040 監察官(8)モンテマニー侯爵の尋問、医者と黄庵
モンテマニー侯爵の応接室にて。
モンテマニー侯爵
「ルナ殿、紅丸殿、黄庵殿、青兵衛殿。
骨を折って頂き、感謝している。」
メクバール執事
「ルナ殿たちのおかげで、侯爵様は用事ができました。
2時間ほど、お待ちいただけますか?
御不自由が無いように、メイドをお付けします。
なんでもお申し付けください。」
モンテマニー侯爵
「メクバール、用意はできたのか?」
いつもと違って、低い声を出している。
メクバール執事
「できまして、ございます。」
モンテマニー侯爵
「呼びつけておいて失礼するが、わたしは錦野町長と話をしなければならない。
戻ってくるので、今夜は泊っていってほしい。」
ルナ
「ありがとうございます。
お言葉に甘えます。」
モンテマニー侯爵
「うむ。 失礼する。」
彼はまるで戦場に行くような恐ろしい顔をしていた。
◇
モンテマニー侯爵の地下室
錦野町長が椅子に縛られている。
モンテマニー侯爵
「起きろ! いつまで寝ている!」
ルナたちの前では温和だった彼が、ものすごい顔で怒っている。
錦野町長
「はっ? ここは?」
モンテマニー侯爵
「このわし、モンテマニーの屋敷だ。」
錦野町長
「モンテマニー?
はっ? モンテツワモ侯爵は?」
モンテマニー侯爵
「去年、永眠したよ。
美しい女性から、毒をもらってな。
あの父にふさわしい最期だったよ。」
錦野町長
「それでは、あなた様に忠誠を誓います。」
モンテマニー侯爵
「要らぬよ。
それよりも、洗いざらい吐いてもらう。」
錦野町長
「ひいっ。」
モンテマニー侯爵
「まずは、なぜ町長を名乗っている?」
錦野町長
「良太郎様から譲り受けたのです。」
モンテマニー侯爵
「ほう? 様付けか?
こないだまでは、呼び捨てておったな。」
錦野町長
「魔が差したんです。 ゆるしてください。」
モンテマニー侯爵
「10年間もか?
質問を変えようか?
町の売り上げがずいぶんと減っているな?」
錦野町長
「それは、良太郎様が売り上げを隠したからです。」
モンテマニー侯爵
「お前の屋敷に隠してあった財宝は回収したぞ。
不思議だなあ?
良太郎が隠した財宝をなぜ、お前が持っている?
まだ、足りないのか?
御代わりをやろう。
なあに、遠慮しなくていい。
たっぷりと用意してあるからな。」
錦野町長
「ぐああ。」
モンテマニー侯爵
「うるさいぞ。
いや、ちがったか?
ため息をつくな!
と言えば良かったか?」
錦野町長
「これは、ため息ではなくて、普通の息遣いです。」
モンテマニー侯爵
「いいや、ため息だ。
思い出せ!
自分が言った言葉を忘れたか?」
錦野町長
「スーハー。スーハー。」
錦野町長は、わざとらしいくらいの深呼吸をした。
モンテマニー侯爵
「息をするな!
と言ったことに等しいと理解したか?」
錦野町長
「はいいー。」
モンテマニー侯爵
「それに、だまされたと苦情が来ておるぞ。
だから、注文が減っているのだ。
それも、お前か?」
錦野町長
「そ、それは・・・」
モンテマニー侯爵の尋問は続く・・・
◇
ボクたちは、もう一度、良太郎さんの病室を見舞ってから、応接室でくつろいでいた。
ボクたちが病室を去ったあとも、黄庵だけは病室に残っていた。
医者
「かなりひどい損傷を受けていますね。
身体もボロボロですが、特に精神がひどい。
多くの人なら、とっくの昔にこの世から退場しています。」
黄庵
「おっしゃる通りです。
ここが安全であると理解できるくらいまで、回復が始まらない。
回復が始まっても、3年はかかるでしょう。」
医者
「そうですね。
それにしても、名高い黄庵殿とお会いできるとは光栄です。
ただ、主治医の地位を失うかもしれないので、迷惑ですな。」
黄庵
「ご心配なく。
わたしは、ルナさんの主治医です。」
医者
「それを聞いて、ほっとしました。
ということは、わたしが毒を盛るなどしない限り、わたしの地位は安泰ですな。」
黄庵
「そういうときは、わたしにも教えてください。
あなたは言うことを聞いたふりをして、お金をもらう。
わたしは、影で、こっそりと治す。」
医者
「黄庵殿はお金が大好きですか?」
黄庵
「ええ、そうです。
そんな誘いはどうせ一度きりの儲けですから、山分けして終わりにしましょう。
ところで、そういう誘いはあるのですか?」
医者
「今のところは有りませんが、今後は分かりません。」
黄庵
「そのときは、山分けしましょう。」
医者
「お金をもらう。そして、侯爵様にも生きて頂く。」
黄庵
「契約成立ですね。」
医者と黄庵は、僕の知らないところで固い握手をしていたと、あとでイウラから聞いた。
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