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体売りの女3

 翌日の朝、朝食を食べていると中学の制服を着たヨルノが降りてきた。


「おはようお兄ちゃん、テレビつけていい?」

「ん-」


 寝ぼけながらお茶漬けを咀嚼しながら気が抜けた返事をする。

 俺の返事を肯定と受け取ったヨルノがテレビをつけた。

 昨夜、病院で一仕事した後に一、二件の仕事を済ませた。一つ目は片足を事故で無くした男性で、二件目はヨボヨボのばあさんだ。

 一件目の男性は言わずもがな失った足を生えさせてやった。現金で三十万ももらった。

 二件目のばあさんは若返させてくれと言うので望み通り、若返させた。やったのは身体全体のテロメアを復活させて十代まで若替えさせてやった。サービスとして肌のシミとか消してあげた。そしたら五百万もポンと出してくれたので嬉々として受け取った。


 それで夜遅くまで起きていたせいでものすごく眠い。

 眠すぎて食べているお茶漬けの味が分からない。


『続いてのニュースは昨晩○○病院に不審者が侵入』


 ヨルノがつけたテレビから心当りがあるニュースが流れてきた。

 そのニュースは俺が昨晩侵入した病院だ。昨晩のことなのにもうニュースになったのか。あれだけ床とベッドを血で汚したから通報されるわな。掃除して帰ったらニュースにならなかったのだろうか?でもゴミ箱に捨てた臓器でニュースになっていそうだ。

 寝ていた子もめちゃくちゃ俺を怖がっていたし、あの子トラウマになっていないと良いけど。


 ニュースの内容は昨晩病院にピンクのヘルメットを被った四本腕の不審者が侵入し、入院していた子供達に自分は死神だと言い張り、子供達の病気の治療ということで子供達から臓器を新しい臓器を入れ替えてその場から去ったというニュースだった。

 何が事件性があるのかはわからない。このご時世、おじさんが未成年の子に話しかけたら警察に通報させる時代だ。今回の件でニュースになったのは驚くことはない。


 ニュースはいいとしてSNSの反応はどうかと思ってスマホで昨晩の病院のことを調べてみた。ほとんどヘルメスさんだという声が多かったけど一部はヘルメスとは別の人だと主張するコメントが見受けられた。そのアカウントはタマコだったのは見なかったことにしよう。

 ヘルメスさんと同一人物だけど。

 更に調べてみると一つだけ異色なコメントがあった。そのコメントのアカウントは片足を生やしてあげた男性の物だ。

 その男性のコメントは『フルフェイスヘルメットを被った少女だった』と書かれていた。そのコメントに対して『ガセネタ乙』とか『ヘルメスさんは男なのでは』と男性のコメントを信じる人は一人も誰一人いなかった。

 これから体売りの女として有名な都市伝説となるから最初はこんなもんだろう。

 てか、ヘルメスさんの方は意図していないのにこんなに有名になるとは。噂が独り歩きして世界的な奇人というか怪人みたいな扱いをネット上で受けている。

 もうネット上ではただヘルメットを被った男性のなんちゃってヘルメスさんの合成写真が出回っている。もはや俺のヘルメス写真よりも多い。

 その方がヘルメスさんとして動きやすくなると思うからいいけど。


 学校でもそういった話があった。

 昨晩の病院の話はクラスメイト達の間で広まっていたが、ヘルメットの人物はヘルメスさんではないかと言われており、体売りの女の話は一切無かった。解せぬ。


 昼休み、ミキミ達と弁当を食べている為にいつもの場所に集まった。


「みんな昨日のニュース見た?あのニュースヘルメスさんじゃないと思うのよ」


 タマコが菓子パンを食べながら病院のニュースについて話し始めた。


「例の病院のヤツ?ネットでも現れたのはヘルメスさんって言われているけど、ヘルメットを被った女の子らしいよ」


 タマコに続いて俺が答えるように言う。

 タマコから体売りの女を世界中に広めてやる。体売りの女を新手の都市伝説みたいな怪人にしたい。

 SNSの連絡一つで怪我、病気を治す奇人。うーん、第三者から見てなんだか怪しさが増して胡散臭いな。もっとシンプルな感じの方がよかったのかな?なんでヘルメスさんは有名になったのだろうか。体売りの女よりも怪しさ満点の仮面の男。三年間人を助けたりしていたから小さな積み重ねで有名になったのか。

 ヘルメスさんも身体売りの女も俺だけど。


「病院のニュース?近くの病院で何かあったの?」

「ミキミちゃん知らないの?東京の病院で不審者が侵入したらしいよ。私も詳しくは知らないんだけど。なんでも入院していた子の病気を治したらしい」

「ふーん、その不審者がヘルメスさん?じゃないってタマコちゃんが言っているのね」


 ミキミは病院のニュースを知らなかったらしく、ルカがかみ砕いだ説明をした。


「そんなところ」


 いつも通りのタマコのヘルメスさん語りを聞いていたら、昼休みの終わりの時間が近づき、俺達はそれぞれの教室へ戻った。戻る際にスマホで体売りの女のSNSアカウントを見たら、フォロワーが二百人も増えていた。

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