030 青紫の商才(10)音色のソロバン
洗濯を終わらせて、月夜と黄花が帰ってきた。
スッキリした笑顔の月夜と、
げっそりと疲れた顔の黄花が、
昼と夜くらいに明暗の差があった。
青紫
「さてと、聞き忘れていたけれど、あなたたちはなぜ居たの?
道の駅を中心とした町づくり計画を知っているひとはいるけれど、
正確な場所を知る人はいないわ。」
月夜
「ギルドで依頼されたんだ。
そして、青兵衛さんと待ち合わせして連れてきてもらったんだ。」
青紫
「あの悪霊が私に成りすましたのか?
本当に迷惑な話よね。
ギルドに苦情を言わなきゃね。
とは言え、言い逃れされているのは目に見えてるし。
それに私自身を見分ける何かについて提案もしなきゃならないし、どうしようかしら。」
紅姫
「青紫はギルドプレートを持ってないのか?」
紅姫は、プレートを見せた。
青紫
「それ便利そうね。 私も作れるかな。」
月夜
「ギルドで申し込めば簡単に作れるよ。」
青紫
「じゃあ、そうするわ。」
黄花
「月夜様。 それでしたら、青紫にも私たちのパーティーに入ってもらいませんか?」
月夜
「いいと思うよ。
紅姫はどう?」
紅姫
「これから一緒に住むのですから、入ってない方がおかしいですね。」
青紫
「じゃあ、お願いするわ。」
月夜
「ところで、まちづくり計画に参加してどれくらい儲けが出るの?」
青紫
「それが悩みなのよね。 本来なら少しは儲かるはずだったんだけれど、あの悪霊のせいで高い数珠を買ったから、 ほとんど儲けがないのよ。」
青紫はそろばんを取り出して数字を入れた。
月夜
「綺麗な音色がしますね。」
青紫
「あらわかるの?
ほとんどの人はわからないって言ってたんだけど?」
紅丸
「音楽には詳しくないが、良い音色だということはわかるぞ。」
黄花
「私は、患者の体内の音を聞く関係で、音には敏感よ。」
青紫
「みんながわかるなら説明が楽だわ。
当初の予定では、前払い金の30万バーシルが儲かる予定だったの。
だけど、数珠に28万バーシルにもかかったから儲けは、たった2万バーシルよ。
さすがに、【音色のソロバン】でも、悪霊になった先輩が邪魔しに来るとまでは、予知できなかったみたい。」
月夜
「【音色のソロバン】って、未来予知ができるのですか?」
青紫
「できるわ。 そのおかげでわたしは商売で成功することができたの。
もちろん、金愛同身の精神があったうえでの話よ。
論より証拠ね。
実演してみましょう。」
青紫は、そろばんをご破算した。 ※ 0にリセットすることです。
青紫
「紅姫を護衛の剣士として一時間1万バーシルで雇うとします。」
青紫は、そろばんに、1万バーシルを入れた。
音色のソロバン
「リーン」
黄花
「きれいな鈴の音が聞こえるわ。」
青紫
「ご破算して、紅姫を、お皿洗い一時間1万バーシルで雇うとします。」
青紫は、そろばんに、1万バーシルを入れた。
音色のソロバン
「ぐもーん。」
月夜
「ずいぶん濁った音がするね。」
青紫
「という具合に、音色で良し悪しを判定できるのよ。
だから、失敗を回避できたっていうわけ。
でもね、相手も自分も儲けるという姿勢がないと上手くいかないのよ。
相手に損させて自分だけが儲けようとしたら音が聞こえなくなる。
だから、私が使えば、このそろばんは神器だけれど、先輩たちが使っても、ただの古いそろばんなのよ。」
紅姫
「わたしも試していいか?」
青紫
「どうぞ。」
紅姫
「黄花にとっての医者と洗濯を試してみたい。」
医者: リーン。 きれいな鈴の音。
洗濯: ぐもーん。 濁った音。
黄花
「じゃあ、わたしも!」
青紫
「どうぞ。」
黄花
「月夜の家事と力仕事。」
家事: リーン。 きれいな鈴の音。
力仕事: ぐもーん。 濁った音。
月夜
「じゃあ、わたしもぜひ。」
青紫
「どうぞ。」
月夜
「青紫の商売と片付け。」
商売: リーン。 きれいな鈴の音。
片付け: ぐもーん。 濁った音。
青紫
「わたしは家事がまったくできないから期待しないでね。」
月夜
「うん、わかった。」
ボクは、神様が言った通りだったので、驚かなかった。
◇
ボクたちは、ギルドの受付にいた。
青紫からは、外では青兵衛で通すから、よろしくね!と念押しされた。
受付嬢
「ルナさん、いいえ、パーティ 可愛いお茶屋さん いらっしゃいませ。
なにか御用ですか?」
ルナ
「あたらしい仲間のギルドプレートを作って欲しいんだけど。」
青兵衛
「初めてです。
登録お願いします。」
受付嬢
「ここに手をおいてください。
はい、そうです。
過去の登録はありませんね。
地面《Ground》を意味する Gランク からのスタートです。
ギルドへの貢献度が高まれば、ランクが上がります。
あなたが現在、優れた能力があっても、飛び級はありません。
年功序列方式をギルドでは採用しています。
ご質問は?」
青兵衛
「いただいた冒険者証のどこに名前を書けばいいですか?」
受付嬢
「プレートを両手で温めれば、あなたの名前が浮かび上がりますよ。」
もらったプレートに、「青兵衛 Aobee」という文字があらわれた。
光元国語と栄語が使用されている。
ルナ
「もう1つお願いしたいことがあります。」
受付嬢
「なにでございましょうか?」
ルナ
「青兵衛を、パーティ 可愛いお茶屋さん に登録お願いします。」
受付嬢
「かしこまりました。」
ルナ
「ありがとう。
いま受けている依頼の件で、ギルドマスターに相談したいことがあるんだ。」
受付嬢
「ギルドマスターの部屋にご案内します。」
◇
ボクは、今までの経過を説明した。
ギルドマスター
「そうでしたか 悪霊が依頼者の青兵衛さんになりすましていたと。
それは災難でしたね。
ですがさすがに 数珠代を こちらが出すというのはご勘弁ください。
悪霊を発見した時に助けを求めてくだされば、冒険者を送ることもできたんですが、その場合の費用と比べて天と地の差ですからね。 十倍は、掛かっています。」
青兵衛
「ええ、おっしゃることは、わかります。 そこで相談したい内容というのは、今後のことについての取り決めなのです。」
ギルドマスター
「今後のことと、おっしゃいますと、どういうことでしょうか?」
青兵衛
「今回の依頼について、前払いで30万バーシルいただきましたが、数珠代28万バーシルを差し引けば、たった2万バーシルしか残りません。
そこで、似たような事態が起こった場合に備えて、用心棒をつけて欲しいです。」
ギルドマスター
「それにつきましては、パーティー名 可愛いお茶屋さんがいるじゃないですか?」
ルナ
「青兵衛は、ボクのパーティに入ったから、ギルドが用心棒をつけたことにはならないよね。」
ギルドマスター
「そうなのか?」
受付嬢
「ええ、先ほどパーティーに加入されました。」
青兵衛
「私に生命の危機が迫った時に、運良く近くにいらっしゃって助けてくださったのです。
その幸運がなければ、私は悪霊に殺されていました。
そうなっていれば、この依頼をこなせなかったことになります。」
ギルドマスター
「たしかにそうですね。」
青兵衛
「じゃあ、こうしませんか?
ギルドはわたしが殺されたことにされては?
そうすれば、ギルドは数珠代を払わなくて済む。
わたしも命の危険におびえる必要がなくなる。
三方良しで、めでたしめでたし ですね。」
ギルドマスター
「数珠代を買い取らせていただきます。」
青兵衛
「どうぞ、これです。
領収書も付けますね。」
受付嬢。
「壊れていますね。」
青兵衛
「ええ、非常に強力な悪霊でしたから、壊されてしまったのです。
紅丸様とルナ様がちからを合わせることで、ようやく倒すことが出来ました。
ギルド推薦のお強い冒険者様が何人あつまれば、おふたりに匹敵する強さになるでしょうか?」
ギルドマスター
「そ、それは・・・」
青兵衛
「しかし、それを予想された賢明なるギルドマスター様が、前もって、悪霊封じの数珠を授けてくださったのです。 さらには最強のパーティを派遣してくださったおかげで、わたしの命があります。
非常に、感謝しています。
そして、今後のことを考えて、なりすましできないように、わたしのギルドプレートを作ってくださり、わたしの身の安全を守るために、最強のパーティにわたしを加入させてくださいました。
わたしたちは、聡明で慈悲深いギルドマスターに巡り合えて幸せです。
ね、ルナ、紅丸、黄庵。」
ギルドマスター
「負けました。
金庫から、お金を持ってきてくれ。」
受付嬢
「分かりました。」
青兵衛は、28万バーシルを手に入れた。
青兵衛
「ありがとうございます。
町づくりの件は続きをします。
町が出来た後は、どなたが経営されるのか、教えて頂けますか?
また、もらえる1区画はわたしが好きな場所をもらえるのですよね。」
町づくりの契約書の詳細についての話し合いが続けられた。
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