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痴態を晒す

 体売りの女ロールは三日坊主ならぬ二日坊主でやめてしまった。完全にやめたわけではない。いやまあ、気分が乗らなかったから今日は休もうと思ったら次の日も、そのまた次の日も同じ理由で休んでしまった。いつかは体売りの女を復帰するつもりでいる。

 すべてはヨルノに女の姿を見られたからである。そして妹とどう接したらいいのか分からなくなった。


 今日の朝だって特に話もせずに学校に行ってしまった。見られる前はコミュニケーションを取っていたような気がする。ってあれ?改めて思い返してみると普段と変わらないぞ。ヨルノと大した会話もしなければ、同じ家にいるのにあまり顔を合わせない。

 いつも通りの日常なのではないだろうか?でもヨルノがいつもより俺を見ているような気がする。それは俺の考えすぎなのだろうか。

 だが、今までは能力等をうまく隠せていたからこんなケースに陥ることなんてなかったし、ずっと隠し通せると信じていたから家族に見つかるとは思いもしなかった。


「みたいな感じで妹に恥ずかしい姿を見せてしまったんだ。妹はそんな僕を見て凄くドン引きしていてね。妹とどんな顔をして会えばいいのか分からなくなったの。これどうすればいいと思う?」


 昼休みいつもの階段の踊り場で昼食をミキミ達と食べている時に相談をしてみた。


「マヒルちゃんって妹さんいたんだ」

「ヨルノちゃんって言うの。とてもいい子で可愛んだ。小学生の頃はいつもマヒルちゃんの後ろについてきてね。三人でよく遊んだんだ」


 ルカの呟きにミキミが昔を思い出すように語る。家の近所にはヨルノの同年代の子がいなかった。帰る方向が同じ友達もいなかったからミキミとよく帰っているのを見かけたな。ほぼミキミに付き合わされて俺も一緒に帰るはめになったのだが、あの時から能力が使えていたらよかったのに。

 ミキミに付き合わされていたからゲームする時間も削られた。

 当時の俺は面と受かって遊ばないと言える子供ではなかった。その場空気に流されるだけの子供だった。


「仲のいい姉妹なのね。でも気にしなくていいじゃない?妹さんに見られたものはしょうがないんだし、気まずいのは今の内だけでいつも通りにしていればお互いなれるよ。いつの間にか気にしていたことも忘れて普通に接しられるって。それよりさ、そんなことよりもこの間、噂のアカウントにメッセージ送ったんだけど」

「気にしなくていいって、僕はそんなに面の皮が厚くないんだけど。てか気にしていなかったら相談してないって、タマコは聞いてないか」


 自分の世界に入ったタマコは噂の体売りの女のアカウントにメッセージを送ったことを話し出したのでスルーを決め込んだ。いつものことだし、一人で話していても気にならなくなった。


「私もタマコの言う通りだと思うけどね。変に意識するから気まずく感じるんだよ。ヨルノちゃんだっけ?の前でも平常心を保って、今度の休みにでも買い物に連れてってあげな。ちなみに中学生?小学生?」

「中学生」


 タマコやルカが言うように俺が普通に接しろと言うが、それが難しい。恥ずかしい姿を妹に見られたとしか説明してない二人は俺が気にし過ぎと思っているようだし。俺の気持ちを理解してもらうには俺が元々男で超能力で女になれることを説明しなくてはならない。これ以上誰かに俺が女になれることを知られるわけにはいかない。


 気にし過ぎか。帰ったら頑張ってヨルノと話してみよう。

 学校が終わり、家で家族と静かに夕食を食べ終えてヨルノと二人っきりになれるタイミングを計っていた。

 ヨルノに女の姿を見られて数日が経ったが、両親の態度に変化がない。

 ヨルノは律儀にも両親には俺のことを話していないようだ。ほしい物が多いお年頃だから案外口止め料が効いたのかもしれないな。相手を黙らすのに賄賂ってうってつけだ。

 俺は自室に籠りヨルノが自室で勉強しに戻るタイミングで押し入った。


「ちょっとお兄ちゃんなんで勝手入ってくるの!これから勉強するのに」

「二人だけで話したいことがあるんだ。いいだろ?」


 俺が勝手に自室に入ったことで不機嫌な態度を取り、追い出そうとするヨルノに俺が話したいことがあると説明したら、諦めてくれた。

 お互いどんな感じで接していいかわからなくなっていたから沈黙が数分、最初に口を開いたのは俺だ。


「今度二人で出かけないか?俺はもちろんこの姿で」


 女の姿になった。

 目の前で女の姿になったことでヨルノは声をこそ出さなかったものの衝撃的な物を見たように目を大きく開けた。

 目の前で兄が女の姿に変わったのを直接見たら、だいぶショッキングか。


「あの時見たのは夢じゃなくて現実で肩から腕が生えた女の人もお兄ちゃん。信じたくないけど」

「ヨルノ」


 感情に震えるヨルノに俺は一言も声をかけられなかった。あの夜のことはヨルノは夢かなんかと思っていたようで、今俺が女に変身したことであの夜が本当だったと証拠になってしまった。

 やはりこんな兄は嫌なのか。なら西村の仲間で記憶を弄れる仲間に頼んでヨルノの記憶を消してもらうしかない。記憶を消せる能力者がいればいいんだけど。


「なんてすごいの!私姉が欲しかったの!」

「はい?」


 ヨルノが予想とは違う反応をして思わず聞き返してしまった。

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