053 無料(タダ)より高い物はない
お昼ご飯の後、
モンテマニー侯爵の屋敷と同じ町にある、ルナたちの家。
ボクたちは、次の夜も侯爵様にお呼ばれされた。
月夜
「連続で晩ごはんを御馳走になるなんて、気が引けるなあ。」
紅姫
「でも、うれしそうですね。」
黄花
「なにか手土産を持った方が良いでしょうね。」
青紫
「無料より高い物はないです。」
月夜
「とは言え、侯爵様が手に入れられないものって、あるのかなあ?」
紅姫
「遠方の食べ物が無難ですね。」
黄花
「生ものは食中毒の危険があるから、もぎたての果物が良いでしょう。」
青紫
「それが良いですね。
道中のモンスターが強いから物流はむずかしいです。
新鮮な海の魚が価値が高いですが輸送手段を聞かれたら、困ります。」
というわけで、晩ごはんまでの間に、めずらしい果物を手に入れることにした。
◇
ボクたちは、イウラが用意してくれた家の移動能力を使用して、遠方の果物を買うことにした。
ボクたちは、外向けの姿に着替えた。
ルナ
「じゃあ、行こうか?」
紅丸
「はい、ルナ様。」
黄庵
「はい、ルナさん。」
青兵衛
「はい、ルナ。」
ボクたちは、遠方の町の市場に行った。
ルナ
「農家から直接買った方が安いと思うんだけど、ダメなの?」
青兵衛
「商品の販売ルートを支配する団体がいます。
その団体ににらまれたら、その農家がいじめられて、迷惑をかけることになります。」
ルナ
「むずかしいんだね。
紅姫、なにか気になるものがあった?」
りりしい紅丸が、よだれを飲み込んでいた。
黄庵
「紅丸? ルナさんが呼んでますわ。」
紅丸
「すみません、大好きな果物があったので、見ていました。」
青兵衛
「ルナ、せっかくだから、紅丸が気を取られる果物を、おみやげにしましょう。」
ルナ
「賛成!」
紅丸
「ルナ様、良いのですか?」
ルナ
「もちろんだよ。」
紅丸の目が輝いていた。
紅丸
「では、あの西瓜を、お願いします。
みんなで、種を飛ばす距離を競争しましょう。」
ルナ
「紅丸、あとで方法を教えてね。
で、いくつ買おうか?」
青兵衛
「ひとり2個ずつ、合計で8個買いましょう。
そして、侯爵様の屋敷には、ひとり1個ずつ合計4個を持っていきましょう。」
黄庵
「名案ですね。
青兵衛、相場的に適正価格の店を選んでくれますか?」
青兵衛
「そうですね。若い女の子がやっているあの店にしましょう。
紅丸、あなたが良いと思うものを8個選んでくれますか?」
紅丸
「いいのか?
じゃあ、お姉さん、選ばせてくれるか?」
店員
「どうぞ、でも、軽くたたくだけにしてくださいね。」
紅丸
「ああ、わかった。」
紅丸は、8個の西瓜を選んだ。
青兵衛が支払いをした。
ならずもの
「だれに断って、店を出しているんだ?
たたんでしまえ!」
ならずものたちが店員にちょっかいを出して、暴れだした。
しかし・・・
ボクたちに、きれいに畳まれてしまった。
そのおかげで店は無事だった。
ルナ
「さて、どうしたものか?」
紅丸
「おまえたちのボスのところに案内しろ。」
青兵衛
「商談は、まかせてください。」
黄庵
「怪我はない?」
店員
「ありがとうございます。」
◇
ボクたちは、市場の管理者の前に居た。
ボス
「おう、そうか、すまんかったな。」
紅丸
「ふざけているのか?」
青兵衛
「ここは、わたしが話しましょう。
あなたが、市場の管理者ですね。
わたしたちが戦いの続きをしたら、あなたの面子がなくなりますよ。」
ボス
「ふん。」
ルナ
「あなたの部下たちを、暴れるためではなく、案内所で待機させる方が良いのではありませんか?」
ボス
「うるさいなあ。」
紅丸
「なにか言ったか?」
紅丸の気 【怒気当て】を感じて、ボスは冷や汗をかいていた。
青兵衛
「さて、場所代をとることは市場を管理する者の報酬として、正しいでしょう。」
ボス
「おまえさんは、分かっているじゃないか?」
青兵衛
「ただ、市場で店を出すルールを知らないひとに不親切ですね。」
ボス
「そうか? わしは親切な方だと思うがな。」
青兵衛
「わたしも、そう思います。
ただ、その親切を見えるようにしてもらえないか?
という相談に参ったのです。」
ボス
「ふむ、聞いてやろう。」
青兵衛
「3つお願いします。
ひとつ 市場に案内所を設置して、場所代を掲示してください。
ふたつ 場所代は、良い場所は高く、はずれの場所は安くしてください。
みっつ あなたの部下たちは暴れる前に、市場のルールを説明してください。」
ボス
「うん?
3つ目は、どういうことだ。
場所代を払わずに開き直るバカには、ちからづくで分からせてやれと言った。
おい、おまえら、どういうことだ。」
ならずもの
「市場のルールを知らないものは、いないはずです。」
ボス
「暴れる前に、場所代を説明して、支払いを求めなかったのか?」
ならずもの
「ひい、ルールを知ってて、当たり前じゃないですか?」
ボス
「おまえら、おれに恥をかかせる気か?」
青兵衛
「まあまあ、管理者殿、その辺で。
わたしは、未来の提案をしたいのです。」
ボス
「どういうことだ。」
青兵衛
「相手は知っているはず、分かっているはず。
そう信じることは楽です。」
ボス
「たしかにな。」
青兵衛
「だから、いま言った3つのことを紙に書きます。
それにですね、管理者殿、つまり、ボスの名前を書いて頂けませんか?」
ボス
「それだけでいいのか?
部下どものけじめはどうする?」
青兵衛
「今後の行動で、しめしてもらえばいいです。」
ボス
「すまん、おめえらも礼を言え。」
ならずもの
「すみませんでした。」
青兵衛
「あなたたちが、にらみを利かせてくれれば、市場の安全が保たれるでしょう。
これからも、お願いします。」
ならずもの
「へへー。」
ルナ
「ねえ、信じていいの?」
紅丸
「大丈夫でしょう。
次は斬りますから。」
ならずもの
「へへー。」
ボクたちは、青兵衛が書いた文章を書き写して、4枚の紙を用意した。
その4枚に、ボスが名前を書いてくれた。
青兵衛
「では、1枚をボスが保管お願いします。
1枚を案内所に貼ってください。
1枚は市場を回る部下の方々が持ち歩いてください。
のこりの1枚はわたしたちがもらいます。」
ボス
「ああ、問題ねえ。」
ルナ
「ボクの出番はなかったね。」
青兵衛
「ルナが後ろにいてくれるから、交渉が進んだのです。
ねえ、ボス。」
ボス
「ああ、その通りだ。
おまえたち4人のボスが、ルナさんだよな。」
ルナ
「そうです。
では、ボクたちといっしょに市場を回りましょうか?
それにしても、西瓜が無事で良かった。」
紅丸
「食い物のうらみはおそろしいぞ。」
あたりの雰囲気が凍ったが、ボスが笑い飛ばした。
だが、ボスの足はふるえていた。
ルナ こころの声
『ボスも大変だな。』
ボクたちが見ている前で、ボスとならずものたちに、約束を実行してもらった。
ボクたちは、モンテマニー侯爵へのおみやげを用意できたので、家でのんびりと夜を待つことにした。
<後日談>
次に市場に行ったとき、感謝の言葉はもらえなかったが、彼らのボクたちを見る目が優しいものに変わっていた。
青兵衛の指示どおりにしたおかげで、市場が盛り上がって、ボスたちは大きく儲けたそうだ。
青兵衛の商才、おそるべし。
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