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誘拐3

 急に声がしたからびっくりした。これからコンテナの外に出る気でいたから特に箱の中身を調べていなかったから、まさか俺以外にも誘拐されていた人がいたとは思わなかった。

 声が高めの声だったから入っているのは女性に違いないと思い視界で中を覗いたら、まさか箱の中に入っていたのはアイちゃんだった。

 俺は狭いスーツケースだったのにアイちゃんは一畳ぐらいの大きさの箱に入れられているのは不公平だと思う。


「アイちゃん?」

「私のこと知っているの?てか早くここから出してよ」


 騒がしかったのでアイちゃんを箱から出してやった。


「マヒルちゃん!貴女もなの?!」


 自分を箱から出した俺を見て驚いたようだ。そして彼女は俺がここにいることを咄嗟に察したようだ。

 俺もアイちゃんと同じ理由でここにいるのを理解してくれて助かる。俺の場合は自力で脱出することができたけど、再び狙われる可能性があるから大人しくしていたわけだ。

 それから俺とアイちゃんはお互いの状況を話し合った。


「マヒルちゃんも災難だったわね。でも助かったわ。マヒルちゃんがいてくれて。一人でこんな暗くて狭い場所に何時間も閉じ込められたらおかしくなってしまうわ」

「それよりもここから早く脱出しよう。さもないと海に出ちゃうから」

「海?海って何よ?もしかして私達って船に乗せられたの」


 アイちゃんは今船の上に乗っていることは知らなかったようだ。買い物中に複数の人に誘拐され、入っていた箱に閉じ込められて今に至るそうだ。

 奇遇だね俺も買い物中に誘拐されたんだ。俺の場合は窮屈なスーツケースだったけど。


「ひとまずはこのコンテナから出ることだね」

「出るってどうやって?私達を逃がさないように外から鍵がかかっているはずよ?」

「僕に任せて、アイちゃんはそこで見てて、それとこれを持っていて」

「え?スマホ。貴女これ取り上げられなかったの?着信?ちょっとマヒルちゃん電話が来たわよ」


 俺はアイちゃんにスマホを押し付けた。スマホを押し付けられたアイちゃんは一瞬戸惑いを見せると同時にヨルノから電話がきたようだ。

 アイちゃんは迷いながらも電話に出た。アイちゃんがヨルノと話している間に俺はコンテナの扉に取り掛かる。扉は中から開けられないようになっている。視界とテレポートを駆使して開けられるか試してみる。ちなみに視界で船全体を見てきたから当分見張りは来ない。物音を断てない限りは誰も来ないだろう。

 右手を部分テレポートで外の扉の前に出してコンテナのドアノブを捻るが、南京錠が扉の開放を邪魔していたのでテレポートで南京錠を手元に取り寄せた。

 これでコンテナから脱出はできたが、船は出発していた。

 出発したばかりだから泳いで行ける距離だ。たぶん。ただ、視界で余計な物を見てしまった。これじゃ帰るに帰れない。


「アイちゃん開いたよ」

「開いたの?それは別として貴女の妹さんとても心配していたわよ?出なさいよ」


 アイちゃんからスマホを返された。返されたスマホはまだ電話がつながっていたので切った。


「ちょっと電話に出てあげなさいよ」

「ヨルノには悪いけど今からはできるだけ話すのはひかえよう」


 アイちゃんの苦情に答えた後、スマホをポケットにしまうふりをしてテレポートで自室の机の上に置いた。

 アイちゃんを連れてコンテナを脱出して、他のコンテナの陰に隠れて見張りがいない場所を縫うように移動した。周りは月明かりがなくとても暗いが、目を暗くても見えるようにしているので躓くことはない。アイちゃんにも同様に見えるようにしている。


「この船に私達以外乗っていないの?」


 ここまで船の中を探索して誰一人見かけないのでアイちゃんはそんなことを呟いた。


「いるよ。ただ人がいないところを避けているだけで」

「なんで人がいる場所が分かるのよ?どういうわけ?」

「まあ、人の匂いが薄い方向を選んでいる。もしかしたら人がいるかもしれないからアイちゃんも人を見かけたら言ってほしい」


 苦しい言い訳を吐いた。

 アイちゃんには視界のことは黙っていた方がいい。西村側の人間だし、アイちゃんに俺が複数の能力を持っていることは知られては困ることはないと思うけど言わない方がいいだろう。

 でもアイちゃんの能力は人が考えていることわかる能力のはずだから、気づいているかもしれない。


 囲まれている?

 状況確認の為に周囲に向けて視界を飛ばして気づいたが、俺達囲むように誘拐犯が集まっている。それにおまけも連れている。

 どこでバレた?俺達がいたコンテナは南京錠を元通りにしたからバレるには早い。コンテナからここまで人がいない場所通ってきたからバレる可能性は低いと思っていたけどまさか監視カメラでも設置していたか。ザル警備だなって思っていたけど人がいない場所中心に設置していたかもしれない。

 そんなのがあるとは思わなかった。


「アイちゃん止まって、僕達が逃げ出したのがバレたみたい」

「えっ!?嘘でしょ」

「もうすでに囲まれている」


 俺がアイちゃんにそう告げると誘拐犯がゾロゾロと姿を現した。

 何人か銃を持っている。俺にとって豆鉄砲とそう変わりはしないけどアイちゃんとっては脅威的な武器だ。しかも相手にはおまけもいるしな。

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