026 青紫の商才(6)金愛同身(かねあいどうしん)
紅姫は妖刀斬紅丸と、黄庵の元に急いでいた。
妖刀斬 紅丸
「紅姫、町の予定地の入口でござる。」
紅姫は、大きくうなずいた。
走りながら話すと舌を噛むからだ。
妖刀斬 紅丸
「紅姫、町の奥の方に大きな湖の臭いがするでござる。
黄庵殿の気配と悪霊の気配がするでござる。
今回は、妖刀はいないようでござる。」
紅姫は、大きくうなずいた。
ようやく、湖にいる青兵衛の姿が見えた。
青兵衛
「もうすぐ、月が頂上に昇る。
もうすぐ、黄庵の身体と命が我のモノとなる。」
紅姫
「待ちなさい。」
あわてすぎて余裕が無いから、女性の声になってしまう。
紅姫は紅丸を見た。
紅姫の意図を察した紅丸は、声を出すことにした。
紅丸
「待つでござる。
黄庵殿から離れろ!」
青兵衛
「月夜という小娘とともに帰った剣士 紅丸だな。
もう遅い。 そこで黙って見ていろ。」
青兵衛から放たれた妖気を紅丸は切り払った。
紅丸
「なめるな。
このような攻撃は拙者には効かんぞ。」
青兵衛
「それなら、これならどうだ。」
闇夜のカラスたち
「カア、カア、カア。」
青兵衛
「掛かれ!
目に見えなければ、切れまいて。」
紅丸
「心眼剣。
粉雪斬り。」
紅丸は襲い来るカラスをすべて一刀のもとに切り捨てた。
青兵衛
「こしゃくな。
動くな、剣を捨てろ。
さもないと、黄庵を殺すぞ。」
紅丸
「無理だな。
黄庵に取り付きたいお前には出来ないだろう。」
青兵衛
「凄腕の剣士よ。
紅丸と言ったな。
おまえに邪魔されるくらいなら、殺した方がましだ。
またの機会に、冒険者の中から若くて美形の青年をだませば良いだけだからな。
わしにとっては、黄庵は大勢の中のひとりに過ぎない。
だが、紅丸にとっては欠け替えのない仲間だろう。
どちらが有利かわかるか?」
紅姫 《小声で》
「紅丸、あの悪霊を斬れないか?」
妖刀斬 紅丸 《小声で》
「悪霊は斬れるでござるが、黄庵殿の霊魂も斬ってしまうでござる。」
紅姫
「わかった。 覚悟を決めることにする。」
青兵衛
「わかれば良いのだ。 さあ、剣を捨てろ。」
紅姫
「俺がした決心は、黄庵ごと青兵衛、お前を斬ることだ。
黄庵もその方が良いと言うだろう。」
青兵衛
「ま、待て! 話をしよう。」
紅姫
「断る。!」
???
「お待ちなさい。
やはり、あなたでしたか!
わたしの名前まで騙るとは、なんと卑怯な。」
青兵衛
「おまえが悪いのだ。
自業自得だ。
おれはお前のせいで、こんな目に遭ったのだ。」
???
「それは、こちらの台詞です。
水浴びをしていた私に襲い掛かって、おか・・・
いいえ、殺そうとしたのはあなたです。
わたしは自分の身を守っただけです。」
青兵衛
「そのせいで、わたしは土座衛門になったんだ。」
???
「いいかげんにしてください。
わたしを店から追い出すまで、いじめ抜いただけでは足りないというのですか?」
青兵衛の姿をした悪霊
「だ、黙れえ!」
???は、右手に付けた数珠を
青兵衛の姿をした悪霊に向けた。
本物の青兵衛
「悪霊退散!
王真加勢陀
王真加勢陀
王真加勢陀」
青兵衛の姿をした悪霊
「ぐぐああ。
はなさんぞ、はなさんぞ、この身体は私のモノだ。」
本物の青兵衛
「剣士様、あの悪霊ごと男を、お斬りください。
もう、この世のものではありませんから。
さあ、わたしが抑えられるうちに。
王真加勢陀
王真加勢陀
王真加勢陀」
紅姫
「行くぞ! 紅丸!」
妖刀斬 紅丸
「駄目でござる。
見るでござる。
悪霊が黄庵殿に入り込んだでござる。」
青兵衛の姿をした身体が地面に倒れていた。
青兵衛の姿をした悪霊
「時間切れだな。
俺の勝ちだ。
あとは、青兵衛、その名前を唱えるのをやめろ。
それさえなければ、黄庵の身体と命は我のものとなる。
この身体を手に入れた後で、お前を消してやるから覚悟しろ!」
本物の青兵衛
「王真加勢陀
王真加勢陀
王真加勢陀」
紅丸に目線で、「早くして!」 と訴えている。
紅姫
「どうすればいいんだ。
月夜様を起こさなかった私の責任だ。」
妖刀斬 紅丸
「拙者が9割がた大丈夫と言わなければ良かったのでござる。
拙者の責任でござる。」
◇
そのころ、月夜 ルナは、夢の中で、イウラと話していた。
ルナ
「聞いてよ。 イウラ。
黄花はひどいんだよ。
ボクよりも今日であったばかりの青兵衛という美青年のことを信用するんだよ。」
イウラ
「ひどいわね。
傷ついたわねえ。」
ルナ
「イウラ、わかってくれて、うれしいよ。」
イウラ
「えっへん、わたしは、ルウナの一番の友達だからね。
黄花なんて「さよなら」しちゃえばいいじゃない。
残りの美女2人と仲良くすれば両手に花だから十分でしょ!」
ルナ
「そうだね。
でも、ひとこと文句を言ってやらなきゃ気が済まないよ。」
イウラ
「そうよね。
ビシッと言ってやれ!」
ルナ
「ようし、明日の朝、言ってやる!」
イウラ
「それでは、間に合わないわね。
紅姫があなたの助けを待っているわ。
そして、黄花の命が尽きようとしているわ。」
ルナ
「えっ?
どういうこと?」
イウラ
「よく聞いてね。 ルウナ。
起きたら、5つ目のスキルを使いなさい。
そして、紅姫の近くに飛びなさい。」
ルナ
「どういうこと?」
イウラ
「さあ、急いで行きなさい。
わたしの友達 ルウナ。」
ボクは目を覚ました。
そこに、紅姫の姿は無かった。
ボクは、イウラに言われた通りに第5呪文を唱えた。
ルナ
「友情確認訪問呪文 【レバーラ】」
紅姫の名前が、赤く表示している。
黄花の名前が、赤く点滅している。
ルナ
「紅姫に生命の危機が迫っている。
黄花の命が風前の灯火だ。
どちらに飛べばいいんだ。
そうだ。
イウラの言う通りにしよう。
レバーラ 紅姫のもとへ連れて行って!」
ルナはワープした。
◇
本物の青兵衛
「王真加勢陀
王真
加勢陀」
悪霊
「声が枯れてきたな。
もう少しだ。」
妖刀斬 紅丸
「紅姫、決めてくだされ。
黄庵殿を悪霊に喰われてしまっても良いのか?
今、斬れば、黄庵は転生できるでござるが、悪霊になってしまっては魂が消滅するでござる。」
紅姫
「くっ。 黄庵、来世で俺を殴ってくれ。
紅姫は剣を構えようとした。
紅丸の背後3Mの位置に、時空を超えて、月夜が現れた。
月夜
「紅姫、ボクを置いて行くなんて、ひどいよ。
で、どんな状況?
黄庵に悪霊がとりついているね。
はらってもいいよね。」
紅姫
「できるのか?」
月夜
「当然だよ。
神様から、万能で最強のちからをもらったからね。
黄庵に、まとわりついている悪霊を吹き飛ばしてください。
【明光波】
」
悪霊
「ぎゃああー。」
悪霊は黄庵から離れた。
ボクは悪霊を手で捕まえた。
月夜
「ボクの仲間に何をやっているのかなあ?」
悪霊
「く、苦しい。」
月夜
「黄花の苦しみを味わってから、消滅してもらうからね。」
悪霊
「ぎゃああ、そ、その前に知りたいことがある。
知らないままだと未練が残って、復活してしまうぞ。」
月夜
「知的好奇心かな?
で、なにを聞きたいの?」
悪霊
「わしが青兵衛に勝てなかった理由を知りたい。」
月夜
「青兵衛って、だれのこと?」
青兵衛
「わたしです。
あなたとわたしでは、商売に対する心構えが違うのです。」
悪霊
「それを教えてくれえ!」
青兵衛
「【金愛同身】です。
お金と愛の両方が同じ人の身に宿っているから、わたしの商売は成功しました。
あなたの商売には愛が無いから、ひとをだまして手っ取り早く儲けようとしたのです。」
【読者様へ】
あなたの30秒で、この作品にパワーをください。
「ブックマーク」(2点)と、広告下(↓)の【見えない場所】にある「☆☆☆☆☆評価」(2~10点)を待っています。




