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帰り道

 女の姿になってミキミがいる教室に行くとルカとミキミが喋っていた。


「マヒルちゃん!」

「一組があの状況だから来るのが遅くなると思っていたよ」

「隣のクラスだし、窓から来ようと思ったよ」


 いち早く俺の存在に気づいたミキミが手を振り、ルカは人でごった返しの状態の一組のことを言うので冗談で返す。

 とりあえず二組に入って二人の会話に混ざることにした。


「もの凄い人数だった。あの人達人の迷惑を考えてほしいよね」


 一組に集まっている暇人達の愚痴をこぼす。


「一組に人が集まっているよね」

「出るのに一苦労で疲れたよ。まったく暇な人達だよ」

「よくあの状況から教室を抜け出せたね。マヒルちゃん目当てで集まっているんだよね」

「まあね。僕は人に気づかれることなく人ごみの中を抜けだすのは得意なんだ」


 誰にも気づかれないハイドモードで人の間を縫うように移動できるし、テレポートでどこでもゼロ秒でいけるから俺にとっては人で入口を塞がれていても関係ない。


「それに先生達が帰れって言っているのに何故に集まるのか。さっさと帰ればいいのに」

「マヒルちゃんは学校一の美少女ってもっぱらの噂だから一目でも見たいから来ているみたいだよ。羨ましいね。この超絶美少女」


 ルカが笑いながら気恥ずかしいことを言う。誰が超絶美少女だ。

 普通に整っているとは思うが、美少女ではない。

 てか一組に集まっている連中は俺の女の姿を見る可能性は極めて低いから集まっても無駄だ。さっき教室から出る時は男の姿で出てきたわけだし、学校にいるときもハイドモードで周囲から視認されにくくなっているから。


「やめてくれ。僕は目立ちたくないんだよね。いい迷惑だよ。朝だって部活ができないって文句を言いに来ていたんだから」

「祭りみたいなこの騒ぎは数日で収まると思うよ」


 数日も教室のドアが人でふさがれる日々が続くのか。クラスメイトにとって地獄の数日だろうな。電話対応で地獄を見ている先生達と比べたら微々たる苦労だろうけど。


「タマコが来たら、このあとどうする?」

「帰るんじゃないの?マヒルちゃんが誘拐されたばかりだし」

「そうだよ。せっかく早く帰れるんだし早く帰ろうよ」

「それはダメ。朝約束したヘルメスさんの話を聞いていないからマヒルだけは帰らせない」


 静かに来ていたタマコに後ろから抱きしめるようにホールドされた。視界で見ていたので近づいていたのは知っていたけど後ろから抱きしめられるとは思わなかった。

 背中にタマコの柔らかな膨らみが潰れている感触がする。うん、見ためより大きく感じる。

 話すまで離さないと言わんばかりのタマコにホールドされているから帰ることができない。せっかく午前で学校が終わったばかりなのにゲームができないなんてついてないな。

 タマコに掴まったからにはヘルメスさん語らいに一時間以上付き合わされるだろうな。


「わかったから離してよ」

「わかったでも逃げるから手は繋いで」


 タマコが離す代わりに手を繋いでと言うのでつないだ。タマコの手は冷え性なのか冷たかった。


「でこれからどこ行くの?学校に残っていても先生にどやされるだろうし」

「また私の家でもいいよ?」

「ミキミの家のお手伝いさんに悪いよ。誰かの家じゃなくて別な場所がいいな。軽く食べに行こう」

「マヒルちゃんはどこがいいの?」


 ミキミの家にこのメンバーで行って、帰る時にタマコが俺の家までついてきそうだ。なので別の場所に行くことを提案した。

 もうすぐお昼だしね。


「ファミレスは徒歩で一時間もかかるし、近場の回転ずしは気分じゃないしからな」


 ミキミ達にテレポートだけ話してしまおうか。ミキミには呪いみたいな感じで性別を変えられるって話したし、テレポートのことを話したら世界中にどこへでも行きたい場所に連れていける。

 でもその後いろいろ面倒そうだな。


「三人で行ったカフェに行こう。あの店なら学校から近いから」


 俺が悩んでいるとタマコがカフェに行こうと提案が出た。どこのカフェだろう。きっとルカとミキミと三人で行ったカフェだろう。この際だからどこでもいいや。

 ミキミがタマコ達と仲良くしていることに少し嬉しいと思った。


「ああ、あの時行ったカフェね。いいんじゃない」

「カフェ?三人で行ったの?いいな。私も呼んでほしかったよ」


 ルカが分かったような反応とは裏腹にミキミが寂しそうに言う。

 あれ?思っていた反応とは違うぞ?ミキミに心当たりがなさそうだ。

 じゃあ、俺とルカとタマコの三人で行ったことになる。このメンバーで行ったか。ああ、初めてルカとタマコに絡まれた時に行ったお店か。


「ああ、二人に絡まれた時に行ったカフェのことか」

「マヒルちゃん酷い。一ヶ月しか経ってないのにもう忘れているの?あのお店で入学祝いしたのに?」

「入学祝いしたの?マヒルちゃんなんで私を呼ばなかったの」


 仲間外れと感じたのだろう。ミキミが目元に涙を浮かべて俺に訴えかけてきたので必死に宥める。


「あれはルカが、初対面なのに僕をカフェに、そんなことより。入学祝いというよりあれは自己紹介みたいな感じで三年間仲よくしましょう。ってノリな感じだったよ。どう見ても高校入学おめでとうって感じじゃない。ほぼタマコのヘルメスさん語らいだった」

「今日はミキミも一緒に行こう」


 ルカとタマコと初めて会った時のことをだんだん思い出してきた。あんな出会いでこんなに仲良くなれる物だなと思いながら、あの時行ったカフェに向かった。

 あの時と一緒でヘルメスさん語らいだけになりそうだ。

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