067 ギルドプレート製造工場
モンテマニー公爵の晩ごはんに呼ばれた。
ボクたちは、ボクがノワール世界に叩き落されたことは、モンテマニー公爵には内緒にすることを決めていた。 余計な心配をかけたくないからだ。 次は、紅丸、黄庵、青兵衛を呼び寄せることができるから大丈夫だと判断できたからだ。
モンテマニー公爵
「ワシに言いたくないことがあるようだな。 いや、無理に言わなくてもいい。 ワシの助けが必要になったら遠慮はしないように。 それさえ、分かってくれたら良い。」
黄庵
「ありがたいお言葉ありがとうございます。 うれしいわよねえ、ルナさん。」
ルナ
「モンテマニー公爵のことは、頼りにしています。」
紅丸
「ルナ様、敵は次も同じことをする可能性が高いでしょう。 そうなる前に、作戦を練ることを進言します。」
青兵衛
「ルナ、何事にも準備する時間が必要です。 公爵様からの支援を最大限に引き出すためにも、情報は共有しましょう。」
メクバール執事
「ルナ様、遠慮されているようですが、公爵様がさびしそうにされているので、必要なことを話していただけませんか?」
モンテマニー公爵
「メクバール、余計なことを。 いや、言ってくれて助かったと礼を言うべきだろうか? ワシは頼りないのだろうか? 確かにルナたちには、大変なことを頼んでいるから、そう思われても仕方ないか?」
ルナ
「いいえ、本当に頼りにしています。 実は、敵に、【ノワール世界】という異世界に落とされたのです。」
メクバール執事
「ルナ様、【ノワール世界】とはいったい何のことでしょうか?」
黄庵
「神隠しにあったと言えば、分かりやすいでしょうか?」
メクバール執事
「敵にそんなチカラがあるのですか?」
モンテマニー公爵
「ワイダー公爵の奥方であるフレグランス殿なら可能だろう。 あの者は、生霊を飛ばして、気に入らない者の首を締めて殺そうとするからな。 ワシも一度やられてからは、気を付けている。」
ルナ
「どうやって、生還できたのでしょうか?」
モンテマニー公爵
「ワシの首を絞めてきた腕に見覚えがあったのだ。 この美しい手は、フレグランスさん? と呼びかけたら術が解けたのだ。」
ルナ
「ありがとうございます。 フレグランスという名前を覚えておきます。」
紅丸
「今度、ルナ様がノワール世界にさらわれたときには、我々はルナ様の元に行きます。 それで、申し上げにくいのですが・・・」
メクバール執事
「ええ、ご心配には及びません。」
青兵衛
「そのときは、お金をケチらないでくださいね。」
モンテマニー公爵
「ワシの名に懸けて、金をケチったりしないわ。 マニーとは、金の意味だぞ。」
青兵衛
「お金持ってますという意味の名前でしたら、うらやましい限りですね。」
ルナ
「公爵様~、ボク、おいしいデザートを食べたいですう。」
モンテマニー公爵
「うむ、もちろん用意しておる。メクバール、頼んできてくれ。」
メクバール執事
「かしこまりました。」
ルナ
「くすくす、ああ、おかしい。 久しぶりに笑えた気がします。」
モンテマニー公爵
「ふふふ、ははははは。 ワシも愉快になってきたぞ。」
みんなで楽しく大笑いした。
5分後・・・
モンテマニー公爵
「メクバール、すまんが、メイドさんにデザートを頼んできてくれないか?」
メクバール執事
「失礼しました。」
その夜、ボクたちは、こころが休まる雰囲気の中にいた。
◇
その翌日の昼ごはんにも呼ばれた。
今度は、仕事の依頼だそうだ。
モンテマニー公爵の屋敷
昼ごはんのあとで、メクバール執事が言った。
メクバール執事
「次に、ルナ様たちに視察に行ってほしい場所についてですが。」
ルナ
「ちょっと待ってください。」
メクバール執事
「どうされました?」
ルナ
「ボクたちは、冒険だけでなく、スローライフも楽しみたいのです。」
メクバール執事
「しかし、敵がチカラを盛り返す前に、攻め進む方が後々。」
モンテマニー公爵が制止した。
モンテマニー公爵
「良い、メクバール。 ルナ殿たちに無理を言っているのは、こちらだからな。」
メクバール執事
「かしこまりました。」
とはいえ、少し不満そうだ。
モンテマニー公爵
「ルナ殿、スローライフを楽しむのであれば、観光地の山風山の渡日橋をお薦めしよう。 もし、行くつもりがあるのなら、招待チケットを差し上げよう。」
ルナ
「わーい、公爵様、大好き~。」
モンテマニー公爵
「そうか、そうか、では4人分のチケットを渡そうかのう。 メクバール。」
メクバール執事
「かしこまりました。」
ボクたちは、メクバール執事からチケットを受け取った。
黄庵
「ありがとうございます。 公爵様、有効期限があと1週間しか残っていませんね。」
モンテマニー公爵
「それは仕方ないと思ってくれ。つぎの招待状を発行する時期は、1年後になってしまう。」
青兵衛
「それは、もったいないですね。 早く行きましょう。」
紅丸
「泊る宿代は別なのだろう。 だから、来年でも良いのではないか?」
モンテマニー公爵
「紅丸殿、それは聞き捨てならんな。 黄庵殿、紅丸殿にチケットを見せてやってくれ。」
黄庵は、紅丸にチケットを見せて説明した。
紅丸
「大変、失礼しました。」
ルナ
「どういうこと?」
黄庵
「3食付き、宿泊付き、トイレと部屋風呂付き。 昼食は、加盟店のお好きな場所でどうぞ。」
モンテマニー公爵
「どうだ。完璧であろう。ワシは、後から見えない費用が発生することが、だまし討ちされたみたいで、大嫌いでな。」
メクバール執事
「だから、競合よりも高い印象を受けて損しているんですがね。」
モンテマニー公爵
「良いではないか? そういう内容を読み取れない者は、お客様には成りえないからな。 どうせ、文句をたれて、営業の邪魔になるだけだ。」
青兵衛
「お客を選ぶには、金額を上げることが一番です。 公爵様は正しいです。」
モンテマニー公爵
「うむ、青兵衛殿はさすがである。 新しい街づくりの計画書を見たときから、青兵衛殿の商才は高く評価しておるぞ。」
青兵衛
「今後とも、ごひいきにお願いします。」
ふたりは、ニンマリと笑い合っていた。
ルナ
「じゃあ、問題が無いようだから、公爵様にもらったチケットで楽しんできます。」
モンテマニー公爵
「おお、そうしてくれ。 みやげを楽しみにしておるぞ。」
ルナ
「もちろんです。みんなと相談して、喜んでもらえるものを買ってきます。」
ルナは、ごきげんの様子だった。
ボクたちは、モンテマニー公爵のお屋敷を後にして、公爵様にもらった家の家事を済ませてから、観光地の山風山の渡日橋を目指したのだった。
◇
ルナたちが去った後で・・・
メクバール執事
「公爵様、たしか、観光地の山風山の渡日橋には、ルナ様たちに次に行ってもらいたい【ギルドプレート製造工場】がありませんでしたか?」
モンテマニー公爵
「おお、そうであったな。 なんという偶然の一致であろうか? つい、【ギルドプレート製造工場】近くの観光地を案内してしまったようだ。」
メクバール執事
「ルナ様のおじいさまとして、ルナ様のご機嫌は、ご自分で取ってくださいね。 私は知りませんからね。」
モンテマニー公爵
「そのときは、いっしょにルナ殿に謝ってくれるよな。 なっ? なっ? なっ?」
メクバール執事
「私は知りません。」
モンテマニー公爵
「メクバール、そこをなんとか?」
つづく
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