超能力者達の組織2
俺は財布から一万円札を出してテーブルに置いた。
「ごめん、これで払っといて。じゃあまた明日」
財布の中にこれしかなかった。急にできた用事だからお釣りをもらっている暇がない。ミキミは律儀だからテーブルに置いた一万円を返すだろう。
男である俺は未知のウイルスで死ぬかもしれないからミキミに次に会えるかどうかわからない。
「マヒルちゃん待って!今度はどこ行くの?」
店を出ていこうとしたらミキミに止められた。
「マヒルちゃん、その人とどんな関係なのかわからないけど、ニュースは本当のことなの?それにマヒルちゃんがどこかに行く必要があるの?ほらタマコも何か言ってよ」
「待って、本当に世界で人が病死している。SNSでも取り上げられているし、都市伝説のサイトでも陰謀とかテロだとか騒いでいる。これはヘルメスさん案件かもしれない」
「そういうことだ。詳しくは言えないけどこの人には僕が必要みたいだから行くね。早く帰ってよ」
ミキミに続いてルカも俺を引き留めようとしているし、タマコは自身のスマホでSNSやいつも見ているオカルトサイトを見て現在起こっている状況を把握しようとしている。
俺を普通の女の子だと思っているルカはニュースがフェイクだと疑っていて俺が男の人とどこかへ行くのを嫌なのかそれで止めている。タマコはわからん。
俺はそんな彼女を残してアキラと共に店を出た。
「マヒルちゃん、急にごめん。ことがことだから」
「そんなことはいいから早く連れてって、それとウイルスのことを教えてよ」
俺とミキミ達のやり取りを見ていたアキラは何か気の利いたことを話そうとしたが、俺はそんなことはどうでもいいとアキラの言葉を遮った。いじけたのかそれ以降、アキラは不要なことは喋らなくなった。
アキラは簡潔にウイルスについて説明してくれた。ここでは話すことができない物が多いらしくいろいろ抜けている部分があるそうだ。
説明の内容はある人物が未知のウイルスに感染しているのにかかわらず、世界中に飛び回ったせいでウイルスがバラ撒かれたそうだ。そのせいで世界では四割近くの男性が死んだそうだ。
世界中を飛び回る部分にウイルスをバラ撒いたかもしれないと加害妄想的なことを脳裏によぎった。
最近、体調に変化はないが、能力で体を変化させているからウイルスに感染していても気づいていなかったかもしれない。
「アキラ!その子が例の子か?」
アキラに一人の男性が近づき、話しかけてきた。
男は二十代後半くらいの青年でアロハシャツとジーンズ姿でタバコをふかしていたようで右手に火が付いたタバコを持っていた。
「はい、この子が例の能力者の体売りの女です」
「早く行くか。俺の手を握ってくれ」
俺は二人のやり取りを見ているとアキラは俺が密かに趣味でやっている体の改造で使っている名前を言い始めてびっくりした。俺がやっていたことはスーパーアルティメット団は把握しているようだ。もしかすると俺が男だと言うこともバレているかもしれない。
前触れなく男は左手を差し出してきた。
俺は戸惑いながらも左利きの握手かなと思って左手を握った。
その瞬間に俺が立って場所が住宅街から無機質なコンクリートの壁に覆われた場所へ変わった。
男の能力によって移動したようだ。アキラは置いてきたみたいだ。
「今のはテレポート?ここはどこ?」
視界をコンクリートの壁の向こう側へ飛ばしたが、暗くて見えなかった。周囲を探索してみると複数の部屋を見つけた。そこには人が住んでいることからこの場に住む人の自室か宿泊部屋と考えられる。
「嬢ちゃん、よくテレポーテーションしたって気づいたな。ここがどこかは部外者には言えない。とりあえず誰かを呼んでくるわ。だから嬢ちゃんはここで待ってろ」
アロハシャツの男はコンクリートに覆われた部屋にポツンとついでとばかりにある扉から出て行った。俺は扉から男が離れたのを確認して部屋から脱出を試みるが、扉には鍵がかかっているのかかけられなかった。
ここがどこなのかわからないが、ここへテレポートで来たから簡単に抜け出すことができそうだ。
「こんにちは、マヒルちゃん!」
数分が経過してアロハシャツの男と西村が現れた。
よりにもよって西村かよって感じだけどこの際だから誰でもいい。
「俺は次行くわ」
「わかった。できるだけ有能な子だけを連れてきてくれ」
西村とアロハシャツの男はそんな感じでやり取りして、アロハシャツの男がテレポートで移動した。
「さて、マヒルちゃん。状況はどこまで把握しているのかな?」
「とりあえず、アキラから聞いたのは未知のウイルスのせいで世界中の男の人が四割ぐらい死んでいるのと超能力者がウイルスを持ってきて世界にバラまいたぐらい」
コンクリートの部屋から出て、廊下を歩きながらアキラから聞いた説明を思い出しながら、今起こっていることで知っている範囲で西村に話した。
廊下もコンクリートな壁でできており無機質な圧迫感を感じる。
「そのぐらい知っているなら状況か。じゃあこっちに入ろうか」
西村が近くの扉のドアノブを捻り、開けた。扉にはlobbyと書かれていた。
俺は西村と一緒に入った。




