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体売りの女7

 先ほどの来たばかりの依頼でとある島に来た。

 この島にいる人物が肌に光る魔法陣を入れてほしいと言うわけで来たのだが、正直気分が乗らない。さきほど妹に女の子の姿を見られてしまったのである。このまま帰ろうかなって思いを押しのける。気分をリセットするために引き受けてしまった。妹に見られたダメージが大きくが、引き受けたからにはやり遂げなければならない。


「今日はこれでやめよ。さて、依頼者はどこだろう」


 この島は俺が勝手に居座っている島より半分くらいの大きさで人が50人ほど暮らしている。島の小さな港には数人ほどの人影が見える。視界で覗き見たら夜釣りを楽しむおっちゃん達だった。

 流石に夜釣りを楽しむおっちゃんが肌に光る魔法陣を入れてほしいと依頼するわけないだろう。

 港で待っているってDMで行っていたのにな。港にはおっちゃん達しかいない。


「そこの娘!」


 と港内を歩き回っていると甲高い声で声をかけられた。夜釣りをするおっちゃんに見つかったと思って身構えたが、振り返るちんまりとした黒布がそこにあった。


「娘!お前が体売りの女とやらか?」

「はい。そうですが、あなたが依頼者の方ですね」


 俺は黒布から声が聞こえたことで人が布を被っていると理解した。肌に光る魔法陣を入れてほしいと依頼する人だ。普通の人ではなくガチの中二病を患っている人だと思っていたが、黒布を被って現れるなんてなんて面白いことをする。甲高い声はヘリウムガスで変えているのだろう。

 背丈から見て小六から中二ぐらいだろう。中二病真っ盛りだね。

 視界で素顔を見れるが、せっかく布を被って隠しているのなら無理に見る必要はないな。でも相手のノリに合わせた方がいいのか迷う。

 でも中二病口調で話すのは体売りの女のロールとして違う。俺は俺なりに進むんだ。

 てか、SNSでやり取りしたときは普通だったのに、リアルで会ったら、中二病丸出しで、いいか。それはその人の個性だ。俺が口出すのは筋違いだ。俺はただ依頼された仕事をするだけでだ。それで相手が満足するならそれで十分だ。


「そうだ。我の肌にこの封印の標を刻むのだ。早く頼む。我が正気なうちに」


 黒布を自身のだろうスマホを黒布から差し出して俺に画面に描かれた魔法陣を見せた後に苦しそうに演技をする。


「こちらの魔法陣ですね。何色で身体のどこに入れますか?」


 反対に俺は淡々と質問をする。


「我の両手の甲に真っ赤な標を頼む。新なる神が目覚める前に早く」

「両手の手の甲ですね。わかりました。そんなに構えなくていいですよ?痛みもないですし、本の一瞬で終わりますので」


 黒布はスマホを素早くしまい、黒布の奥から両手を差し出した。

 俺は差し出された手の甲を右、左の順番に触れて、スマホに映し出された魔法陣を入れていく。そして魔法陣をスマホの画面ほどの明るさで光らせる。


「はい。終わりました」

「おお、光っている。対価はいかほどに」

「では五千円になります」

「高!でもこれほどのクオリティーは安いのか?」


 苦渋の末にクシャクシャな千円札五枚を出してきた。

 それを受け取り念力で体を浮かせた。


「またのご利用をお待ちしております。では」


 俺は黒布から遠ざかるように海の上を飛んで島が豆粒くらいの大きさに見えてきたあたりで自室へテレポートをした。

 黒布から変な驚き声が聞こえたが、無視した。


 肩から生えた三本目と四本目の腕を消して、被っていたヘルメットを脱いで身体をベッドに倒れ込んだ。


「ヨルノにバレた。どうしよう。口止め料は渡したが、明日からどう顔を合わしたらいいだろうか」


 実の兄がこんなことをしていたなんて、他の人には兄が自由に性別を変えられるなんて言ったら誰も信じないだろうけど。それを友達に相談したら正気を疑われて精神的な病院を進められる。

 てか、ミキミはよく信じたなと思ったが、いろんな関係がこじれそうだったからミキミには速攻で受け開けたのだった。ミキミは約束を守って誰にも話していない。


「今日はもう寝るしかない。ん?」


 ふて寝を決めて、今日はおしまいしようとしたら、スマホが光っていることに気づいた。

 あの光方は着信の通知だ。誰からだろうか?今通知を確認する気分ではないが、ミキミやルカみたいに鬼のようにメッセージを送って、一晩中スマホが鳴りっぱなしで俺の安眠を妨害される恐れがあるため、スマホを手に取り画面を開いた。


 そこには我が妹から着信があり、ついでとばかりメッセージも送られていた。そのメッセージは「部屋に行っていい?」とあった。二十分前にだ。俺が依頼者の下へ行った時ぐらいの時間帯だ。俺は返信で「いいよ」と返した。

 そしたらヨルノが部屋に来た。

 俺のことを話す為だろう。


「お兄ちゃんもうすぐ寝るのにごめんね。お兄ちゃんがなんで女の子になっているのか気になって眠れなくて、それとさっきのお金も気になる」

「そんなことお前には関係ないだろう。でも本当にこのことは誰にも言わないでくれ。怪しいバイトとかはしていないから安心してくれ」


 ヨルノの問いに突き放すように答える。がヨルノの表情が不安そうに見えたので口止め料の件も含めて念を押した。

 実の妹にイタズラで角とか生やしたくない。そういうのはアキラや西村で十分だ。

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