013 紅姫に会おう(5)紅丸の打算と最高の主
紅丸
「差し出がましいことを申し上げますが、姫様。」
紅姫
「なあに、紅丸?」
~ まわりに誰もいないため、紅姫は女性口調で話している。 ~
紅丸
「月夜様に頭を下げて、用心棒として雇ってもらいましょう。」
紅姫
「どうして?」
紅丸
「お気づきになっておられるはずです。
月夜様は、類稀な能力をお持ちです。」
紅姫
「紅丸の魔力を補充してくれたことね。」
紅丸
「それだけでなく、この屋敷の凄さがお分かりでござろう。」
紅姫
「そうね、お風呂も大名屋敷よりも立派だったわ。」
紅丸
「それでしたら、月夜様にお願いして、ここで生活したいと言おうではありませんか?」
紅姫
「わすれたの? 紅丸。」
紅丸
「なにをでござるか?」
紅姫
「明日の朝には出ていくように言われたわ。」
紅丸
「それは、紅姫様を男と思われたからです。」
紅姫
「そうかもしれないわ。
でも、それだけではないかもしれないわ。」
紅丸
「いま分からないことは後で考えませんか?」
紅姫
「では、いま考えるべきことは何だというの?」
紅丸
「月夜様に、女子であることを打ち明けましょう。
紅姫様もお気づきになられたでしょう。
月夜様のお部屋の他に、紅姫様のお部屋もありましたぞ。」
紅姫
「そうね。 わたしも見たわ。」
紅丸
「それでしたら、迷うことはありませんぞ。
男性の主でしたら、紅姫様の御身、つまり、貞操の危機がありまする。
が、月夜様は女性ですから、その心配がありません。
最高の主ではありませんか?」
紅姫
「でもね。 紅丸。
月夜様を私たちの使命に巻き込むことはできないわ。」
紅丸
「それでは、使命をあきらめるのですな。」
紅姫
「そんなことは言っていないわ。」
紅丸
「紅姫様は現実から目を背けすぎです。
この世に害なす妖刀を斬り倒すために必要なちからが何かお分かりのはずです。」
紅姫
「【妖刀斬 紅丸】
あなたのちからが必要よ。」
紅丸
「そうでござる。
そして、拙者に魔力を送るために、無理をされました。」
紅姫
「そうね、暴飲暴食したからね。
普通の人の3倍の量を飲み食いしても、ぜんぜん足りなかったわ。
そして、お金が無くなって、行き倒れてしまったわ。
満腹感を感じたのは、いつ振りかしらね。」
紅丸
「そのことを、月夜様はひと目で見抜かれました。」
紅姫
「そうね。 しかも、紅丸の完全な姿を見せてくれたわ。」
紅丸
「しかも、たいして疲れた様子も見受けられませぬ。」
紅姫
「すごいわよね。 本当に。」
紅丸
「弟子入りされますか? 月夜様に。」
紅姫
「お願いしようかしら。」
紅丸
「それが良いでござるな。」
紅姫
「もう寝ましょうか?」
紅丸
「おやすみなさいませ。 紅姫様」
◇
ボクは朝ごはんを用意していた。
月夜 ルナ
「光元国風の朝ごはんを、よろこんでくれる気がする。
白菜と御揚げの味噌汁、
押し麦と小豆入りのごはん、
卵巻きは、
砂糖入りと
砂糖なし
の2《に》種類を作っておこうかな。」
紅丸 紅姫
「月夜様、おはようございます。」
月夜 ルナ
「紅丸の人の方。 おはよう。
紅丸の刀の方。 おはよう。」
紅丸 刀
「おはようございます。
月夜様。」
月夜 ルナ
「朝ごはん、できているよ。
顔を洗ったら、いっしょに食べましょう。」
紅丸 紅姫
「かたじけない。」
◇
紅姫が、顔を洗って戻ってきた。
月夜 ルナ
「いただきます。」
紅丸 紅姫
「いただきます。
うーん、おいしいーーーー。
月夜様は料理が上手ですね。
お嫁さんに迎える殿方が、うらやましすぎます。」
月夜 ルナ
「ボクは、嫁ぐ気は無いよ。」
紅丸 紅姫
「男性と仲良くできないと、おっしゃっていましたね。」
月夜 ルナ
「そうだよ。
洗濯ができたから、ごはんが終わったら着替えてね。」
紅丸 紅姫
「洗濯までしてもらえたなんて、幸せすぎます。」
月夜 ルナ
「そして、紅丸の刀の方は、ボクのところへ来てね。
お別れする前に、最後の魔力補充をしておくよ。
能力向上呪文 【トゥート】」
紅丸 刀
「かたじけない。
月夜様。
おかげで、魔力に満ち満ちています。」
紅丸 紅姫
「実は、月夜様に打ち明けたいことがございます。」
月夜 ルナ
「なにかな?」
紅丸 紅姫
「わたしは、女性です。
本当の名前は、紅姫と申します。」
月夜 ルナ
「声は、女性らしく感じるけれど、その鍛え上げられた胸板は男性だよね。」
紅姫
「少々《しょうしょう》お待ちください。」
紅姫は上着を脱いで、ぐるぐる巻きにしていた白いサラシを全部取り外した。
そして、おおきな胸を手で隠しながら、おへそまで見せた。
紅姫
「これで、わたしが女性だと信じて頂けますか?」
とても恥ずかしそうな声で聞いてきた。
紅姫は、顔を赤くして、斜め下を見ていた。
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