誘拐5
アイちゃんを寝かせたところで保健室を出ようとしたら、少女に服を掴まれた。
「どうした?一緒に行くのか?僕はさっきのところで大乱闘騒ぎをしている大人達をお片付けしにいくんだけど」
少女はだんまりを続け、首を横に振るう。
なにか言いたいことがあるようだけど、だんまりしているならな。話したくなったら自分から口をひらくだろう。
少女を誘ったが、一緒に行く気はない。ついてくるならそれで構わないが、能力を見られないように注意しないと。
「じゃあ、アイちゃんをよろしく」
少女の手を振りほどいて、アイちゃんを任せた。幼女の方はアイちゃんの能力が効いているのかポケーとしている。
アイちゃんの能力は結構厄介な能力みたいだ。今後、会うことは少ないだろうけど距離を置こう。
船に乗る船員の位置の把握が終わったから保健室に視界を置いてきた。まあ見張りみたいな感じだ。アイちゃんは知り合いだし、死んだら夢見が悪い。
少女達と一緒だけど、幼女の方はアイちゃんの能力でまともに動くことはできないにしても少女は能力で人が殺せそうだし、念の為だ。
「もう終わっていたか」
誘拐犯達が殴り合っていた場所は大乱闘はすでに終わっていた。殴り合っていた人達は倒れている。後はおもちゃをおもちゃ箱に入れるみたいに誘拐犯達をコンテナにぶち込んでいく。
力なく気絶している大人達はまるで人形みたいで簡単にコンテナに閉じ込めることができた。銃などの武器はちゃんと没収して海に捨てた。
コンテナ一つパンパンに詰め込んだけど俺も狭いスーツケースに閉じ込められたし、因果応報だよね。
保健室に戻る際に食料を得るために厨房に忍び込んだ。特に人がいないのは知っていたし、堂々と食べ物を持ち帰えれた。それと寄り道もした。
食べる物を持って保健室を戻るとアイちゃんは目覚めていた。視界で見ていたから知っていた。
「おはようアイちゃん」
「おはようじゃないわよ。どこ行っていたのよ?目が覚めたらマヒルちゃんがいないし、その子達もまともに話さないし、状況が分からなくて困っていたのよ。ところでまだ船の上よね?」
「そうだよ。食料を探したり帰る方法探していたんだ。ところでアイちゃんって大型船の操縦できる?」
持ってきた食べ物を備え付けのテーブルに置きながらアイちゃんの質問に答えて、質問した。
どう見てもアイちゃんは大型の貨物船を操縦できるようには見えないけどもしかしたらお父さんやお爺さんが操縦できて、その血の定めみたいな感じで操縦できる可能性もないわけではないはず。
「そんなのできないわよ。私は見た通り普通の女子大学生よ」
「普通の女子大学生!」
あれアイちゃんって大学生なのか?初めて知った。小学生くらいかなって思っていたけどまさか大学生とは。
それを言ったらアイちゃんは怒りそうだから口にしないけど。
「急になんなのよ?そんなに驚いて、能力者だから普通じゃないわね。話が脱線したじゃないの。船を操縦は置いといて一人で船の中を探検してきたんでしょ?何かわかったの?」
「探検か、とりあえずアイちゃんが能力で無力化した誘拐犯達はコンテナに閉じ込めておいたけど、他に仲間がいるみたい。それとその子達の友達が三人いるみたい」
寄り道で入手した資料をアイちゃんに渡した。
資料の中にはアイちゃんの個人情報や少女達の情報、ここにはいない子達の情報が入っていた。
俺の個人情報もあった。その情報の中に男(女?)の文字の羅列があったので細かく破いて海に捨てた。
電子の時代に今時紙の資料なんてな。処分するには簡単だったけど。もしかしたら俺達の情報はパソコンのデータ上にあるかもしれないけど。
資料のおかげで少女と幼女の名前を知ることができた。少女とか幼女とか呼びにくかった。
その前に何故にアイちゃんが目覚めたのに幼女の方はいまだにぽけーとしているのだろうか。
「アイちゃん、その子まだかかっているようだけど能力を解除しないの?」
「えっ?とっくに能力の効果は切れているわよ?」
と言い返された。
アイちゃんの能力が切れていると言うことはこの子の様子はこれが素の状態なのだろうか。誘拐犯達が連れてくる前のことはよく見なかった。
少女の方を見る。そういえば不安そうな表情をしているが幼女に対して心配している素振りが見えない。
ぽけーとマヌケな状態が素なのだろう。
「で?この子達を助けるの?」
「まあね。いる場所も分かったし、知ってしまった以上見捨てることもできないからね。この部屋に籠っていても何もならないでしょ?」
乗りかかった船だ。今すぐ帰ってゲームをしたいから帰りたいが、実家がどういう状況になっているのかが怖い。ヨルノとミキミが上手く誤魔化していることを願いたい。
悩ましい現実に目を瞑って、目の前のことを考えよう。ギリギリまで引き延ばせば時間が解決してくれるはずだ。




