超能力者達の組織
カフェで数時間ほど俺が体験した誘拐事件の全内容を面白可笑しく三人に語った。西村やアイちゃんの名前や超能力関係は伏せて話した。
始めのうちはヘルメスさんが登場しなかったため、タマコは面白なさそうにしていたが、後半部分(脚色部分多)のヘルメスさんの登場シーンは花を咲かせたようにテンションが上がり食い入るように聞いてくれた。
ミキミとルカはハラハラしたような顔をしながらも静かに聞いてくれた。
店員さんも平日で客が少なくて暇だったらしく、俺の話しに耳を傾けて聞いた。
「それで僕達を助けてくれたお兄さんのお金で高級ホテルに泊まったの」
「お金を出してくれたお兄さんって、遠足の時私達を追い回したお兄さんだったの?」
ミキミが何か気づいたのかそんなことを聞いてきた。
遠足の時、俺をストーカーの如く観察していた時の話だろう。今思えばあの時俺が超能力者なのか見極める為に追い回したのだろう。
あの人超能力者らしき人を見つけるたびにストーカーするのだろうか。それで警察沙汰になって、警察の人と仲良くなったのだろう。
「あの時のお兄さんだよ。あれからいろいろあってね。しつこいったらもう」
「いろいろって何よ。エッチなことじゃないでしょうね」
「エッチなこと!?それなどういうことなのマヒルちゃん」
ルカの発言に反応してミキミが顔を真っ赤にして俺に聞いてきた。
高校生でお年頃だし、ミキミもそういうのに興味を持つようになったようだ。
「そういうことはなかったよ。もう変な妄想し過ぎだよ。もう、二度と会わないと思っていたのに貨物船にヘリコプターで乗り込んでくるだもん。たぶんものすごくお金持ちだよ」
「へー、そんな人と付き合いたいとか思わないの?お金持ちなのに?」
タマコがそんなことを聞いてきた。
お金はあっても困らないけど西村と付き合うくらいならタマコを彼女にしてヘルメスさん語らいに付き合ったほうがましだ。俺はホモじゃないから男よりも女の方がいい。
今の俺は女だから女が好きということは百合なのか?でも心は男だからノンケなのか?深く哲学的な考えだ。
「ちょっとタマコちゃん!マヒルちゃんはそういうのは興味がないよ」
「ミキミが否定するんだよ。あんな奴よりミキミの方が好きだけど」
「マヒルちゃん、ありがとう」
「お?おう」
ミキミに手を握られて何故かお礼を言われた。
勢いにやれらた俺は生返事で返した。
注文した紅茶やサンドイッチを口に運びながら話をする。今回はタマコが大人しい。今朝、ヘルメスさんの話が聞けるから楽しみにしていたはずなのに俺の話しを聞いてもいつものヘルメスさん語らいに発展しない。でもルカやミキミの話に入って談笑している。いつも通りにヘルメスさん語りが始まっても家に帰りたくなるだけだ。見た感じはいつも通りにタマコだ。ただヘルメスさん語りをしないだけで。
不思議と思いながらも三人の少女達の会話に混ざる。
「マヒルちゃん!不味いことになった!今から一緒に来てほしい!」
そろそろ帰ろうかと話しているとカフェのドアを勢いよく開けたアキラが現れた。
能力者関係で来るのはわかっていた。二十分前に変な空間的な違和感を感じて店の周囲を視界で監視していた。
「ちょっと何?不味い事って?いいや、余計なことは知りたくない。リンちゃんやアイちゃん達によろしくって伝えといて。シッシッ」
ミキミ達や店員さんはアキラが来たことに驚いて思考を停止していたので、少しばかり沈黙が続いた。
ルカやタマコがコイツの知り合いでしょ何か言ってあげな的な視線が刺さった俺は不機嫌そうにアキラに質問をしようとしたが、何かしら面倒ごとに巻き込まれそうなので虫を払うそぶりでアキラに向けて手を振る。
「本当に不味いんだよマヒルちゃん。そうだ。このスマホを見てくれ」
俺の態度を見ても食い下がるアキラは何かを思い出したかのように自身のスマホを見せつけた。
それはニュースアプリの記事だった。
内容は。
「は?なんだよ。これ」
俺はアキラのスマホを奪い取って食い入るように画面に映る文章を読んだ。
「そんなに驚いてどうしたの?」
「ニュースアプリだよね?それ。なんて書いてあるの?」
「マヒルちゃんどうしたの?顔が怖いよ。私達も見せて」
ミキミ達は俺の驚き方が気になったのかアキラのスマホ画面を覗きこむ。
「自分達のスマホで検索してみるといいよ。世界中の男性の四割が死亡したらしい。この記事が偽りでなければ」
記事には世界中の男性の四割かが未知のウイルスに感染して死亡と書かれていた。
何故、俺を必要なのか察した。俺の能力でニュースに乗っているウイルスで死なない人を増やす為にアキラは俺の下に駆け付けたのだろう。
さっきほど感じた違和感はアキラ達の仲間の能力で見つかったから感じたものだろう。
でも俺はあの違和感を能力由来の物だと気づくことができたのだろうと疑問に思うが、そんなことは今はどうでもいい。
蔓延しているウイルスは男である俺にも感染する可能性があるため、アキラ達に協力せざるを得なくなった。
日本でも数万人単位で人が死んでいるわけでもしかしたらすでに俺も感染しているかもしれない。男の姿に戻ったら死ぬかもしれない。
誰だって死ぬのは嫌だろう。俺だってそうだ。せっかくこんなすごい能力に目覚めたのに若くして死んでいられない。
「わかったついて行く」
俺はアキラをまっすぐ見つめてこう言った。




