姉妹でお出かけ4
目的の商店街に到着した。
過疎化が加速している商店街の街中を歩く。
「こんなところにお店があったんだね」
「まあ、ほとんどはモールとかに客を取られて風前の灯状態だけどね。でもご近所さんで車を持っていない人はここを利用しているよ」
車を十分ほど走らせる場所にモールとか大きなスーパーができて以降、夕方なのに人がそんなにいない。もうここは手遅れかもしれない。でも店をたたまないのは不思議だ。
車など持たない俺達のような学生にはありがたい場所だ。学校から歩ける距離でコロッケを買い食いできる肉屋や一見やっていなさそうな食堂は近所を縄張りにしている小学生共や中学生共をよく見かけるが、外で遊ぶ奴らはごく一部でほとんど学校が終われば塾や家でゲーム三昧だろう。
俺も学校が終わればゲーム三昧の側だけど。
「お姉ちゃん達早く服屋に行こう」
ヨルノの後を追って商店街の服屋に入る。
個人経営で店自体は規模は小さいが、店中のいたるところに突っ張り棒にぎゅうぎゅうに詰められた商品でさらに店が小さく感じる。
店の隅にある女性用下着売り場に向かう。
「決まったか?」
「待ってこれとこれにしたいけどどっちがいいと思う?」
早く帰ってゲームや体売りの女の準備がしたい俺は急かすようにヨルノに声をかける。ヨルノは二つのブラを手に取って悩んで俺とミキミに聞いてきた。
ここは小さな個人経営の服屋で下着の種類が少ないからパパっと選んで帰れるはず踏んだのにヨルノは種類が少ない下着に迷っている。口止め料で渡した金で思う存分買えばいいのにと思っていると。
「ヨルノちゃんはそれが似合うと思うよ。そっちは」
ミキミがヨルノが悩んでいた下着を選んでくれた。
本当に姉妹のようだ。
「お姉ちゃんはどっちが」
「ミキミが選んだヤツがいいと思うぞ」
「わかった買ってくる」
俺はミキミに便乗するように適当に答えた。それでヨルノは納得したのかレジがある店の奥に向かっていった。
「お店の人には悪いけどここでよかったの?車を出せばモールで買い物できたよね?」
「ヨルノがここがいいって言っていたからな。俺もここがいいかって思っていたとこらだ」
早く帰れそうだからな。モールとか大きいところだと選ぶのに時間がかかっていたと思う。だが、一着でよかったのか?これから使うのに一着で済むはずがない。ここでサイズを確認して近いサイズをネットで注文するのか?
そこはヨルノの考えだ。俺が余計なことを言えば帰る時間が延びるかもしれない。
別の物が欲しかったら、母さんにあたりに頼んで連れて行ってもらうだろう。
「そうなの。本人がいいのなら」
「目的の物は買えたし、田中さんを呼ばなくていいのか?ここからだと家から遠いだろ」
「遠いけど歩いて帰れる距離だから大丈夫だよ」
さっき俺達、ミキミを狙う奴らがいたからな。早めに迎えを呼んでもらいたい。ミキミの身の安全のためにも。
ミキミが呼ばないなら俺が送っていくしかないか。ヨルノは一人で帰れるだろうし。
「お待たせ」
丁度、会計を済ませたヨルノが戻ってきたので店を出た。
帰り道ミキミを送ることとなったのでヨルノを先に帰らせようとしたら。
「ミキミちゃんを送ってくるんだね。私も付き合うよ」
と言うもんだからしょうがなく三人でミキミの家へと向かった。
日が暮れてあたりが暗くなってきた。
「お姉ちゃん、ゴールデンウィークの時ミキミちゃんの家にお泊りしていたの!」
「うん、そこでマヒルちゃんがね。かっこよく飛びだしいってね」
ミキミとヨルノの二人はゴールデンウィークの時の話をしていた。二人は俺の秘密(女になれる)のことを確認し合うように話すうちに会話が弾み、いつ頃秘密を知ったのかを話していた。そこでつながるようにゴールデンウィークでミキミの家に泊まった時の話になり、ミキミは俺がどんなにかっこよく空き巣の前に現れたかを語った。
俺は二人の会話に混ざることなく聞いていた。
ヘルメスさんが現れてめちゃくちゃにしたのにミキミはよく覚えているな。あの時はヨルノに電話したとき女だったな。ん?
二人の会話の感想を脳内で浮かべていたら。歩く俺らの横に一台の車が止まった。
見覚えのない車だったからか俺は扉が開かれる直前に道の隅にミキミとヨルノを突き飛ばして、二人を庇うように扉の前に出た。
さっきの奴らの仲間か?やっぱりミキミが狙いか。
車の扉が開かれて車に乗る人物を見る。頭部はフードで隠れて、素顔はマスクとサングラスで隠されているが、ガタイ的には男だと言うことが分かった。
さて、能力を使うか。でもミキミ達がいる前では。どうしたものか。後ろの二人を連れて逃げるにしても向こうは車に乗っているしな。
余裕でこの場面をどうしようか考えていると手を男達に掴まれて車に乗せられてしまった。
あれ?狙いはミキミじゃなくて俺なのかい。
男達は何回も誘拐をしたことがあるのか、俺を車に引きづり込んだ男は手慣れた手つきで俺の手を縛り、口を塞いだ。
一分足らずで車が走っていった。
残されたミキミとヨルノは何が起きたか理解できずに走り去る車を見送ることしかできなかった。
動き出したのはその五分後だった。




