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タマコのデート5

「さっきの公園?戻ってきたって言うの?待ってヘルメスさん私にはあなたに言いたいことがあるの!それだけ言わせて」

「待て、少し騒がしい」


 さっきと違い前もって一声かけたからかタマコはテレポートをしてもさほど驚かなかった。でも何か言い出しそうだったのでそれを止める為に物々しい雰囲気を漂わせる公園を理由にタマコの言葉を遮った。

 タマコのヘルメスさん語りはもう勘弁してほしい。

 テレポートで移動した先の公園には誰かが通報した警察が公園で遊んでいた子供のお母さん達に事情聴取をしていた。複数の野次馬達も遠目から見物している。

 普通なら何か事件が起きたと思うが、すでに理由はわかっている。さっきタマコが絡んできた男二人組の件だろう。


「お巡りさんこの人です!女の子を連れ去った人です!」


 事情聴取を受けていた中のお母さんの一人が俺達の存在に気づいて、声を上げた。

 タマコを連れ去ったのは間違いないが、それは警察が来たからだ。警察が来なかったら、いや来ても来なくても無人島に行ってたのは変わらないか。


「待って、この人は違う!私が、ヘルメスさんなんで?」


 タマコがこちらに向かう警察官に俺を庇おうと訴えかけようとしたのでタマコの前に手を出して止める。


「いいんだ。それと満足しただろう?」

「待ってヘルメスさん。まだ言えていないことがあるの。だから待って」


 言葉ではしおらしく引き留めようとしているが、彼女の行動は言葉と裏腹にどこにも行けないようにがっつり腕を掴んでいる。

 さっきスマホが鳴ったのを聞いているはずなのに引き留めようとするのかな。俺に用事があると思って、気を利かせてくれてもいいと思うのだよね。

 掴んでいて関係なくテレポートをすれば逃れられるから脅威とは思っていない。


「君達ちょっといいかな?」


 タマコとそうこうしている間に警察が話かけてきた。

 早くタマコから解放されたいが、警察に押し付けたいけど事情聴取は受けたくない。


「なんですか?おまわりさん?」


 俺の機械的な声に気味が悪い表情を浮かべる警察官の方を向く。


「君、ヘルメットを取って声の機械を止めてくれる?」


 と警察官はヘルメットを取るように要請して、取るか思案する。ここで断れば面倒なことになるが、目の前の警察官から逃げられる。指名手配されてもヘルメスさんはすでにネット上で都市伝説みたいな物だし、ほぼいない存在を指名手配されても無意味だ。

 警察官の言葉を聞いたタマコがもどかしい表情でヘルメットを見る。


「しょうがないですね。声の方は無理ですけど、俺の顔を見ても声をあげないでくださいよ?」


 腕を掴んでいたタマコの手を剥してヘルメットに手をかけて、脱ぐ。


「顔が無い!?」


 予想通りに警察官が驚愕表情を浮かべて、周りの野次馬がスマホを俺に向けるのが見える。

 ヘルメットを脱ぐと同時に首から上を部分テレポートして見せたのだ。最初は顔だけ認識されないように顔だけハイドモードをしようとしたがちょっと難しかったのでやめた。暇なときにでも練習しよう。

 でも部分テレポートした顔を箱の中に入れてスーツ姿で街を練り歩くのもありだな。現代のデュラハンみたいでカッコイイな。


 タマコは本当に顔が無いか確かめようと顔があるはずの場所に触れようとするが無いので通り過ぎる。


「顔はないから他人に見せたくなかった。俺はもう行くぞ」


 驚愕したまま警察官に問いかけるが、答えがかえってくることはなかった。無言を肯定と受け取り、逃がさないとばかりに俺にしがみつくタマコを関係なしに無人島へテレポートする。

 そこから女の子の姿になって、普段着に着替え公園の近くにテレポートした。

 ヘルメスさんがいなくなっても野次馬は公園に残っている。今日は休日だし、暇なのだろう。野次馬達に紛れて公園内を遠目で見る。

 公園内には事情聴取を受けているタマコがいる。俺が消えた後、タマコはヘルメスさんを諦めてくれたようだ。

 このまま立ち去ってもよかったが、タマコを一人で指せるのが悪い気がして、事情聴取を終わるタイミングを見計らって公園内に入った。

 視界で事情聴取の内容を聞いていたが、警察官は事件性が無いと判断してそのままパトカーに乗り行ってしまった。事情聴取が終わったのと同時に遠目で眺めていた野次馬達もどこかに行っていった。


「タマコー!どうしたの?警察の人と何か話していたみたいだけど」

「マヒルちゃん!私ヘルメスさんに会ったの!すごかったわ。ヘルメスさんは水を触れずに浮かせられるのよ!マヒルにも見せたかったわ」


 俺が近づくのに気付いたタマコは捲し立てるようにいかにヘルメスさんがすごかったか語り始めた。ヘルメスさんの正体は俺なので気恥ずかしかった。


「わかったわかった。お腹が空いたし、何か食べに行こう」


 ヘルメスさん語りを止めて近くの喫茶店に誘った。その後は一時間ぐらいタマコのヘルメスさん語りを耐えたが、最終的に俺が折れてタマコがヘルメスさんから萎えさせる方法を模索して、会話に混ぜて振ってみたがどれもダメだった。

 ヘルメスさん語りが終わったタマコからヘルメスさんとどこで会ったのかどういう関係なのか根掘り葉掘り聞かれたが、曖昧に答えて誤魔化した。

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