顔を切り刻むぞ。 むぎゅうー。」
男Cは、頭に打撃を食らって、気絶してしまった。
青兵衛
「そろばんは計算するものであって、鈍器ではないのです。」
ルナ こころの声
『そろばんの五玉がある上の方の角って、痛そうだなあ。 青兵衛のように武器として使う人がいるから、上の辺の角が無いソロバンが主流に変わったのかなあ?』
町娘
「あ、ありがとうございます。 おかげで助かりました。」
そこへ、小柄で偉そうな男性が近づいてきた。
?????
「なにを騒いでいるのですか?」
男A
「瓦版様、わたしたちが町娘を口説こうとしていたら、言いがかりをつけられたのです。」
瓦版
「わたしの身内に何をしてくれたのですか?」
紅丸
「あなたが、彼らの親玉か? かかってこい、相手をしてやる。」
瓦版
「わたしは、暴力を好みませんが、見に掛かる火の粉は払わせてもらおう。」
男B
「よ! 正義の瓦版様。」
男C
「かわら版様のお言葉は、いつも正しい。」
町娘
「どのくちが言うのですか? ワタシのことを金で身を売る商売をしていると言いがかりをつけて、さらおうとしたくせに。」
正義の瓦版
「そうなのですか?」
男A
「ち、ちがいまさあ。 後からやってきたくせに、横入りしてきたのがあの男でさあ。」
男Aは、紅丸を指さした。
男B
「そうだ、そうだ。 おれたちはなにもしていないのに、いきなり襲い掛かっていたんだ。」
男C
「かわら版さま、お助けください。」
正義の瓦版
「やれやれ、町が大きくなると、ならず者が寄ってきて困ったものです。」
町娘
「な、なにを言っているの? みんなも見ていたよね。」
町娘は周囲を見渡したが、誰も関わろうとはしなかった。
やじ馬たち
「目を付けられたら、こっちがイジメられてしまう。」
「おとなしく、犠牲になってくれたら、いいものを。」
「【”良太郎のようにいじめられたく”なければ、俺の言うことを聞け!】と言われていることが分からないなんて、バカだねえ。」
町娘
「そ、そんなあ。」
黄庵
「どのくちが言うのですか? 自分に都合が悪いことは黙る卑怯者は多く見てきましたが、自分がしてきたことを棚に上げて、被害者ぶる連中は初めて見ました。」
正義の瓦版
「被害妄想がひどい連中だな。」
青兵衛
「なにが被害妄想なものですか? この町娘さんは、我々が助けなかったら、どこぞに連れ込まれて手籠めにされていたのですよ。」
町娘
「わたしが断ったら、金額を吊り上げようとしているとか言っていたじゃないですか? それから、身体を売る商売女とか言って、わたしを貶めようとしたじゃないですか?」
正義の瓦版
「そうなのですか?」
男C
「そ、それは、その、言葉のあやというものですよ。」
正義の瓦版
「そうですか? 言葉のあやにイチイチ突っかかってくるなんて、気心が違いますねえ。」
紅丸、黄庵、青兵衛は、あきれかえって、二の句が継げないでいた。
次の瞬間、背後にものすごい殺気を感じて、振り返ったら、ルナが怖い顔をしていた。
ルナ
「この卑怯者が。 そのようなズルい言葉で誤魔化せると思っているのか?
子分のしつけができないなら、親分なんてするんじゃない。」
正義の瓦版は、すこしだけルナの気迫にたじろいだ。
正義の瓦版
「わたしを誰だと思っている。モンテツワモ公爵様から、【ギルドプレート製造工場】を任されているのだ。
人呼んで、正義の瓦版とは俺のことだぞ。」
男B
「瓦版様、かっこいい。」
ルナ
「いつまで言い訳を続けますか?
ひとの言葉を話すからと我慢していましたが、狂犬、くるった犬ころと話すくらい意味がないですね。
第2第3の犠牲者が出る前に、片づけましょうか?」
正義の瓦版
「きちがいと話しても時間の無駄だったな。 さあ、みんな帰りましょう。」
正義の瓦版は、男たちを連れて引き上げていった。
紅丸
「ルナ様、逃がして良いのですか?」
ルナ
「今回は任務ではなくて、観光旅行だからね。」
ルナはそう言いつつも、闘気を抑えきれていなかった。
町娘
「あの、ありがとうございました。 御礼をしたいので、うちの店まで来ていただけませんか?」
つづく
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