勘違い
何故か手が止まらなかった。
「あ、さっきタマコと同じクラスって聞いたけど私のことは知らないよね?二組のルカだよ」
ルカはミキミと初対面だったことを思い出して自己紹介をした。
「どうも四組のミキミです。よろしくお願いします」
「三年間よろしくね」
「私は入学式の日にしたからわかるわよね?さっきの続きだけどなんであなた虐めを受けているの?」
ミキミはルカの自己紹介を返すように自分も自己紹介した。
ルカとミキミの自己紹介を終えたのを確認したタマコは自己紹介で途切れた話を繋げる。
「虐めを受けているのは私じゃなくて、私の友達なの」
ミキミは二人になんで泣いていたか理由を話した。
「友達ね。その子の名前を教えて頂戴」
「うん。マヒルちゃんっていうの」
「「!」」
ミキミの口から自分達が探している女生徒の名前が出てきて驚きの表情を見せる。
「マヒルちゃんっていうのは私の幼馴染の子で昔から少し人付き合いが嫌いな子なの。もしかして二人はマヒルちゃんのこと知っているの?」
「ええ、知っているわ。私達昨日喫茶店でお茶をしたわ。人と話すのが苦手な感じはしていたけど」
二人はお昼に俺を誘う為に探していたようだ。見つからなくて諦めていたところミキミを見つけたところだろう。
このままミキミが話していくと俺が男だと露見するかもしれないが、ルカとタマコとはこれ以上関わることは無いだろう。
学校では空気のように息を潜めて学校生活を過ごすだけだ。高校も友達を作らないもん。
「マヒルちゃんとお茶を?マヒルちゃんは何か言っていたの?」
「学校生活の方はとくには何も言っていなかったけど早く帰ってゲームをしたいと言っていたわね」
「まあ、昨日の長々とヘルメスさんの話を聞いていれば誰でも帰りたくなると思うけど、正直私も二時間経った時点で帰りたかった。うーん、特に悩んでいるように見えなかったわ。憂鬱な感じもしなかったわね。マヒルは本当に虐められてたの?」
二人は昨日の俺のことを思い出してとても虐めを受けている子には見えなかったと語った。
「そうなのね。でもマヒルちゃんのクラスの子達はマヒルちゃんのことを知らなったの。そんな子自分のクラスにいないとか。見たことが無いって」
「それって今日は見てないって意味じゃないの。今日はたまたま休みとかだったりで」
「対がうの?今日マヒルちゃんの下駄箱を見たけど外靴があって上履きが無かったの。クラスメイトの子も欠席がないはずだって言っていたの。私、今日日直でマヒルちゃんのクラスの名簿を見ることができたの。確かにちゃんと出席していることになっているの。でもクラスメイトの子達は入学してからマヒルちゃんこと見たことないって、これはおかしいと思うの」
ミキミのヤツ俺の下駄箱を確認しているのか?ストーカーみたいなやつだな。
見られたら困るわけではないけど。
なんでミキミは俺にそこまでこだわるんだ。頭もいいし、ここよりもいい学校に入れたはずなのにまさか俺を追ってこの学校に入学したとか。俺とは正反対の性格で友達を欲しがるような女の子だった。まさか、高校生になって
学校で見えないようになっているから関係ないか。
でも学校周辺や自宅周辺で女の子の姿を見せることはやめておこう。変な奴に絡まれたりするし、家族の目に映る可能性もあるから遠くに出かけるときだけにしよう。
「確かに不可解に思えるわね。クラスメイトが認識できない子?それじゃまるで」
「学校の七不思議?それとも都市伝説ってこと。そんなこと本人に聞けばいいじゃないの。私達昨日のお釣りを返さなちゃいけないし、それにあの子に胸を触ったことを認めてほしい」
「マヒルちゃんにおっぱいを触られたの?マヒルちゃんそういうの好きなのかな。男の子みたいに。ルカちゃんってエッチな人?でも私はマヒルちゃんに触られたら少し嬉しいかも」
「エッチな人って。私だって見ず知らずの人に急に胸を触れられて嫌だったわよ。少しも嬉しくなんかないわ。ミキミってそっちの趣味が少しあるのね」
ここで大幅な勘違いが起きた。
ミキミはマヒルのことを男の子だと思っていて、ルカとタマコはマヒルのことを女の子と思っている。
マヒルはルカに対して痴漢を働いたと思い、ルカとの表情を見て嫌な顔をしてないことを察してルカのことをエッチな人と思った。ルカはルカで憎たらしかった胸の傷を消してくれた女の子を探している。それがマヒルと思っている。そしてお礼が言いたいがマヒルに自分ではないと否定された。マヒルとは親友になりたいと思っている。
そしてルカはミキミがマヒルに胸を触れられて少し嬉しいと聞き、ミキミのことをユりの趣味があること認定された。ミキミは男の子であるマヒルに対して恋心を持っており、好きな男の子に身体を触れられて嬉しいという意味でいったのである。
「でも本人は身に覚えがないって言っていたじゃない?それにマヒルちゃんが見つからないから聞けないわよ」
「私にいい考えがあるわ」
ルカはマヒル探しに心当たりがあるようだ。
俺は何やら面白そうなことになりそうだと三人の少女を見て笑みをこぼした。




