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誘拐4

 囲まれた俺は、この場を切り抜けられるか考えていた。隣のアイちゃんは囲まれた状況を絶望的と受け止めて焦りと恐怖が混じった表情をしている。


「マヒルちゃんこれどうするのよ」

「おやおや、捕まえたネズミが逃げ出している。大人しく戻るなら痛くはしねぇ」


 と現れた男達の中で一番小さな小男が言う。それと何人かは俺達に銃口を向けている。

 向けられている銃口が一つ二つなら、俺でもなんとかできたが、アイちゃんを守りながら十方向からくる銃弾の雨を捌ききれない。逃げる手を考える。


「こっちにはお前らみたいな雑魚な能力者じゃなくて兵器みたいな能力者がいるんだ。おい」


 黙る俺達に痺れを切らしたのか、小男が仲間に合図する。仲間が連れてきていたおまけの二人、俺達の前に出させる。

 おまけと言うのは女の子二人のことだ。一人は枷をつけた少女とその妹らしい幼女だ。誘拐犯達は幼女の方に銃を突き付けて、少女に対して顎をしゃくる仕草をする。

 少女は嫌々と誘拐犯の指示に従い両手を俺達に向けている。

 二人の他に三人いるみたい。


「ぎゃあ、足が!」

「ぐっ」


 気が付けば、アイちゃんの右足が曲がらない方向に曲がって倒れた。次は俺の足が曲がった。視界で足の中を確認してみたが、骨が折れていた。骨が折れていても俺は立つことはできているが、軽く押されたら倒れてしまう。

 これは念力の類いの能力か。ジョブみたいな感じで足を骨折させたのだろう。こんな足ではまともに歩くことができなくなった。精神的に追い詰める為に骨折させたかはわからないが、俺には大したダメージにならない。なんだって一瞬で直すことができるのだから。


「いった。その子も能力者か。その小さい子も」

「ご名答、お前みたいな身体をいじくるしか能がないヤツと違ってコイツは触れずに物を動かすことができる。しかも本気を出せば一トン以上の物体を動かすことができる。それとだな」


 小男は自慢げにペラペラと喋ってくれるからその間に折られた足を治療して、アイちゃんのも治療する。

 足が元に戻ったアイちゃんは長ったらしく喋り続ける小男やその仲間達を睨んでいた。

 気持ちはわかる。俺もアイちゃんと同じで長ったらしく喋る人は嫌いだよ。それと人の都合も考えずに誘拐する人も。


「怪我が治ったか。君の能力は怪我にも効くのか。ますます欲しい。こんな仕事柄、怪我が多いからすぐに怪我を治せる能力が、ぶご!」


 俺の能力を見た小男は心底嬉しそうに話していたが、突如小男の仲間が小男の顔面を殴った。それと同時に幼女に銃を突き付けていた男も隣にいた仲間に殴られた。銃のせいで身動きを取れなかった幼女は男達が殴るのを事前に知っていたかのように急に俺達の方に走り出した。

 アイちゃんが幼女を抱きとめる。


「これが私の本当の能力。目が合った生き物を精神に操れる能力よ」


 能力?アイちゃんの能力は相手の思考を知ることができる能力のはずだ。目の前で起きている?男達が必死に殴り合っている光景はカオスだ。俺と同じく能力を隠していたか。

 アイちゃんが言う精神を操れる能力。マインドコントロール的な感じで現在殴り合っている男達を操っているというのか。

 男達に従順に従っていた少女も乱闘騒ぎで困惑してどうしたらいいかわからないような顔をしている。


「マヒルちゃんもう無理、効果が切れる。頭が痛い」


 鼻血を出し始めたアイちゃんは倒れてしまった。

 この能力はアイちゃんにとって取っておいきの切り札ということか。他人を操れる能力はとても強力だ。しかも能力者の集まりの中に所属しているアイちゃんはその気になれば俺も操れる力だ。悪質に強い能力だ。

 欠点は今のアイちゃんを見る限り、短時間しか効果が無いのだろう。だが、それを加味しても複数の男を操れるのは強い。

 アイちゃんが倒れてもなお、男達はまだ一心不乱に殴り合っている。


「しゃーないか。とりあえず寝かせられる場所に運ぶか。お前らもこい。無理矢理従わせられていたのだろう」


 アイちゃんを背負いって、少女と幼女に声をかけた。

 幼女の方はアイちゃんの能力がまだ聞いているのか反応が薄かったが、少女の方は状況を理解してくれたのか頷いてくれた。


「この船にお前以外に子供、能力者にいるのか?」


 視界で横になれる場所を探してながら、少女に問いを投げかけた。

 後で殴り合っていた誘拐犯はコンテナに放り込むとして、船は動いているから誘拐犯の仲間はまだいるだろう。


「・・・」


 少女は何も答えることなく黙っていた。

 急に出てきた俺達に信用できないのはわかっているけど俺の問いぐらいには答えてほしいな。幼女を救ったわけだし、まあ、救ったのはアイちゃんだけど。

 俺の後について行くのは少なからず誘拐犯達に嫌々従っていたっぽいからここから逃げ出したい感じかな。


「だんまりね。君がそうしたいならいいけど、君達以外の子供三人ね。その中に能力者がいるかはわからないけどね」

「!?」


 俺の言葉に少女は驚愕した顔をした。

 そんなことよりも休める場所を見つけた。保健室のような一室だ。アイちゃんをそこで寝かせて、まだ殴り合ているであろう誘拐犯をコンテナに閉じ込めなくちゃ。

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