新たな能力者2
「やあ、こんな年若い泥棒がいるなんてびっくりだよ。それに僕が通う学校の制服を着ているなんて、学校に言ったら親御さんはなくだろね」
「わああーーーー!」
俺は男子生徒の真後ろにテレポートをして話しかけた。本人も自分が悪いことをしていると自覚しているらしく、話しかけたとたん肩を大きく震わせて奇声をあげた。
そして振り向くと同時に足を滑らせて、後ろに転倒した。俺を巻きこんで。
「いてて、急に話しかけたらびっくりするよ。柔らかい?」
「エッチ」
ラッキースケベが発動したのか、俺の胸を男子生徒の手が握られていた。
少女らしいしぐさで男子生徒の手を払いのけて胸をかばう。
ミキミやルカに揉まれるのは嫌悪感はないが、同性の男に揉まれるのは吐き気がするほどこれほど気持ち悪く感じた。
凄く身体中の骨を砕きたい。その後に砕いた骨を治しての繰り返しを五十セットしてやりたい気持ちを抑えた。ここでやったら廊下中が血だらけになって掃除が面倒くさいなるから避けた。
「ご、ご、ごめん。わざとじゃないんだ。そもそも君が急に話しかけ来たのが発端じゃないか」
「あなたが勝手に家に侵入してきたのがいけないんじゃない?普通の女の子なら知らない人が入ってきたら警察を呼んで自室に隠れると思うけど?」
「それは君の妹さんが中で待ってくださいって言ったから」
ダウト。ヨルノはそんなことを言っていなかった。ヨルノが言っていたのは外で待ってもらっていると。家の中で待ってくれというのなら俺に玄関で待ってもらっていると言うと思う。
家の中に侵入した言い訳だと思う。
「そんなことはどうでもいい。僕はこれから学校に行くよ。あなたもさっさと学校へ行く!」
「マヒルちゃん、待って腕を引っ張んないで」
「なんで僕の名前を?ああ、西野とかいうストーカーから聞いたのか。あなたもストーカーだね」
玄関まで彼をご案内と言うか、手を思い切り引いて玄関の外へ出した。壁を通り抜けられる彼にとっては無意味だと思うけど。
何故に俺の名前を知っているのかと疑問に思ったが、彼はさっき西野の名前を呟いたからそこから俺の名前を知ったのだろう。
「僕はストーカーじゃないよ。西野さんはそうかもしれないけど、男も女も構わず後を付け回すのはいつものことで警察のお世話になるのはいつものことだけど」
うわー、あの人男も女も構わずストーカーするんだ。もう会わないことを願おう。
「でもあの人は困った人がいれば悩まずに助ける人なんだ。そこがあの人のいいところだからあの人の回りにはいつも人が集まるんだよな」
さらに人が集まるのかなおさら関わらないようにしないとな。
「これから勝手に人の家に上がるんじゃないよ。今度上がったらひどい目にあうかもね」
脅しを含めながら言い放って、玄関のカギをかけた。
外は登校中の小学生やサラリーマンが家の前を横切る。彼らの目があるから何かしでかすこともしないだろう。
「待って君に用事があるんだ」
「僕は君の名前すら知らないし、だからバイバイ」
男子生徒を置いて登校しようとしたが。
「マヒルちゃん待って」
男子生徒に回り込まれた。
「僕は二年三組アキラ!今日の放課後に付き合ってください」
「はい?」
「それじゃあ、放課後に」
捲し立てる彼は俺の疑問形の「はい」を肯定の「はい」と受け取ったようだ。
そのまま去っていった。
いったい何なんだ?まあ、ああいう輩は放置でいいだろう。ストーカー西野と知り合いのようだし、関わらない方がいいだろう。
「マヒルちゃん、そんな」
振り返ったら心底傷ついた表情をしたミキミと目が合った。表情を察するに何やら誤解しているようだ。
ミキミの後ろにはミキミの家のお手伝いの田中さんが運転する車があった。俺を向かいに来てくれたようだが、俺にはテレポートがあるから不要だ。ここから南極だろうが近所のコンビニだろうがさほど変わらない時間で到着できる。
何を誤解しているかわからないが、ほっとくとしよう。ミキミの誤解を解くのは少々めんどくさい。
一度無人島へ行って男子の制服に着替える必要あるし、このままミキミと学校まで送ってもらうとさっきの男子生徒、アキラくんだっけ?の件で問い詰められそうだ。
あーでもそのままミキミを置いて行くのは可愛そうだ。なんて誤魔化そう。
「あのミキミ、さっきのはあれなんだ。そのさっきの人は。その僕に言い寄ってきた人で、僕の彼氏とかじゃないぞ。さっきだって迷惑しているんだ」
勝手に家の中に入ってきたし、困った野郎だ。社会の常識は何処へ行ったんだ。
「ほんとに?」
「そうだ。そうなんだ。最近ああいうヤツみたいなストーカーされるんだ。遠足の時だって付きまとられただろう。あの人の目的は僕だったんだ」
上目遣いで問いかけるミキミに答える。
西野は黙って、女子高生の後をついてくる奴だしな。男もいける口だっけ?
そんなことはいいとして俺の答えにミキミが納得してくれた。
「じゃあ、僕はこれで」
「待ってマヒルちゃん、学校へ一緒に行こうよ。マヒルちゃんにストーカーがいるならなおさら来るまでいこう」
「でも田中さんにも悪いしさ」
「マヒルちゃんの秘密をルカちゃん達に言っちゃうよ?」
ミキミの言葉にわからせられた俺は大人しく田中さんが運転する車に乗った。
ミキミが俺の弱みを口にして脅してくるとは思わなかった。
大人しく車の後ろの座席に乗ったのだが、ミキミも俺に習ってか後ろの座席に乗ってすり寄って来たぞ。
何故だ?




